選挙ドットコムでは、2024年10月15日公示・27日投票の第50回衆議院議員総選挙を前に、国政政党への政策アンケートを行いました。
アンケートは衆院選の争点となる20の設問で構成され、各党はそれぞれに「賛成」「やや賛成」「中立」「やや反対」「反対」から選択し回答、さらに各設問に対する党の考えや立場について説明していただきました。
本記事では立憲民主党のアンケート回答を掲載します。
目次
最終的な使途を明らかにしなくてよい政策活動費は、中身がブラック・ボックスに入れられた合法的な「裏金」であり、事実上の「機密費」となっています。「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われる」べきとの政治資金規正法に基づく政治資金の適正な処理や公開の「抜け穴」ともいえます。ガラス張りの政治の実現を目指し、政党から政治家個人への寄附を禁止するとともに、政治団体の役職員または構成員に対する渡切りの方法による経費の支出を禁止することで、最終的な支出先や金額を記載・公表させるようにします。なお立憲民主党は、党の予算から政策活動費を廃止しており、支出もしておらず、野田新執行部においても踏襲しています。
この間、政府・日銀が「2%」の物価安定目標に固執し続けたが故に、「異次元の金融緩和」からの転換が遅れ、急速な円安・物価高が進み、国民生活が圧迫されました。加えて、そもそも「2%」の物価安定目標に合理的な根拠は存在しません。したがって、デフレ状態を許容しない(=物価をプラスの領域とする)ことを明確にした上で、「2%」目標は取り下げ、特定の数値目標に固執しない、柔軟な金融政策運営を取り戻すべきです。その場合でも、「物価の安定」は金融政策運営の理念として日銀法に定められていますから、日銀がその独立性・専門性の下で、適切に対応していくことが可能であると考えています。
配偶者控除が見直され、配偶者の収入が一定額を超えると控除が一気になくなる仕組みではなくなり、税制面の壁はなくなっています。一方で、配偶者の扶養家族である方が年収130万円を超えて働く場合、国民年金等の保険料の負担が生じて手取りが減る上に、年金給付等の面でメリットは得られません。抜本的改革までの当分の間の措置として、「130万円の壁」等を給付で埋める「就労支援給付制度」を導入します。なお、一定規模を超える事業所の短時間労働者が年収106万円以上となると、厚生年金等の保険料を支払うことになって手取りは減りますが、将来受け取れる年金が増える等のメリットがあるため、106万円は「壁」と捉えていません。
移行期の世代は賦課方式による高齢の受給世代への負担をしながら、同時に自分の老後のための積み立てを行う必要があるなど、積立方式への移行には実行可能性に課題があります。
誰もが必要な医療・介護・障がい福祉・子育て支援などのベーシックサービスについて、必要なときにためらうことなくサービスが受けられるよう窓口などでの自己負担を適正化すべきです。政府が検討している、後期高齢者医療の窓口負担が3割となる人の対象の見直しは、物価高騰の中では、医療サービスの利用控えの懸念や家計への影響が大き過ぎます。物価高騰の中での見直しは認めません。
政府と国会の対話を通じて、憲法9条のもと、わが国が他国から侵害を受けた場合、自国を防衛するための必要最小限度の実力組織として自衛隊は合憲と解釈されています。この解釈の下、専守防衛を基本として自衛隊を保持・運用し、平和国家として歩んできました。9条の改正は不要です。
実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原子力発電所の再稼働は認めません。
結婚の際に同氏を強制されることによる不利益を、ほとんどの場合、女性が負担しています。結婚する当事者のいずれも氏を変更せず、氏の変更による不利益を回避することができる選択的夫婦別姓制度を速やかに導入することが、ジェンダー平等社会の実現につながります。
医療DXの推進は喫緊の課題であるものの、「不安払拭なくしてデジタル化なし」です。国民の不安を払拭し、国民皆保険の下、誰もが必要なときに、必要な医療が受けられる体制を堅持するために、2024年12月の健康保険証の廃止を延期し、一定の条件が整うまで現在の健康保険証を存続させます。現行法においてマイナンバーカードの取得が申請主義であることを踏まえ、マイナ保険証やマイナ免許証の利用は、リスクと便益を自分で判断して決めるべきであり、本人の選択制とします。
消費税率については、財政への責任を果たす観点等から、現状を維持する必要があると考えていますが、同時に、消費税が有する逆進性(所得が低いほど負担割合が大きくなる性質)の問題に対応しなければならないと考えています。しかし、消費税の減税、あるいは軽減税率制度では、高所得者ほど減税額が大きくなるため、税金の使い方として不合理です。立憲民主党は、現行の軽減税率制度に代えて、中低所得者が負担する消費税の一部に相当する額を、所得税から税額控除し、控除しきれない分は給付する「給付付き税額控除」(消費税還付制度)を導入することで、より合理的・効果的な逆進性対策とすべきであると考えています。
法人税については、収益に応じて応分の負担を求める改革を実行すべきです。具体的には、大企業向けの租税特別措置を精査して、効果を上げていないものについては廃止することも必要です。また、受取配当等益金不算入制度について、大企業は特にこの制度による法人税負担の軽減効果が大きく、数千億円から兆円単位の利益を出していながら法人税負担はゼロという大企業もあります。これについて、例えば益金不算入の割合を変えるなど、一定の見直しをしていくことも必要だと考えています。徒に大企業に負担を課すというのではなく、経済・社会全体のバランスを考えていく中で、公平性の観点から、大企業にも応分の負担を求めていきます。
高校の授業料については、所得制限を撤廃し、無償化するべきです。生まれ育った環境にかかわらず、誰もが同じスタートラインに立てる社会を目指します。教育の格差を解消し、人への投資、未来への投資によってわが国の将来を切り拓き、チルドレン・ファーストで教育の無償化や子育て支援を推進していきます。
これまでも多額の企業・団体献金が腐敗や癒着構造の温床となってきました。大口献金やパーティー券を大量に購入してくれる大企業や業界を優遇し、法案や予算、補助金や税制措置で「お返しする」という「持ちつ持たれつ」の関係を築き、その権力を維持してきた構造もあります。一方、献金やパーティー券が売れない分野は後回しになってしまう傾向にあります。企業・団体献金の全面禁止は、30年近くの懸案となっており、国民の政治に対する信頼を回復するためにも、特定の企業・団体が政治・政策決定を歪めることのないように、企業・団体による政党本部・支部、政治資金団体への献金を禁止するとともに、個人献金中心に移行していくべきです。
立憲民主党は、総理直轄で官房長官を実質的なトップとする「危機管理・防災局」を設置することで、戦略的で効果的な対策を進めることを提案しています。政府は、2026年度中に「防災庁」を創設する方針を表明しましたが、詳細は不明であり、どのような権限を持つ組織なのかは現時点で明らかではありません。設置にあたっては、十分な議論をするべきだと考えます。
防衛増税については、その根拠となる総額43兆円の巨額防衛費自体が「数字ありき」で、真に必要な予算を積み上げたものとなっていないことから、全く合理性がない上に、復興特別所得税の流用など、その手法にも問題があります。まだ実施時期も決まっていない状況であり、今からでも速やかに撤回すべきです。
未成年者に対する性的暴行事件やPFAS/PFOS汚染問題など、在日米軍にかかる問題が後をたちません。現在の日米地位協定は他国の地位協定に比べても、わが国の主権制限が大きく、立憲民主党も改定を目指すべきと考えています。地位協定本体の改定が難しくとも、合意や補足協定で改善していくことができます。現に民主党政権では、軍属の公務中の犯罪について、日本で裁けるように合意しました。環境補足協定にも取り組み、その後実現しました。この問題は与野党心を一つにして取り組むべきです。総理に本気で取り組んでいただき、立憲民主党もバックアップしたいと思っています。
東京一極集中が地方の疲弊を招いている一方で、長距離通勤、生活インフラの不足、災害への脆弱性などの問題があります。首都直下地震に備え首都機能の一部を分散移転する必要もあります。一極集中を是正し、地方分散を進めることは、超過密の解消、生活環境の向上、大規模災害や感染症のリスク・被害を小さくすることにもなります。また、中央省庁の分散や移転、企業の本社機能や工場、研究機関・研修機関等の地方移転・地方分散を一層促進することは、地域の経済・産業の活性化を図り、安定した雇用を地域で創出することにもつながります。快適な都市づくりと地域の活性化の両面から、一極集中を是正します。
いわゆるライドシェアについては、諸外国(韓国、トルコ、台湾など)でも禁止されており、一旦認めた場合でも、諸問題や裁判の判決等により、禁止や再規制を行う傾向にある国がOECD加盟38カ国の8割に及び、持続可能な地域公共交通の実現とも矛盾する政策であると考えます。「運行管理や車両整備等の責任の主体を置かないままに自家用車のドライバーのみが運行責任を負う形態を前提としており、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題がある」「特区でも認めない」とする従来の政府見解と同じ立場です。なお、議論に際しては、都市部及び地方・過疎地域の実情に鑑み、それぞれに応じた対策が必要であると考えます。
立憲民主党は子ども・子育てのための政策、高齢者のための政策の両方に力を入れて取り組んでいます。立憲民主党の主な政策は以下の通りです。 <子ども・子育てのための主な政策> 〇公立小中学校の給食費を無償化します。 〇国公立大学の授業料を無償化し、私立大学・専門学校には同額程度の負担軽減を実施します。 〇18歳までのすべての子どもを対象に、1人当たり月1万5千円、年18万円の児童手当を支給します。 <高齢者のための政策> 〇低所得の高齢者の年金に一定額を上乗せして給付する制度を設けます。 〇介護離職をなくすため、介護サービスの質・量を充実させます。 〇訪問介護の基本報酬の引下げを早急に見直します。
若者の投票率の向上を目指すには、自分たちの声が政治に届き、政治が変わっていく、自分たちが直面している現実が変わるという実感を持てるようになること、そのためにも同世代の政治家や候補者が増えることが重要です。若者に参加意識を持ってもらい、政治への関心や投票率の向上、若い世代の声の反映を目指します。政治家のなり手の多様化、若者の政治への直接参加の機会を増やすため、現行の各種選挙の被選挙権年齢を7歳引き下げ、衆議院議員と自治体議員、市町村長は18歳以上、参議院議員と都道府県知事は23歳以上にします。
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