選挙ドットコムでは、2024年10月15日公示・27日投票の第50回衆議院議員総選挙を前に、国政政党への政策アンケートを行いました。
アンケートは衆院選の争点となる20の設問で構成され、各党はそれぞれに「賛成」「やや賛成」「中立」「やや反対」「反対」から選択し回答、さらに各設問に対する党の考えや立場について説明していただきました。
本記事では日本共産党のアンケート回答を掲載します。
目次
昨年来、「一大政治犯罪」と指摘されてきた〝裏金〟の温床こそ、政策活動費でした。しかも、政策活動費は、なにに使ったのかという使途を明らかにする必要がありません。自民党の政策活動費は、2011年から2022年の12年間で、総額約160億円にもなります。その使途はほとんどが闇の中です。一部には、選挙区内の有権者への香典などに使うなど明らかに公選法に違反する支出もおこなわれています。多額の飲食費に支出されていることも明らかになっていますが、「政治活動」を名目にしているために、非課税となっています。
「アベノミクス」以来、長期にわたって、2%の物価目標のもとで「異次元金融緩和」政策が続いてきましたが、株価を上げて富裕層に利益をもたらしただけで、暮らしは良くならず、逆に深刻な物価高騰を引き起こしてしまいました。足元の2%台の物価上昇率でも国民の暮らしが悲鳴をあげている現状からすれば、2%の目標に固執する理由はありません。そもそも、中央銀行は「物価の番人」であり、物価高騰で国民が苦しむことがないように、通貨の価値を守るのが役目です。「デフレ」の原因は、政府が大企業の目先の利益を優先して、賃下げなどの「コストカット経済」を進めてきたことにあるのであり、日銀の金融政策で打開できる問題ではありません。
「年収の壁」とは、パートの主婦などの年収が103万円や130万円を超えると年金や医療の保険料の負担が発生し、年収が増えても手取りが逆に大幅に減ってしまうことをいいます。最低賃金の引上げでせっかく時給が上がっても、就労時間を短縮して年収を「壁」の範囲にしなければならないという問題が起きています。「女性の社会進出の妨げになる」という批判もあります。男性も女性も、税や保険料の負担増を気にせずに、自由に働ける環境をつくるべきです。ただし、機械的な制度の撤廃では、急激な負担増となる人が出てきます。低所得者の保険料の軽減などで「壁」を乗り越えやすくして、「壁」を気にせずに働けるようにすることが重要です。
積立方式というのは、「国民が支払った保険料を積み立てて運用し、その運用益と合わせて老後に年金として受け取る」というものです。日本の公的年金は、もともと積立方式で始まりましたが、70年代のインフレで積立金が目減りし、事実上破綻してしまったため、「現役世代の保険料を高齢者の年金に充てる」という今の方式に変更したのです。同様に積立方式で運用されている企業年金の中にも、運用がうまくいかず予定された年金が減ってしまうところが続出しています。公的年金を積立方式に戻そうとすれば、現役世代は現在の高齢者の年金を支えながら、自分の分として積み立てる保険料も払うという「二重の負担」が生じることになってしまいます。
高齢者と現役世代の「対立」を言い立て、高齢者に負担増を求めることを当たり前だとする冷酷な政治が横行していますが、高齢者をはじめ、すべての国民の人権と尊厳を守るのが政治の役割です。政府が自ら社会の分断を進め、世代間のバッシングを助長するなど許されるものではありません。一昨年、75歳以上で所得が一定額を超える人の医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げる改悪が強行されたため、深刻な受診抑制が起こっています。病気にかかりやすく、治療に時間もかかる高齢者の自己負担は、現役世代より低くしてこそ負担の公平がはかれます。不公平を拡大し、高齢者の命と健康を脅かすだけの改悪はやめ、負担の軽減こそ進めるべきです。
改憲勢力は「ただ自衛隊を書き込むだけ」といいますが、まったく違います。自民党はいま、同党憲法改正推進本部が2018年に作成した「素案」を前提に議論していますが、それは9条の後に「9条の二」を新たに設け、「前条の規定は…必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として…自衛隊を保持する」としています。この「必要な自衛の措置」には限定がなく、個別的自衛権だけでなく集団的自衛権の行使も可能と解釈することが可能となります。安保法制が集団的自衛権行使の要件とした「存立危機」事態を超えた、フルスペックの行使に道を開くものであり、絶対に許されません。
今年の能登半島地震や、南海トラフ地震の「巨大地震注意」の政府発表など、日本は地震・津波の脅威に直面しています。安倍政権以来、「世界で最も厳しい水準の規制基準」に合う原発を再稼働する方針ですが、この「基準」にはEUで義務づける設備もなく、原子炉など重要な設備でなければ活断層の真上に建設してもよいというものです。しかも老朽原発を60年を超えて運転するとしています。避難対策は自治体まかせで実効性の保障もなく、使用済み核燃料の処分の目途もたっていません。深刻な事故の場合の大変さは、13年以上たつ福島第一原発で、続く汚染水の発生や廃炉作業の行きづまりなど「収束」とは程遠い現状にあるのを見ても明らかです。
夫婦別姓を選択できるようにしてほしいと、長年にわたって多くの人々が声をあげ、裁判に訴えることも含めて運動してきました。しかし自公政権はこの願いに背を向け続けています。世界では、法律で夫婦同姓を義務づけている国は日本だけです。しかも結婚時に女性が改姓する例が95%と、明らかなジェンダー格差があります。通称使用の拡大では大本の問題が解決せず、不利益は解消しないばかりか、2つの名前を使い分ける負担も増えます。世論調査では、すでに7割以上が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成しています。日本経団連や経済同友会などの財界団体も、早期導入を政府に要望するようになっています。
マイナカードと保険証や運転免許証との一体化押しつけをやめさせます。現行保険証の廃止を撤回し、保険証を残します。そもそも、マイナカードも、マイナカードと保険証とのひも付けも任意です。任意の制度のために保険証を廃止するなど、まったく道理がありません。マイナ保険証自体にも大きな問題があります。マイナ保険証は5年ごとに更新しなければならず、更新を忘れると、窓口で10割負担を求められかねません。保険証よりも不便になります。マイナカードと免許証との統合も問題です。行政や企業が持つ個人情報と警察が集めた情報が関連づけられればプライバシーが丸ごと警察に握られてしまいます。監視社会につながる統合には反対です。
政府の物価対策は、電気代やガソリン代への補助や1回限りの給付金など、細切れのものばかりです。物価高騰はすべての商品・サービスに及んでおり、最も効果的に、すべての人に行き渡る対策として、消費税の減税が必要です。消費税は、①低所得者ほど負担が重く、②所得がない人までが増税の対象となり、③小規模・零細事業者やフリーランスまでが、赤字でも納税を強いられるなど、最悪の不公平税制であり、格差拡大と景気低迷の大きな原因になってきました。消費税は廃止をめざし、緊急に税率を5%に引き下げます、インボイスは廃止します。税率引下げには14兆円の財源が必要ですが、大企業や富裕層への増税や歳出見直しによって確保します。
自公政権復活後の12年間に、消費税は2回も増税される一方で、法人税率は4回も引き下げられてきました。また、租税特別措置やグループ通算制度、受取配当益金不算入制度など、多くの大企業優遇税制が存在するため、大企業の法人税の実質負担率は、中小・中堅企業の半分にしかなりません。こうした大企業減税が賃上げにも新たな国内投資にもつながらず、大企業の内部留保を増やすだけになったことを、与党の「税制改正大綱」でも認めています。大企業優遇税制をただし、大企業の法人税率を自公政権復活前に戻します。大企業の内部留保のうち「余剰資金」となっている部分に時限的な課税を行い、中小企業の最低賃金引上げへの支援に活用します。
私たちは、教育は憲法に保障された国民の基本的人権の一つであり、全般的に無償化すべきだと考えます。ところが、歴代の自民党政権、自公政権は教育予算を低く抑えたため、世界に例のないような学費負担も生じています。それは、学生たちや保護者の生活を圧迫するとともに、子どもを産み育てることを難しくしてきました。私たちは教育の完全無償化に向け、高校教育段階では、高校無償化の所得制限を撤廃し、私立高校の授業料無償を年収910万円以下の家庭まで広げるなど拡充することを提案しています。さらに高等教育の分野(大学・専門学校含む】では、ただちに授業料を半減し、入学金はゼロとすることを提案しています。
事実上の企業・団体献金である政治資金パーティー券の購入も含め、企業・団体献金こそ腐敗政治の大元にあります。財界の関係者がみずから認めているように、企業・団体献金は「見返りを求める利益誘導的な性格」をもっています。そのことは、ばく大な企業・団体献金によって政策がゆがめられることを意味し、国民の参政権にたいする重大な侵害につながります。1994年には政党助成制度を導入することと引き換えに、企業・団体献金を禁止することを合意されていました。が、それがいまでは完全に反故にされています。自民党以外の政党は企業・団体献金の禁止を主張、容認しており、ただちに禁止すべきです。
能登地方の大地震と豪雨災害に対する政府の対策は「従来の水害対策の対応」にとどまっています。国は通知やマニュアルの実行を自治体まかせにするのではなく、被災者と被災地の実状を直接把握し、国の責任で必要な支援をおこなうよう改善すべきです。被災者の生活となりわいの再建を柱にすえ、従来の枠にとらわれず国の支援を抜本的に強めるべきです。予算の増額と人員の強化など体制の強化も求められます。なお、自民党は、災害対策等を口実に、憲法に緊急事態条項を創設する憲法改悪を掲げています。これは「有事」の際に国民の基本的人権を制限し、時の権力による独裁政治を可能にしようとするものです。
日本共産党は軍事費増額そのものに反対です。政府の計画では、27年度の軍事費は国内総生産(GDP)比2%となり、22年度の2倍となる11兆円規模にまで膨れ上がります。しかも、それで〝打ち止め〟となる保障はどこにもありません。失われた30年による経済停滞や貧困な社会保障政策により、までさえギリギリの国民生活をさらに押しつぶすこと必至です。大軍拡により生活関連予算が削減されるだけでなく、増税で国民負担もさらに増えるとなれば、まさに「軍事栄えて民滅ぶ」という事態になってしまいます。そのような道を選ぶことは絶対にあってはなりません。
沖縄で昨年12月、米兵による16歳未満の少女に対する性暴力事件が発生したのに、こともあろうに日本政府がそれを半年も隠蔽し、県に通報しなかったことが大問題となりました。米軍のやりたい放題は沖縄だけではありません。米軍犯罪に加え、日本の国内法が適用されないため、異常な低空飛行訓練など訓練・演習の規制ができない、米軍基地への立ち入り権がない、航空機事故のさいの捜査権を行使できないなど、米国の他の同盟国と比べても異常な事態が全国でつづいています。この根本には植民地的特権を保障した日米地位協定があり、その抜本改定は一刻の猶予もありません。
政府機関の一部地方移転について、自民党政権は「地方への新しいひとの流れをつくる」などを口実としてきました。しかし、この間、地方が疲弊し過疎化が進行してきた背景には、「平成の大合併」で市町村の統廃合を無理に推し進めてきたことがあります。また、「東京一極集中の是正」を柱とする「地方創生」政策も、結局、行政サービスと公共施設等の「集約化」「広域連携」で、人口減少と地域の疲弊を加速させてきました。こうした政策への反省と転換がないかぎり、一部の政府機関を移転したからといって問題は解決されません。本社機能の移転については、それぞれの企業が自主的に判断すべきことで、政治の側から主張すべきことではありません。
現在政府が進めているライドシェアは、利用者の安心・安全への保障が極めて不安定になり、タクシー運転手への犠牲と負担が拡大する危険性が否定できないなど、大きな問題があります。事実上の白タク行為のあっせんには反対です。タクシー業界は、一般車より厳しい車両点検と整備、運転手の健康管理の徹底が義務付けられており、これらをどう担保するのか問われます。地方でのタクシー不足などの問題解決は、自治体も参加して議論すべきで、全国知事会は、急激な規制緩和により、安全の確保が十分できない事業者が参入したことが事故を生み、多くの命が失われたことに触れ、「自動車で旅客運送する際の安全性の確保を大前提にすべき」との見解を示しています。
少子化対策と高齢者福祉はいずれも重要な政策課題であり、対立させて処理すべきでなく、いずれも財源をしっかりと確保すべきです。
日本の選挙権年齢は2016年6月に、それまでの20歳から18歳に引き下げられましたが、被選挙権は依然として25歳からとなっています。選挙権と被選挙権に年齢差をもうける必然的合理的な理由はありません。被選挙権についても18歳に引き下げるべきです。実際、世界の被選挙権年齢をみても、24歳以下というのは125カ国(64.4%)あります。なかでも、56カ国(28.2%)が被選挙権年齢を18歳としています(17歳の2カ国を含む)。主要な国で18歳被選挙権となっているのは、イギリス、フランス、ドイツ、スペインなどです。(国立国会図書館「諸外国の選挙権年齢及び被選挙権年齢」、2015年12月)
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