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宇治市の政策立案時におけるEBPMについて(宇治市議会令和4年3月定例会一般質問報告その5)

2022/2/26

 令和4年3月定例会一般質問報告の第5回は宇治市の政策立案時におけるEBPM(証拠・根拠に基づく政策立案Evidence-Based-Policy-Making)についてご報告いたします。

 

その1は避難行動要支援者名簿の平常時からの活用を提言(宇治市議会令和4年3月定例会一般質問その1)

その2は就職氷河期世代支援市町村プラットフォームについて(宇治市議会令和4年3月定例会一般質問その2)

その3は包括的・重層的な相談・支援体制構築のための庁内協働・多機関協働(令和4年3月定例会一般質問その3)

その4は人口転出超過の現状分析について(宇治市議会令和4年3月定例会一般質問報告その4)

 

 前回ご報告(その4)したように宇治市の人口転出超過を改善するためには、まず冷静で客観的な現状分析をおこない、なおかつ限られた政策資源を効率的に投入していかなければなりません。

 そうした制約された政策資源をどのように効率的に投じていくかに関してEBPMの取組が国・自治体でも推進されています。私もこれまで何度かEBPMについて発言してきました。

 宇治市の行政評価について(R2.9一般質問その6)

 宇治市の教育行政と専門家の知見について

 行政の事業・活動をだれが、どう評価していくか(宇治市令和2年第9回総務常任委員会)

 

「骨太方針2021」でも地方行財政の「見える化」改革とともにEBPMが推進されており、経済・財政一体改革エビデンス整備プランが策定され、「令和4年度の地方税制の見通し・予算編成上の留意事項等について」でも随所にEBPMの文言が記載されています。

 特に第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、「取組の必要度」から「取組の成果」に応じた算定へと「人口減少等特別対策事業費」を見直しするとしており、EBPMの取組がいっそう強化されてきています。

 宇治市でも平成30年4月の市民環境常任委員会(第3回4月17日会議録52P)で当時の市民環境部長が産業連関表に基づいた施策の実施に関してEBPMについて触れています。そうした中で、松村市長が令和4年度予算編成方針において各部局に対し、「新規・拡充事業等について、EBPMの考え方による政策立案を行う」よう言及されました。令和4年度予算編成にあたって私たちの会派が市長に要望したEBPMによる政策立案にご配慮いただいたのかと感謝しています。

 そこで宇治市におけるEBPMの発想やプロセスにより立案された施策の具体例について質問しました。

 松村市長の答弁は

・統計データや各種指標などを活用・分析し、客観的エビデンスに基づき、効果的・効率的な政策決定、評価を行う、いわゆるEBPMは、これからの宇治市の行政運営を行う点では、政策・施策の有効性を高め、行政への信頼確保に資するものとして、必要な視点であると考えている。

・これまで、施策や事務事業の実施にあたっては、PDCAマネジメントサイクルを活用し、成果指標に基づき、事業の効果や必要性、効率性等を評価しながら、より効果的な事業となるように、継続的に改善・見直しを行ってきた。

・EBPMを全庁的に推進するため、令和4年度予算編成では、新規・拡充事業においては、根拠と政策効果を明確化する統一フォーマットによる企画・立案を行うこととし、職員一人ひとりの意識が高められるよう努めている。

・具体例としては、産業連関表や地域経済分析システムである、RESAS(リーサス)などの統計データを活用して定めた産業戦略に基づき、事業として、「中小企業交流促進事業」や「産業立地等促進助成事業」などの新規・拡充事業を実施することとした。

・さらに、EBPMを推進するため必要となる客観的なデータ分析を行うこととし、健康づくりを推進する健康データの収集、地域別健康データ分析をはじめ、個々に応じたきめ細やかな教育の実施に向けた学校等のデータ統合・可視化などに新たに取り組む。

・また、今年度には、子育てにやさしいまちづくりの実現に向けた取り組みのひとつとして、京都府が策定した見える化ツール、「地域子育て環境評価ツール」を活用した、エビデンスに基づく政策立案の共同研究にも取り組んでいる。

・今後についても、有効なデータの収集や活用方法を検討し、統計とデータに基づき、より正確な因果関係等の分析や、質の高いエビデンスに基づいた政策立案に努め、持続可能な市政運営を行っていきたい。

とのことでした。

 EBPMに関して市長に答弁いただけるとは、宇治市の政策立案・実施・評価の手法もこれから現代化していくのではないかと期待させられます。

 基礎自治体によるEBPMの取組はすでにいくつも実践例が積み重なってきましたし、公刊されているEBPMに関する書籍も増えてまいりました。

 私も参考にしたのは

『政策評価のための因果関係の見つけ方―ランダム化比較試験入門』エステル・デュフロ他、日本評論社、2019年

『地域経済循環分析の手法と実践』日本政策投資銀行・価値総合研究所、ダイヤモンド社、2019年

『EBPMの経済学―エビデンスを重視した政策立案』大橋弘編、東京大学出版会、2020年

『EBPMとは何か―令和の新たな政策形成』小倉將信、中央公論事業出版、2020年

『エビデンスに基づく自治体政策入門―ロジックモデルの作り方・活かし方』佐藤徹編、公職研、2021年

『まちづくりの統計学-政策づくりのためのデータの見方・使い方』宇都宮浄人・多田実編著、学芸出版社、2022年

などです。ご興味のある方はぜひご覧ください。

 なおネットで読める論文はかなりありますが、

小林庸平(2016)「エビデンスで変わる政策形成~イギリスにおける「エビデンスに基づく政策」の動向、ランダム化比較試験による実証、及び日本への示唆~」

内山 融 /小林庸平/田口壮輔/小池孝英(2018)「英国におけるエビデンスに基づく政策形成と日本への示唆-エビデンスの「需要」と「供給」に着目した分析-」

土屋隆裕(2019)「EBPMとエビデンスレベルの評価指標」

などを参照しています。

 今後、国の財政が積極財政に転じて地方に配分される予算が増加したり、日本経済が劇的好転して市税収入が大幅に増加したとしても、人的資源を含め常に政策資源は制約されるのですから、効果的な政策立案・実施・評価のため、宇治市でも引き続きEBPMの研究と実践に取り組むことを要望しました。

 次回は教育政策に関するEBPMです。

 

宇治市議会議員 かどや(角谷)陽平 公式ホームページへ

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