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争点ですらない与野党一致の「被選挙権年齢引下げ」、その具体的なプランは?

2016/7/9

OPEN POLITICS

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もはや争点ですらなくなった「被選挙権年齢の引下げ」

今回はシリーズ最終回、具体的な「被選挙権年齢引下げ」プランを検討します。
OPEN POLITICSは、「政治を全世代に開放する」ことで多様な世代の声がより政治に反映される社会の実現を目指し、まずは「被選挙権の取得年齢引き下げ」を目指して、今年2月からキャンペーンを開始しました。 そして、その甲斐あってか、なんと今回の参院選では、自民党、民進党、公明党、共産党、おおさか維新の会、社民党がマニフェストで「被選挙権年齢の引き下げ」を掲げ、もはや引き下げは既定路線のようになっています。
しかし、具体的にはどのようなプランがあるのでしょうか?

 

年齢は一致させるのか、それとも区別すべきか?

まずひとつ目の論点として、現状25歳(衆議院、地方議会、市町村長)と30歳(参議院、都道府県知事)とで区別されている年齢差を一致させるべきか、それとも区別すべきかという議論があります。これは、「衆議院と参議院」、「市町村長と都道府県知事」とで立候補できる年齢に区別を設けるべきかという論点です。
よく言われるのは、衆議院は下院、参議院は上院であり、両院制において上院は「再考の府」「良識の府」にあたるために下院よりも良識ある議員が選出されるべきなので、被選挙権年齢も下院より上に設定するべきであるということ。事実として、海外の国々の6割以上は上院の被選挙権年齢を下院のそれよりも高く設定しています。

 

何歳に引き下げるべきなのか

次に、何歳に引き下げるべきなのかという議論があります。
パターン1としては、被選挙権年齢を選挙権年齢と同じ年齢とするもの(日本では18歳ですね)。イギリスやフランス、ドイツなどがこの制度を採用しており、被選挙権年齢は18歳になっています。逆に、被選挙権年齢は選挙権年齢よりも高く設定するという国も少なくありません。
そこで、パターン2として、被選挙権年齢を選挙権年齢よりも高めに設定するという方法も考えられます。日本では成人年齢が20歳なのでそれに合わせて設定することも考えられますし、海外のパターンとして非常に多い21歳にならうこともありえます。あるいは、もう一つ海外に多いパターンとして25歳に設定することもありえるでしょう。この場合は参議院と都道府県知事の被選挙権年齢が引下げられ、衆議院は今と同じ年齢のままということになります。

 

国から?地方から?それとも特区で?

最後に、どのフェーズで被選挙権年齢を引き下げるのかという議論があります。
パターン1として、衆参両院について、国レベルで立候補年齢を引き下げる方法がありえます。参議院を衆議院と同じ25歳に引き下げるのか、衆参の5歳差は縮めずに、衆議院を20歳、参議院を25歳にするなどの方法が考えられます。なお、このパターンの場合、地方を今のまま置いておく理由は見いだせないため、結局は地方も一緒に引下げられるでしょう。
パターン2として、衆参両院は一旦現行のままにしておき、民主主義の小学校といわれる地方自治体レベルの引下げから始めることも考えられます。地方議会議員と市町村長の立候補は25歳からとなっているので、これを18・20・21歳のいずれかに引き下げたり、あるいは都道府県知事の被選挙権年齢を30歳から18・20・21・25歳に引き下げることなどが考えられます。
パターン3として、国も地方も一旦は現行のままにしておき、地方に「若者政治参画特区」を置くことも一つのプランとして検討されるべきです。つまり、選挙権年齢や被選挙権年齢の画定を特区認定された地方自治体に任せてしまうのです。NPO法人万年野党によると、2003年以降にこれを提案する自治体が出始めているということです。

 

パターンをどう組み合わせるかの議論

以上のような論点がある中で、秋以降の国会では、ぜひそれぞれのパターンをどう組み合わせていくかを検討していただきたいと思っています。参院選ではほとんどの政党が主要政策に掲げてくれた「被選挙権年齢引き下げ」ですが、争点にならなかった結果、あまり多くの議論を呼ばず、結局国会でも議論されないということにならないよう、引き続き私たちOPEN POLITICSもキャンペーンを展開してまいります。

4回に渡る連載をお読みいただいて、ありがとうございました!

 

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<選挙ドットコム連載記事>
1.なぜ「被選挙権年齢」を「いま」引き下げるべきなのか
2.今の被選挙権年齢のシステムに合理的な根拠なんてなかった
3.海外では3パターンに分かれる被選挙権年齢
4.争点ですらない与野党一致の「引下げ」、その具体的なプランは?

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多様な世代の声がより政治に反映される社会の実現を目指す、若者による有志団体。まずは「被選挙権の取得年齢引き下げ」を目指して活動している。

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