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※本記事は「弁護士 猪野 亨のブログ」の転載となります。記事内容は執筆者個人の知見によるものです。
米国大統領選挙では、暴論ばかりでポピュリズムを巻き起こしたトランプ氏が「当選」しました。
大統領選挙人を多数確保したのがトランプ氏で「当選」、全米で得票数が上回ったヒラリー氏が「落選」という結果です。
一国の大統領を選ぶのに得票数が少ない方が当選するなんて、何と不合理な選挙制度でしょうか。
毎度のことですが、多くの州では民主党、共和党それぞれが勝つところが決まっていて、残りの数少ない「激戦州」で勝敗が決まるという構図です。
選挙人を「総取り」するという方法も死票ばかりを前提にした制度です。割り当てられた選挙人の人数も不均衡というおまけつきです。
極端な場合、選挙人の過半数を得られるだけの勝利を1票差でも勝ち取ればよくて、他の州はゼロでも当選できるという仕組みです。今回は100~200万票の差でしたが、もっと差があっても許容される選挙制度なのですから、制度そのもが歪んでいます。
どの州を取るかというゲームが繰り広げられる構図です。
選挙制度の見直しの声も出ているようですが、少数のようです。
「敗者が100万票以上リード=民主に制度見直し論-米大統領選」(時事通信2016年11月16日)
「民主党のボクサー上院議員は15日、声明を発表し、「選挙人制度は時代遅れで、非民主的だ」と強調。選挙人制度を廃止し、得票数で勝者を決められるようにする憲法改正案を上院に提出した。ただ、共和党内で賛同する声は出ておらず、成立の可能性は極めて低い。」
それにしても、このゲーム感覚の異常な選挙制度を見て思うことは日本の選挙制度も似たり寄ったりだということです。
小選挙区制によって多くの死票が生じます。
その結果、比較第一党が水ぶくれし、他の政党は死票ばかりが増えるという第一党有利な歪な選挙制度です。
「参議院選挙の結果 一人区と業界団体に支えられる自民党」
「自民党「大勝」の歪み さて今後をどのように展望する?」
この日本の小選挙区制にしろ、米国にしろ、どちらも第三の勢力が大きくなりにくいという体制擁護のために都合のよい選挙制度だということができます。
そして、今また自民党が参議院選挙区の合区解消のための憲法「改正」を言い出しています。
「「改憲勢力」すれ違い 自民は「合区」解消/公明は反対姿勢 参院憲法審」(朝日新聞2016年11月17日)
「初めて実質審議が行われた参院の憲法審査会。出席した地方選出の自民議員らが一斉に参院選の「合区」解消を唱える」
一票の格差の是正も与党自民党は自らに不利になるためにサボタージュを続けているだけでなく、逆に格差を合理化するために憲法改正しろということなのですから、利権ばかりが露骨に強調されているわけです。
「参議院選挙における定数不均衡 自民党は既に地方の声を代弁する政党ではない」
少なくとも民意を正確に反映するようなものでなければ、間接民主誠意は機能しませんし、その政治の正当性を認めることもできません。
米国の不合理な選挙結果をみたとき、自分たちの国の選挙制度は「まし」なんて思わないことです。
※本記事は「弁護士 猪野 亨のブログ」の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
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