※本記事は「徐東輝(とんふぃ) note」の転載となります。記事内容は執筆者個人の知見によるものです。
わかりきった結果に対する前置きを読むのも退屈でしょうし、変なバイアスをかけても仕方ありませんので、早速11月8日に起きたことを図と文章で列挙したいと思います。
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※この記事の画像は、NY Times,CNNとFiveThirtyEightのサービスを使用して作成しております。以下の出典以外に、直接出典を明記する場合があります。
出典:
http://www.nytimes.com/elections/results/president
http://www.cnn.com/election/results/exit-polls/national/president
http://fivethirtyeight.com/live-blog/2016-election-results-coverage/
この選挙人獲得州の地図を見ていただくとわかる通り、ドナルド・トランプ候補が全選挙人538人の過半数270人以上を確定的に獲得し、大統領への選出が決まりました。しかし、依然として開票作業は続いており(米国東部標準時11月9日15時半現在)、最終的な獲得選挙人数はまだわかりません。
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選挙人の数はトランプ氏が過半数を獲得したことで、大統領選出は確定です。しかし、一般投票の数は(未定ではあるものの)ヒラリー氏多数の可能性もあります。(おさらいですが、一般の有権者は各州でそれぞれの候補に投票する選挙人を選出し、その選挙人が12月19日に正式に新しい大統領を選出します。形式的には間接民主主義ですが、実質的には直接民主主義です。)
このような出来事(有権者の票数では勝っているのに、選挙人の数では負ける事態)は、歴史上いくつかの前例があり、直近では2000年のブッシュvsアル・ゴア選挙が有名です。単純な全国一斉多数決ではなく、選挙人制度を採用し各州での勝者を決めるアメリカならではです。
図は左から、「多少民主党よりの州」「激戦州」「多少共和党よりの州」の両候補の獲得状況を示しています。まず、トランプ氏は「多少共和党よりの州」を取りこぼさず全てキープしたのに対し、ヒラリー氏は「多少民主党よりの州」のうちミシガン州を落としてしまいました。さらに「激戦州」の最下部にあるウィスコンシン州も、民主党が勝つとされていたところですので、これも「取りこぼし」になるでしょう。
さらにトランプ氏は重要な激戦州を全て獲得しました。激戦集で選挙人数最大のフロリダ州(29人)、同様に巨大なオハイオ州(18人)、過去6回の選挙ですべて民主党が勝っていたペンシルバニア州(20人)などです。トランプ氏とっては、一つでも落とすと勝利が遠ざかるため、必ず勝たなくてはならない州でした。本当に奇跡のような勝利です。
この図は、2000年以降の選挙において、直前の世論調査の全平均を取ったものです。今回の選挙は、かつてないほどに「Undecided Voters(どちらに入れるか決め兼ねている有権者)」が多く、その割合は12.5%。
選挙統計サービスを展開するFiveThirtyEight主宰のネイト・シルバーは、「直前になってもここまでUndecided Votersが多いということは、ものすごく揺れる可能性があるということだ。クリントンとトランプの支持率の差の3倍以上の有権者が投票を決め兼ねているのだから」と述べています。彼らこそ、世論調査の「ヒラリーvsトランプ」の支持率では出てこない隠れた有権者たち。ここにトランプ勝利の理由の一つがあります。
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