年が明け、18歳選挙権の開始は目前に迫っている。今18歳の若者は1997年生まれが主だそうだが、この世代の若者たちが選挙に際して情報を集めたいと思った時、一体どうするべきなのだろう? 政党ホームページだけでは質問はぶつけられない。じゃあ直接聞けばいいのか? と思っても家の隣に質問に答えてくれそうな政治家が住んでいるという人は極めて稀だ。
今回私は、18歳選挙権について質問する内容で、各政党にコンタクトを取ってみた。自分が選挙ドットコムのライターであることは明かさずに、ただの学生として「お問い合わせ」を行い、一番真摯に対応してくれるのはどの党なのか抜き打ちテストするのだ。今後政党が支持を広げるために必要とされる若者向けの広報は、現時点でどの程度機能しているのだろうか?
・日本のこころを大切にする党事務局
・自由民主党本部
・TOKYO自民党
・共産党本部
・公明党本部
・生活の党と山本太郎となかまたち本部
・維新の党本部
※変化球として、民主党は青年会の地区代表の某議員さんに直接Facebookからメッセージを送ってみた。
アプローチをかけるということは決めたものの、一体どこにメールすれば良いのか。政党の公式サイトを漁ると、だいたい「お問い合わせ」というメニューがある。リンク先へ飛ぶとメールフォームか事務局のアドレスが置いてあるので、そこから政党への「ご意見・ご質問」を送れる、という仕組みになっていた。とりあえずこれを利用し、真っ向からコンタクトを取ることを試みることにする。
送った内容は概ね以下の通りだ。質問は政党によって多少変えた部分もあるが、ほぼコピペで骨子は変えていない。
メールは12月23日から24日にかけて送信した。さて、返信は来るのだろうか。
結果を発表しよう。本日(1月6日)までに来た返信は、自動送信の受領確認メールを除いて8通中3通だった。返答率はまさかの37.5%、びっくりするほど返ってこなかったのである。Facebookメッセもスルーされた。えっ、これが普通なの……? メールの出し方が悪かったのかもしれないが、20歳の若者が見つけられる範囲で発見した連絡先になるべく丁寧に質問したつもりである。それでこの結果……情報収集、できなくない?
では内容を見ていこう。来た順に、共産党、公明党、自民党という並びである。
まず真っ先に返信が来た共産党。12月24日にメールをしてから2日後の26日に送られてきた。
3通の返信は、それぞれメールを返してくれた部署が党ごとに異なる。共産党は「共産党中央委員会メール室」から返事が来た。
「会って話そう」という簡潔な内容である。日時の指定がないあたり、道場破りを待ち受けるような態度だ。実際「カチコミ」の勢いで来る奴もいたんだろうなあ……。
メールで質問の回答をしてくれたのは公明党だけであった。
公明党は「党本部青年委員会担当」からの返信だ。送信日は12月28日。
公明党が45年にわたって18歳選挙権実現に向けて働きかけをしてきたということ、若者の意見を聞き入れる機会を設けていることを主張している。公明党は確かに若者向けPRに力を入れてるようで、党のキャラクター「コメ助」をあしらった特設サイトを設置し、このようなパンフレットのPDFファイルを閲覧できるようにしている
「なっちゃん」……??
「一緒にたのしくまなびましょ☆」という漢字変換を忘れたようなメッセージも腹立たしいのだが、右ページの「なっちゃん」には寒気を感じざるを得ない。なっちゃん、なっちゃんですか……。そうですか……。
パンフレットの内容としては、LINE風の質問コーナーや、女性専用車両実施・教科書の無償化など実績を紹介したページが主だ。小学生向けなのかな。
ちなみにこの「コメ助」の公式サイト「コメ助の部屋」では、コメ助の家族紹介や思い出アルバムが閲覧できる。メモ帳などのグッズも販売しているので、酔狂な方にオススメだ。
で、最後の自民党のメールがこれである。送信日は12月30日。
意味が分からない。
私が送ったのは18歳選挙権に関して問い合わせるメールであって、自民党のイベントに参加したいですとは一言も言っていない。質問を誘いで返す謎返信だ。突然大学生(送信元アドレスは明らかに大学のドメインだった)から真言宗寺院視察研修会に来ないかと誘われて行く人間がいるのだろうか……。文脈破壊力がみなぎっている。
今回の対応については、担当者が名前を明かして回答してくれた公明党が最も真摯であったと思う。が、それにしたってまだ窓口の整備は「なってない」と言わざるを得ない。質問したいときはここに連絡すればよいという窓口になるメールアドレスを特設するべきではないだろうか。そんなの電話でいい、と言われるかもしれないが、若者世代の電話への抵抗感は意外と強い。少なくとも私はしたくない。「気軽」に「速攻」でレスを求めるのが当たり前であるゆとり以降の世代に政治の世界から働きかける方法は、まだまだ模索されるべきだろう。
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