(本記事は、OPEN POLITICSによる寄稿記事の第3弾です(全4回))
前回までの連載で、被選挙権年齢を引き下げるべき理由と、日本の現在の制度の由来を見てきました。今回は、海外の被選挙権年齢について俯瞰してみたいと思います。
国会国立図書館の調査によると、被選挙権年齢が判明した 194か国のうち、18 歳が54か国(27.8%)、21 歳が 60か国(30.9%)、25歳が57か国(29.4%)と、この 3つの年齢要件のいずれかに該当する国だけで全体の9割近くを占めています。どうやら海外では、18歳、21歳、25歳のいずれかのパッケージが主流のようです。その他の年齢設定としては、17歳(2カ国)、20歳(2カ国)、23歳(6カ国)、24歳(1カ国)、26歳以上(12カ国)となっています。
ちなみに、この数字はOECD(経済協力開発機構)の加盟国34 ヶ国に絞るとさらに顕著なものとして顕れます。OECD加盟34ヵ国の中では、52.9%(18ヵ国)が18歳までに、79.4%(27ヵ国)が21歳までに、被選挙権を保障しているのです。
ところで、被選挙権年齢を海外と比較して話をすると、「民主主義の大国アメリカは日本と同じじゃないか!」という意見をいただくことがあります。確かにその通りで、アメリカの被選挙権年齢は上院(日本の参議院にあたる)が30歳以上、下院(日本の衆議院にあたる)が25歳以上とされていて、一見すると日本と同じく高い年齢に設定されているようにおもわれます。
しかし、アメリカは連邦制の国。50の州に立法権、行政権、司法権を含む大きな権限が与えられていて、州が一つの国のように機能しています。そこで州の被選挙権年齢を見てみると(各州の法律で決められています)、以下のようになっています。
下院では18歳以上と21歳以上が圧倒的多数で、上院でも25歳以上とするのが圧倒的です。
海外の制度がそうなっているから日本もそうすべきというわけではないですが、同じ民主主義のもとで似たような社会システムを取っている国の制度は大いに参考にすべきです。
海外でも最初から被選挙権年齢が低かったわけではなく、若い世代の意見を政治に反映させるために被選挙権年齢を段階的に下げたんですよね。今となっては、イギリス、フランス、ドイツも被選挙権年齢は18歳です。
アメリカでは史上最年少で18歳の市長が誕生したり、世界中の至る所で18歳や20歳の国会議員たちが現れています。 被選挙権年齢が引き下げられたことで、その後どんどんと若い政治家は増えてきており、地方議会で10代、20代が出てくることはもはや珍しい景色ではなくなっています。その結果、政治と政治家自体もどんどんと若返っていき、イタリアのレンツィ首相(当時39歳)やエストニアのターヴィ首相(当時35歳)、カナダのトルドー首相(当時43歳)など、各国に非常に若い首脳が生まれているのです。ちなみに、彼らの組閣した内閣では、やはり相当若い大臣が生まれ、政治の世界にITを導入してどんどんと効率化を進ませるなど、政治そのものが若返っているのです。
いま日本の国会議事堂の平均年齢は60歳手前。未だに議事録が分厚い紙で渡され、委員会中にPCを持ち込めない国会の中を改革するのは若い世代なのではないでしょうか?
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<選挙ドットコム連載記事>
1.なぜ「被選挙権年齢」を「いま」引き下げるべきなのか
2.今の被選挙権年齢のシステムに合理的な根拠なんてなかった
3.海外では3パターンに分かれる被選挙権年齢
4.争点ですらない与野党一致の「引下げ」、その具体的なプランは?
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