気が付けば8月中旬。早いもので、2017年も半分が終わってしまいました。
そんな2017年の上半期で最も盛り上がった選挙は、何といっても東京都議選でしょう。都民ファーストの会の圧勝は国政にも大きな影響を与え、民進党の蓮舫氏が党首を辞任するきっかけにもなりました。
しかしその裏では、毎月全国各地で選挙が行われていました。知事選、市区町村長選、地方議員選挙、補欠選挙まで合わせると、その数なんと1月~6月で計539件(※無投票の選挙も含む)。特に選挙シーズンの4月には249回もの選挙が行われていました。
(参考)選挙ドットコム 選挙スケジュール http://go2senkyo.com/schedule
自治体のトップを決める首長選は152回(無投票の選挙は除く)も行われ、その回数分の熾烈な争いや熱いドラマが生まれました。
今回はその中でも「惜敗率」に注目して、本当に僅差で涙を呑んでしまった候補者たちに注目していきます。
惜敗率とは、文字通り「どれくらい惜しく破れてしまったのか」を数値化した百分率です。つまり、負けた候補が、同じ選挙区で当選した候補の得票数の何%を得票したか、を求めるものです。高ければ高いほど惜しかった、ということになります。
衆議院議員選挙の場合、小選挙区と比例代表区の両方に立候補すること(重複立候補)が一般的で、名簿の順番が同じ場合は、この惜敗率の高い順に当選を決めます。ですので、国政選挙では候補者の当落に直接関係する、とても大事な数値なんです。
惜敗率ランキングは以下の通りです。
上位5つはすべて惜敗率99%超え! 本当に熾烈な争いでしたが、今回は上位2つの東京都瑞穂町と宮城県栗原市に注目していきます。ちなみに152回の平均惜敗率は65.6%でした。
瑞穂町(みずほまち)とは東京都多摩群にある町で、米軍の横田基地があることで知られています。
4期務めた石塚幸右衛門町長(76)の引退により、新人の三つどもえの争いになった瑞穂町の町長選挙。副町長として八年間石塚町政を支えてきた杉浦裕之氏(63)が、町議の大半からの支援を受けて選挙戦を進め、他の新人候補二人を制して初当選しました。
この選挙、2位の榎本義輝氏(53)とはなんと5票差! 惜敗率は99.90%と、信じられない薄氷の勝利でした。
惜しくも敗れてしまった榎本氏は、何と今回で4度目の出馬。個人サイトで「5票差とは町民皆様の気持ちが伝わるものであり、決して無駄にはならないと確信いたします。」と榎本氏は述べています。
そこで、「日本で最も惜しく敗北してしまった候補者」である榎本氏にインタビューを行いました。
インタビューを行ったところ、榎本氏曰く、「5票差という僅差過ぎる結果に多くの住民が疑問を抱いている。本当に正しく開票されたのかどうか。無効票数が前回も1.8倍となるなど不自然な個所も多く、立会人3人のうち2人が再開票を求めている」とのことでした。
続いて注目の選挙は、宮城県栗原市長選挙です。宮城県栗原市は宮城県の北西部にある市で、人口は7万人ほどの中規模の自治体です。
3期務めた佐藤勇市長(75)の引退により始まった今回の市長選。元市議の千葉健司氏(60)と、市長の推薦を受けた副市長佐藤智氏(60)との一騎打ちで争われました。
そしてこの市長選の特筆すべき点は、最後の最後まで両者が拮抗し続けた名勝負だということです。まず両候補の千葉氏と佐藤氏は中高時代の同級生!
そして千葉氏の祖父と父は旧自治体の町長を務め、一方で佐藤氏の父は同時期に町議を7期務め、議長もしているという、どちらも「地元の政治家」の家柄出身。
両者ともに自民党の推薦獲得に動くも、「意思統一は無理な状況。片方に絞るのは困難。」として自民党宮城県連が「自主投票」を決めるという異例の事態。共通点が非常に多いライバル同士の二人の戦いは、両者譲らずマンガのような極めて熾烈な闘いとなりました。
結果は千葉氏が市長の推薦を受けた佐藤氏を破りますが、何と票差はたったの42票差! 20791票vs20749票という在り得ないほどの僅差で、惜敗率はなんと99.8%。歴史に残る名勝負となりました。
来月以降も、様々な選挙が予定されています。選挙ドットコムでは随時国政・地方選挙情報を発信していきますので、投票の際はぜひ選挙ドットコムを参考にしてくださいね!
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