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トランプ大統領誕生は「数字」を見れば当たり前のことだった



渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

トランプVSヒラリー、米国のメディアとそれに毒された日本メディア・有識者らはヒラリーの圧倒的勝利を報道し続けてきました。しかし、その根拠はもともと薄弱なものであって、筆者は予備選挙でトランプ圧勝、本選挙でも接戦でトランプ勝利の見解を述べてきました。以下、そのポイントを誰でもわかる数字で確認していきたいと思います。
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(1)共和党予備選挙・トランプ氏はほぼ常に支持率1位だった


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(Real Clear Politicsより)



そもそもトランプ氏に対する偏見と勘違いは共和党予備選挙段階から始まっていました。トランプ氏は予備選挙段階からエスタブリッシュメント(既得権者)の人々から酷い暴言を吐いた云々で激しい中傷にさらされてきました。そして、頓珍漢な日本人識者らは英字メディアを読んで米国の知り合いに聞いた噂話程度のリテラシーで「ブッシュが勝つ」という世迷い事をメディアで開陳していました。

共和党予備選時、トランプ氏は早々に候補者の中で支持率1位を獲得してから、黒人医師のベン・カーソンに一瞬だけ肉薄されただけで、圧倒的な支持率トップの候補者として爆走し続けていました。上記のグラフを見てもトランプが負ける要素は一切見当たりません。

つまり、支持率推移グラフを眺めていれば小学生でもトランプ予備選挙勝利以外の結論はありませんでした。筆者はまるで数字を無視したメディア・識者らの解説が不思議でなりませんでした。
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(2)「トランプ効果」で共和党予備選挙への参加者数激増・盛り上がりは最高潮だった


大統領選挙本選挙でトランプ勝利の可能性が高いことは実は予備選挙段階からある程度算段がついていました。それは共和党予備選挙参加者数と民主党予備選挙参加者数の増加数です。

日本における報道ではヒラリーVSサンダースが注目されてサンダース旋風が止まないという誤った報道がなされていました。なぜ誤ったと断言できるかというと、民主党予備選挙参加者はオバマVSヒラリーの2008年時よりも減少しており、実はあまり盛り上がっていないことが明らかだったからです。

それに比べて共和党側予備選挙はトランプ効果で予備選挙参加者数が2012年と比べて激増していました。この新規の予備選挙参加者は予備選段階で「共和党」に一度コミットした形になります。そのため、トランプ支持者でなかったとしても大統領選挙本選で共和党指名候補者に投票する可能性が高いものと推測されました。

たとえば、フロリダ州の共和党予備選挙では2012年・167万人から2016年・236万人まで増加していましたが、民主党の予備選挙では2008年・175万人⇒2016年・171万人に減少しました。2012年大統領選挙本選でオバマ・ロムニーの差が約8万票しかありませんでしたから、今回の本選挙における勝利にトランプ効果が果たした貢献は大きいと言えるでしょう。

以上のように予備選挙段階から共和党主流派の一部がトランプ氏から造反したとしても、それを補って余りある新規参加者が共和党側に存在していたことがわかります。トランプがもたらした共和党予備選挙参加者層の厚みが激戦の接戦州を制するキーファクターになったことはデータから導き出すことができます。
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(3)接戦州で拮抗し続けてきたトランプ・ヒラリーの支持率


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(Real Clear Politicsより)



メディア・有識者らはヒラリー優位を再三にわたって主張し続けてきましたが、ほとんど無根拠なものだったように思われます。なぜなら、大統領選挙は接戦州の選挙人の取り合いでほぼ決定するものであり、その接戦州の世論調査結果ではトランプ対ヒラリーの支持率は誤差の範囲内で拮抗してきたからです。

つまり、数字では拮抗したにも関わらず、それらを全く無視した情報発信が行われ続けてきたため、多くの人がヒラリー優位と錯覚してきたにすぎません。つまり、従来までの米国情勢を伝える有識者とされている人々が実は数字を無視しており、自分自身の思い込みで大統領選挙の情勢を語っていただけでした。

上記のグラフを見ても一目瞭然ですが、勝敗を左右したフロリダ州の世論調査でもトランプ氏とヒラリーの支持率差は5%程度しかなく、その支持率差は統計上有為かどうか怪しい範囲で推移してきました。他の接戦州の世論調査の状況も似たり寄ったりのものであり、ヒラリーを圧倒的に優位とする根拠は見当たりません。

したがって、世論調査に基づく支持率の単純な比較を行っていた場合、トランプ・ヒラリーのどちらに転んでもおかしくない状況が存在していましたので、今回のトランプ勝利の結果にも何の驚きもありません。

 

 

(4)世論調査で明らかだったヒラリー支持者の明らかな弱点


世論調査を詳細にみていくと、ヒラリー支持者は若者・黒人・ヒスパニックが多い傾向にありました。米国においても若者は投票率が低い傾向があり、オバマほどの特別なつながりを有さない黒人有権者はヒラリー支持にそれほど熱が入っていたように思えません。(ヒスパニック系(特にメキシコ系)はヒラリー支持に熱を入れていましたが・・・)

したがって、事前の接戦州の世論調査全体で均衡していたとしても、投票率が高い高齢・白人・郊外有権者に支えられるトランプ氏が有利なことは世論調査の内訳をみれば一目瞭然でした。この点で問題があるとしたら、学歴があまり高くない白人層の投票率でしたが、その層のトランプ支持者は共和党の予備選挙ですら投票に行った層なので、大統領選挙本選に投票に行く可能性は高かったと言えるでしょう。

 

 

(5)トランプ勝利は「常識」、メディア・有識者は非常識・不見識を反省すべき


以上のように、トランプ氏の予備選挙・本選挙での勝利は数字をしっかりとおさえていけば「常識」的なものでしかなく、むしろ「なるべきようになった」程度のことでしかありません。

偉そうにヒラリー当選を喧伝していた人々は、大学1年生から社会科学に関する基礎的な訓練をやり直したほうが良いと思います。皆の尻馬に乗って有識者・メディアらのインテリがリンチを繰り返すだけの行為は「知への冒涜」です。

今回の大統領選挙では我が国の海外に関する情報収集能力の低さが露呈した形となりました。現代社会は既にインターネットなどが発達して外国の一次情報に直接アクセスできる環境が整っています。今後はメディア各社も「権威的な有識者」の意味のない妄言ではなく、数字をしっかりと押さえた価値ある情報を伝えるようになってほしいものです。

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渡瀬 裕哉

渡瀬 裕哉

早稲田大学招聘研究員、Tokyo Tea Party 事務局長。 東国原英夫前宮崎県知事のマニフェストの作成などの公共分野の改革に関して多数の実績を持つ。 事業家として経営参加したベンチャー企業が東証一部上場企業にM&Aをされて取締役を務める。現在、メディア系ベンチャーのコンサルティング・営業支援事業に従事。 国際的に幅広いネットワークを有しており、米国共和党保守派などと連携し全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。

Webサイト : http://yuyawatase.blog.jp/

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