(本記事は、「18歳選挙権時代を先駆ける若者たちの声」特集の第7弾として、ivote関西代表の徐東輝さんにご寄稿いただいたものです。)
ivote関西の徐東輝(そぉとんふぃ)です。
もうまもなく投票日がやってくる参院選。「投票の量と質を上げる」と高らかに叫ぶ意識高い系団体のivote関西としても、久々の国政選挙ということで、盛り上がらない参院選をなんとか周知しようとしてきました(にしても盛り上がらん…)。
今日はいよいよ残り僅かとなった選挙戦の中で、今回実施したプロジェクトを振り返り、同じように啓発をしている団体の皆さんの活動の参考になればという思いと、「あぁ割と頑張ったけどこれでも投票率はたぶん上がらないんだろうなあ」という思いを記事にしてぶつけます。(ちなみにこれが落とし所ではありません。最後にきちんとそれでもなぜこんなことをしているのかというメッセージを伝えます。)

ivote関西の基幹事業の一つである「主権者教育」ですが、もちろん参院選でもたくさんの学校で授業をいたしました。京都では、堀川高校、立命館宇治高校、京都教育大学附属高等学校、橘高校、日吉ヶ丘高校、大阪では千里国際高校にて、参院選に向け少しでも生徒のみんなが興味を示せるように創意工夫を凝らした(文字通り何時間も練りました)授業を実施しました。
合計2140名の学生さんたちが目を輝かせて投票にいってくれることを楽しみにしています。
皆さんは「この政治家の言ってること本当かなぁ?」と思った方はいらっしゃいませんか?僕も「調子いいことばっかり言ってるんじゃないの?」と思ってしまうことがあります。選挙演説なんかでは、報道陣もいないため、適当なことを言っている人もいるかもしれません。そんな疑問を解消すべく、政治家の発言の真偽を検証するWebサービスを始めました。
その名も「factmeter」!
まだベータ版ですが、今回の参院選で試験実施し、秋ごろに完成版をローンチする予定です。実は参考にしたアメリカのサービスはピューリッツァー賞を獲得していて、若者発の新しいジャーナリズムが日本に根付くように僕たちも頑張ります。
(このサービスは、ivote関西イニシアティブのもと生まれたシンクタンクSPLAY(Strategy for Public Literacy Accelerated by Youth)によって運営されています)

参院選の公示を控え、若者に絶大な人気を誇るモデルの藤田ニコルさんと一緒に「Ultra Vote Project」というイベントをさせていただきました。(詳しい様子はこちらの記事に)
「#にこるんと選挙」というハッシュタグが一時トレンドになり、のべ1000人を超えるお客さんに楽しんでもらいました。藤田ニコルさんのおかげで、普段僕らが絶対にリーチできない層にリーチできたこと、本当に感謝しています。
ファッションショーみたいな選挙イベントができたことは、僕らivote関西が「北欧でやってる選挙フェスみたいなんしたい!」っていうことをずっと言っていたことを考えると、すごく感慨深いです。

京都大学、同志社大学、立命館大学の3大学の教授陣にお願いして、参院選前に読んでほしい本をコメント付きで選書していただきました。京都大学総長の山極壽一先生を始め、瀧本哲史先生(『僕は君たちに武器を配りたい』著者)、同志社大学前学長の村田晃嗣先生など、有名教授らによる素敵な選書が集まりました。
50冊以上の選書一覧はこちらのサイトからどうぞ!

さらに、大学生協の書店さんが本気を出してくれて、特設コーナーまで作ってくれました!3大学にお立ち寄りの際はぜひ!

今回、京都市選挙管理委員会さんや京都大学の協力の下、これまでとは一風変わった選挙系のイベントを行いました。従来のような「政治家の選び方」や「選挙とは?」のような啓発イベントをしても政治に興味のある人しか来てくれません。そうではなく、同世代の投資家や起業家、モデル、お坊さんなどが集まり、「社会を動かす」をテーマに語り合っていく中で「その一つの大切な方法として投票がある」ということを伝えるイベントです。
会場には150名の若者が集まり、4時間に及ぶイベントは大盛況のままに終わりました。
7月6,7日の両日、テスト前の平日で大学に来ている学生が多いこの両日に、大阪大学に期日前投票所、不在者投票所を設置しました。理解力ある大学と選管のご協力で実現したこの投票所、ひとりでも多くの学生に使ってもらえることを願っていますが、結果やいかに…。
「投票の量と質を上げる」ためには、投票に行くことの意義を伝えることも大切ですが、それと同じくらい「どこに投票すればいいの?」という質問に答えられるような情報発信もしなければなりません。
そこで、ivote関西イニシアティブのシンクタンクSPLAY(Strategy for Public Literacy Accelerated by Youth)が全政党の主張を精査し、アベノミクスから憲法改正、安全保障、そして子育て政策まで主要政策を全政党で比較できるような図を作りました。ここではアベノミクスについてご紹介していますが、他の争点も見たい方はぜひこちらをご覧ください。
ちなみにSPLAYは、他にも「投票に行かない人たちはどういう情報があれば興味湧くんだろう」を調べるリサーチをしたり、若者による当選予想などもしています。
正直、高飛車な感じで「投票行こう」と言っても全然響かないのは当たり前です。そうじゃなくって、投票に興味がない人たちのそれぞれの理由に寄り添った形で言葉をかけないと絶対に心は動きません。
そう思い、今回ivote関西は「投票に行かない理由」に正しいものはあるのかをクイズ形式にしてWebサイトを作りました。もし投票に行くことに疑問を感じられる方はこのページで遊んでみてください。
ivote関西はSeiZeeというオウンドメディアを運営しているのですが、そこで色んなライターさんに「18歳選挙権」「参院選」をテーマに寄稿していただいています。
「うぇいでもわかる憲法改正」など、巷にあふれる頭のいい先生たちが書いたものではない「若者向けの記事」がたくさん出ていますので。

なんと、大学生協の食堂に「祝!18歳選挙権!18菜サラダ」が現れました。これで大学生はご飯に並ぶだけで、「そうだ、選挙だった」と思い出さずにはいられません。そして、それでも無視する大学生には、座席にも煽りまくりのフライヤーとポスターを貼って、選挙を意識せずにはいられないようにします。

他にも赤ちゃんや舞妓さんを使ったビラを大学構内に貼りまくりです。


はい、こちらも2014年衆院選、大阪W選挙、統一地方選ともはや需要がありすぎて恒例行事のようになってきた「美女による投票日カウントダウン」です。街行く女性がみんなに毎日「あと◯日で選挙だよ〜」ってお知らせしてくれます。
これもivote関西のFacebookページで毎日投稿していますので、よろしければ!(こんなの本質的じゃないなんて言わないで!だってみんな見るんだもん…)

おまけです。

18歳選挙権が実現する参院選、少なくない数の公職選挙法違反が起きるのではないかという不安が選挙管理委員会にも教育現場にも広がっています。だけど真面目な周知動画を作っても全然誰も見てくれない。そこで、美男美女が出演するわかりやすいPV作れば見てくれるでしょ!?ということで、PVを作りました。
こちらから見れますので、よろしければどうぞ!

投票に行かない人の中には、投票日を忘れていた人や投票場所がこんなに近くにあったってわからない人も結構多いんですよね。それだったら、「ここに投票所ありますよー!!」って街中をカラフルに彩って、投票所まで案内してあげたらいいじゃん!ということで、京都市の中でも特に投票率が振るわない選挙区の投票所とその町並みをカラフルに「やじるし」型のポスターで彩るプロジェクトを実施します。これは投票日当日!また報告は後日しますね!
昔、横浜市でされた時の写真をイメージ図として載せておきます!

平成18年横浜市のキャンペーン

暑いからうちわ配るしかないってことで!なんかもう政治家みたいなことしてますが、とりあえずうちわ配りました!こんなやつです!

大阪は梅田で、選挙入門講座をしました。初めて投票に行く子たちに「とにかく投票に行こう!」はあまりにも不親切。一人ひとりがどういう思いで投票に行こうと思っているのか、選び方はどこで迷っているのかなど、一つ一つ丁寧に解決していって、「投票のリピーター」を増やすためにこの会を開きました。たくさんの方に木ていただけてホッとしています。(何故か写真が見つからず…すみません。)
もちろん、ivote関西は基幹事業を持っている組織です。教育事業、Webメディア事業、BARの運営はいつもと変わらず進んでいる中で、必死で参院選に向けていろんな挑戦をしてきました。
しかし、おそらくこれで投票率が上がることはありません。僕らのことを知っている人たち、僕らの目に見える範囲の人たちは少し「投票に行こうかな?」と思ってくれることはあっても。こんな数十人が動いただけで、日本の社会問題が簡単に解決されるはずもなく。
だけど、これでいいんです。ただ単に投票の量を上げたければ、ネット投票にすればいいし、義務投票制にすればいいし、投票行かなければ罰金とかってすればいいんです。だけど、そうじゃなくって、「理想的な社会を描く」ことを主眼を置いて、投票はその手段に過ぎないこと、投票に行くことは目的じゃないことを自覚してもらって、少しずつ若者の投票の「質」と一緒に「量」をあげることこそが本当の「投票率向上」です。デンマークだって、オランダだって、20年近い長い時間をかけてやっと若者の投票率が70%を超えました。そういう風に、しっかりと地に足をつけて進んでいかないと。
なが~い記事を読んでくださってありがとうございます。
少しでも同じような活動をしている団体の参考になってくれればという思いで自己紹介のつもりで書きましたが、予想外に長文になってしまいました。
これからもivote関西の挑戦は続きます。応援の程、よろしくお願い致します。
代表 徐東輝
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