2024/1/11
精神保健福祉法改正に伴う宇治市の体制整備 かどや陽平一般質問報告その4
宇治市議会令和5年12月定例会での一般質問の内容、政策提言についてご報告します。
第4回のご報告は、精神保健福祉法改正にともなって市町村に求められる、新たな体制整備、精神保健に関する課題を抱える住民への相談支援体制の整備についてです。
精神保健福祉法改正に伴い、医療保護入院の同意や退院請求を行うことができる「家族等」からDVや虐待の加害者を除くことなど、市長同意による医療保護入院の対象者が広くなりました。また、令和6年度より精神保健に関する課題を抱える住民への相談支援体制の整備が求められることとなりました。市町村にもこれまでから整備を進めている包括的な相談・支援体制の一層の充実や、新たに考慮すべき体制整備が求められていますので、質問と政策提言を行いました。
第1回のご報告は教育DX推進計画を年度内に策定!かどや陽平一般質問報告その1(R5.12宇治市議会定例会)
第2回は、宇治市内小中学校教育DXの状況について かどや陽平一般質問報告その2(R5.12宇治市議会定例会)
第3回は、宇治市で子宮頸がんワクチン啓発月間実施 かどや陽平一般質問報告その3(R5.12宇治市議会定例会)
高齢社会の一層の進行により、アルツハイマー型認知症などのなかでも、精神治療の対象となる症状を有する方が増加するのではないか、またライフスタイルの変化により独居で孤立した生活を営む高齢者が増えていますが、こうした方の判断能力が衰え、精神治療の対象となる症状を有することとなるケースも増加してくるのではないか、と懸念されます。
厚生労働省の「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会R4.6.9報告書」などにより、国全体の状況を見ると、精神疾患を有する総患者数は増加していますが、それとは反対に在院患者数は減少し、通院による治療へと緩やかに移行しているのではないかと考えられます。ただ、医療保護入院の割合がかなり増加しており、なかでも、その入院の原因として「症状性を含む器質性精神障害」が増加をしています。
そこでまず市当局に確認したのが、高齢化により増加が見込まれる認知症で精神治療を必要となる症状を有する人も、医療保護入院による治療の対象となるのか質問しました。
これについては、対象となるとの答弁でしたので、さらに、判断能力が衰えた、家族がおられない方で精神疾患治療のために医療保護入院が必要と医師が判断をし、市長同意が求められるケースが今後増加してくることが懸念されますので、市の体制整備の状況について確認をしました。
市の答弁は、
「医療保護入院は精神保健指定医が診断を行い、家族等の同意を得た上で入院をさせることを基本としており、家族等がいない場合に、市長が家族等に代わり同意することとなる。 病院から、市長の同意の求めがあった場合には、その必要性を判断するため、「医療保護入院同意依頼聴取票」に沿って、病院に聞き取りを行うと共に、庁内 関係課にも聴取を行い、同意の手続きを行っている。
近年の宇治市における市長同意による医療保護入院件数は、令和2年度13 件、令和3年度17件、令和4年度10件と、年度によって増減があり、今年度は現時点で14件の申し立てがある状況で、例年と比べて大きく増加している状況とまでは考えておらず、現在の体制で変することができている。
今後、市長同意による医療保護入院の申し立て件数が増加することも考えられるため、適切な業務体制が整えられるように、今後の申立件数の推移については注視している」
とのことでした。
厚生労働省によれば、近年、精神病床の入院患者は減少しているものの、2022年6月30日現在、認知症で精神病床に入院している患者は、調査を始めた1998年に対して1.5倍に増え、全国で約7万3000人おられるとのことです。(日本経済新聞令和5年8月5日)宇治市では現在の体制で、十分対応ができているとのことですが、国全体の動向も注視しながら、更なる体制整備も必要になってくるのではないかと考えます。
答弁の中に、「病院から、市長の同意の求めがあった場合には、その必要性を判断する」とありました。そこでその医療保護入院に対する必要性を市として判断する基準について確認をしました。
また日本の精神医療の現状についてはその強制入院者数の多さ、精神科病床の多さ、拘禁期間の長さ、受け入れ条件が整えば退院可能な患者数の多さ、身体拘束指示率の地域差など、国内外から様々な指摘、また是正勧告が出ているところです。これをふまえれば、市町村としても本人の意思の伴わない医療保護入院という極めて人権制約的な方法に対する同意を行うにあたっては、より人権制約的でない代替手段を提案・検討する必要があるのではないかと考え、市の見解を求めました。
市の答弁は
「 医療保護入院について、市長が同意することついては、市長同意の申し立てを行った病院に聞き取りを行うと共に、同意者となりうる家族が他にいないか、同意者となるべき家族等がD Vの加害者ではないか等を確認するため、庁内関係課に対しても聴取を行い、当事者の周辺状況も確認しながら、その必要性について慎重に判断をしている。
また、入院後に本人と面会し、京都府知事に対して、退院請求や処遇改善請求等ができることなど、制度についての説明を行っており、本人の人権が尊重されるように丁寧な対応に努めている。
今後とも、医療保護入院の同意にあたっては、本人の権利が不当に損なわれることがないよう努める」
とのことでした。
答弁によれば、あくまで市町村が判断する医療保護入院の「必要性」とは、市長同意に該当する案件(同意者となる家族がいないなど)なのかということのみであり、医療的な「必要性」について判断するもではない、ということです。法律の定めるところではあるのですが、やはり非常に問題のある部分かと思います。
一方で、精神保健福祉法改正に伴う市町村の責務として、令和6年度より精神保健に関する課題を抱える住民への相談支援体制の整備が求められることとなりました。当然、この体制は制度福祉をまたぐような、包括的な相談支援体制とならざるを得ないでしょう。
包括的な相談・支援体制、重層的支援体制整備事業についてのこれまでの政策提言は
宇治市の地域共生社会実現に向けた取り組み(宇治市議会R5.6定例会一般質問その8)
複雑化・複合化する福祉ニーズ・生活課題への包括的相談支援体制(宇治市議会12月定例会一般質問その6)
包括的・重層的な相談・支援体制構築のための庁内協働・多機関協働(令和4年3月定例会一般質問その3)
第3期宇治市地域福祉計画(初案)についてのパブリックコメント実施
令和4年2月文教福祉常任委員会での重層的支援体制整備事業についての発言
長らく指摘をされていることですが、日本の精神医療の改善のためには、治療の脱施設化、地域移行が必要です。これを実現していくには、地域福祉における重層的な支援体制が必要不可欠でしょう。宇治市での、第3期地域福祉計画の中で、「はざまをなくし包括的な相談と支援へ」と称し、重層的・包括的な相談及び支援体制の整備を重点取組項目として掲げていますが、なかなか市民にとって重層的・包括的に受け止められているという実感を得られていない、というのが正直なところではないでしょうか。
そこで、法改正に伴い、次年度から市町村に求められる精神保健相談支援体制整備の整備の状況、また、精神保健についての課題を持つ市民の方が複合化した福祉ニーズを持たれることも当然あるわけですので、市が構築を進めている、包括的な相談・支援体制との関係について確認をしました。
また、併せて、医療保護入院を減らして、より人権制約的でない手段をとるため、また受け入れ条件が整えれば退院可能な患者さんを受け入れていくため、精神保健の脱施設化、地域移行は極めて重要であり、これは地域福祉の観点からも市町村が取り組むべき課題であるため、市の見解を確認しました。
市の答弁は、
「精神保健福祉法改正に伴い、令和6年度から、市町村が実施する精神保健に関する相談支援について、精神障害者のほかに精神保健に課題を抱える者も対象に含まれることとなっているが、宇治市においては、これまでから、成人健康相談において、精神障害者ではない、精神保健上の課題を抱える方の相談支援を行ってきた。
また、虐待、生活困者支援、母子保健等の様々な業務において、関わっている住民が背景に精神保健上の課題を抱えている場合には、それぞれの支援の中で、当該住民に対する精神保健上の相談支援にも対応してきたが、法改正の趣旨を踏まえ、さらに関係部署との連携を強化する中で相談支援の充実を図っていく。
議員案内のとおり、精神保健上の課題を抱えておられる方については、生活困窮等の複合的な福祉ニーズを持たれていることも予想されるため、包括的な相談・支援体制の中で、各部局が連携して対応していくことが必要であると考えている。
また、第6期宇治市障害福祉計画に基づいて、宇治市としても、障害福祉施設入所から地域生活への移行を進めている。精神障害のある方等が地域で安心して生活していただくための地域づくりが必要であると考えており、そのためにも、人と人、人と地域が世代を超えてつながり、「支える人」「支えられる人」という従来の関係を超えて、地域全体で支え合う 「地域共生社会」の実現に努めていく」
とのことでした。
厚生労働省の通知「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三三条第三項に基づき医療保護入院に際して市町村長が行う入院同意について(昭和六三年六月二二日)(健医発第七四三号)」にありますように、医療保護入院の同意を与えた患者さんの保護者は市長村長になるわけです。保護者として当然に患者さんの症状の改善とバランスを取りながら、権利擁護に積極的に努めていく必要があります。
精神医療と法的な権利擁護はきっても切れない関係にありますが、市の答弁にあるとおり、指定医の医療保護入院の判断について行政がその要否を判定するわけでもなく、裁判所が許可を与える仕組みでもない、もちろんこれは国の法律の問題ですが、やはり、市町村の責務として、精神医療においてより人権制約的でない手段をとるため、成年後見制度の市町村申立てなどによる積極的な権利擁護はもちろんのこと、精神保健の脱施設化、地域移行のためにも、複雑化・複合化した福祉ニーズを持つ人が真に包括的・重層的に受け止められていると実感できるまちづくりを進めていく必要があります。
引き続き建設的な政策提言に努めてまいります。
宇治市議会議員 かどや(角谷)陽平 公式ホームページ

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