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※本記事は「ハーレム・ジャーナル」の転載となります。記事内容は執筆者個人の知見によるものです。
トランプの勝利演説の冒頭:今、アメリカは分断による傷を縫い合わせる時です。ひとつにならなければなりません。(中略)これまで私を支持しなかった人々、ほんの少数の人々ですが(観衆の笑い)、あなたがたの導きと助けを得たいのです。共に働き、我々の偉大な国をひとつにするために。
当選するや否や、いきなり「大統領らしい」演説となった。今後、トランプはこれまでのような、あからさまな女性/ラティーノ/イスラム教徒/黒人/障害者……への差別発言を控えるだろう。しかし、これまで散々傷付けられてきたマイノリティたちは一夜明けて急に掌を返したように「ひとつになりましょう」と言われても、トランプを信じることなど到底、出来ない。
トランプが大統領として機能し、これ以上の摩擦を避け、アメリカを偉大にしたいのであれば、トランプ自身がマイノリティを人間として扱う真摯な対応策を施行しなければならない。
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ドキュメンタリー映画『トランプ・ランド』のマイケル・ムーア監督がトランプ勝利予知の記事を今年の夏に書いている。内容は驚愕の精度だ。
だが、天才マイケル・ムーアですら見逃しているポイントがある。人種問題だ。ムーアも「投票の列/貧しい黒人とかヒスパニックの地域だったら/うまく投票できないようにつくられている」「怒れる白人、最後の抵抗/俺たちに指図してきた黒人の男に8年間耐えなきゃいけなかったのに~」と書いてはいるが、記事は製造業の衰退、低賃金/失業にあえぐ労働者の心情によりポイントを置いている。
他の多くの評論家や有権者も言うように、今回の件、これまで陽の目を見ること無く苦労ばかりを強いられてきた「労働者」の存在は非常に大きい。だが、彼らの怒りの底にはアメリカの人種問題が根深く横たわっている。労働者だけでなく、アメリカという国は「黒人の男に8年間も指図される」ことに耐えられなかった。それを当人が意識していたにせよ、無意識だったにせよ。
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今回の一連の騒動はそこが出発点となっている。8年前の “史上初の黒人大統領” の誕生だ。そこに他の様々な問題が複雑に絡み合い、雪だるま式に膨れ上がった。しかし、人種問題はマジョリティ側にはなかなか見えない。昨夜、CNNのコメンテイター、ヴァン・ジョーンズの涙ぐみながらのコメントが話題となった。
「(差別主義者が大統領になったことを)子どもにどう説明するのか」
このコメントに対し、ある白人コメンテイターが「人種問題ばかり言っていても仕方ない」という主旨の返答をした。その時のジョーンズの「これほど言っても通じないのか」という絶望の表情。アメリカの黒人差別はいまだに「死」にすらつながっているという事実にマジョリティ側は気付かない。
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以下はある黒人男性のインスタグラム。写真は「一筋の光もない暗闇」。今後の4年間を静かに忍耐強くサバイバルする決意が書き添えられている。
「これからの4年間、恐れはしても善良であるために邪悪さも憎しみもなく歩き通す」
黒人だけではない。ヒスパニック、イスラム教徒たちも戦々恐々としている。イスラム教徒の幼稚園児が他の子どもに虐められたという記述もすでに見掛けた。
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NBAのスーパースター、レブロン・ジェームズも同様の思いを抱き、しかし望みを捨てずにインスタグラムにケンドリック・ラマー『オールライト』をアップし、以下のコメントを添えている。
「親とリーダーたち、どうか子どもたちに、こんなことになった今も子どもたち自身がより良い世界に変えられると教えてほしい!」
選挙翌日の今日、カリフォルニア州の複数の高校から大量の生徒がトランプへの抗議のためにウォークアウトした。同州には親や家族、もしくは自分自身が不法滞在者であり、問答無用の強制送還による家族離散が起こり得るヒスパニックの生徒が少なからずいる。今、全米の不法滞在者は推定1,100万人。
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これはシカゴのある学校の教室に貼られたメッセージ。
親愛なる滞在資格のない生徒へ、この教室には壁はないよ
親愛なるメキシカンの生徒へ、君たちはレイプ犯でも麻薬密売人でもない
親愛なる黒人の生徒へ、この教室では君たちの命も大切だ
親愛なる女生徒へ、男は君の身体をつかんだり出来ない
親愛なるムスリムの生徒へ、君たちはテロリストなんかじゃない
子どもたちはすでに始めている。
この国はオールライトだ。
そう信じたい。
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※本記事は「ハーレム・ジャーナル」の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
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