2016年6月19日より、18歳でも選挙において投票することができるようになり、最初の大きな選挙は7月の参議院選挙となります。
総務省では、18歳選挙の特設Webサイトを開設し、女優の広瀬すずさんを起用して、「私たちの声を、私たちの将来に。」をというスローガンとともに、解説やシンポジウム、ワークショップ情報などを発信しています。
情報を見るだけではなく、人気ラジオ番組・芸人とタイアップや、架空の都市の市長を選ぶ模擬投票が行うことができたり、画像アップロードすれば選挙ポスターを作成できるなど、体験型のコンテンツも充実しています。
18歳で選挙権を持つ有権者にこのWebサイトがどのように認知されて、利用されるのかは現時点では不透明で、効果がどの程度あるかは分かりませんが、実際のイベントやWeb上のコンテンツで18歳選挙解禁と同時に選挙での投票率を向上させようと努力しているのが分かります。
総務省がしっかりと取り組んでいますが、各政党は新たに増える有権者、約240万人に対してどのような取り組みを行い、2016年の夏にある参議院選挙に備えているのでしょうか?
まだ1月で半年程度も先のことで、少し時期尚早かもしれませんが、確認してみましょう(有権者に対して身近に触れることができるということで、あくまでも検索エンジン等で調べることが可能な範囲の情報をまとめています。)
衆議院・参議院で過半数近くの議席数があり、長年政権与党であり続ける自民党。
自民党は、45歳以下の議員などで構成される「青年局」に「18歳選挙権対策部」を新設し、若者との交流事業「Real Youth Project」と題して、大学のゼミなどを訪問し、意見交換や出張公演、学生団体とのパネルディスカッションなどを行なっているようです。
たとえば2015年12月7日に総勢80名で日本若者協議会と「若者と政党の「政治参加」ガチンコ論争」という討論会を開くなど、2015年7月頃から2016年1月までに16回の活動を行なっています。
直接的に有権者や若者などに対するイベントは行なっているようですが、Webを使った特設Webサイトやコンテンツはありません。実際に有権者と会って話しをするというのは効果があると思いますが、昔ながらの方法という印象を受けますね。
最大野党として、自民党に対抗できる政党として存在感を示したい民主党。
自民党と同じように、若手議員などで構成される民主党青年委員会が、高校生を含む若い世代に政治関心を高めるきっかけ作りとして学生団体の代表者などと若者向けのトークイベント「民主党大学」を開いています。
さらに10代限定、高校生向けのイベントとしてファッション雑誌のモデルや読モ、アイドルなどを招き、「民主党ハイスクール」と題して、選挙の仕組みや投票の意義などに関して、枝野幹事長とパネルディスカッションを行うイベントを行なっています。
ちなみにイベントの前説でお笑いコンビを呼ぶなどして、より親しみやすさを重視しているのが見て取れます。
大学とハイスクール(高校)という名前で学生に対象を絞ったイベントを開いていることからも政党としても若者を重視している姿勢が分かります。また18歳選挙権プロジェクトチームとして、「若者と共同作業で政策づくりを進める会」で大学生らと教育・奨学金などの討論を行なっています。
さらに、民主党公認ゆるキャラである「民主くん」が自称・18歳選挙権PR 大臣として、ツイートを行なってもいます。
特設Webサイトやコンテンツなどは設けずに、直接のイベントを行うという点では自民党と同じですが、その中でもより普通の若者、高校生に親しみを持ってもらおうとする狙いがイベント企画にも現れています。
他の政党と同じく、公明党青年委員会が中心となって、若者との懇談会など若者の声を聞くイベントを行うと同時に、全国規模のアンケート調査「VOICE ACTION」を行っています。
これは1千人の回答を得ることを目指し、まずはインターネット上ではなく青年党員などによる対面方式1月末から5月の連休にかけて行います。そして2月からはスマートフォンで回答できるように特設サイト「あったら、いいね 公明党」を立ち上げ、5つの政策案に対して、最も望むものを選択する形で若者の政策ニーズをつかみ取り、法や政策整備・予算実現することを訴えています。
公明党が使用している5つの政策案
(1)非正規雇用の待遇改善、最低賃金1000円を推進
(2)無料で使える公衆無線LANの充実
(3)不妊治療の公費助成、幼児教育の無償化めざす
(4)出会いをつくる「婚活」、新婚世帯の生活を支援
(5)月曜午前半休の促進など、働き方・休み方を見直し
また公明党も公明党大使として「コメ助」というゆるキャラを使い、キェンペーンを進め、公明党の政策をアピールしています。
他の政党は、情報の周知などアピールという点を重視していますが、アンケート調査を用いて政策反映をしようとする、ひと味違った若者に対する取組みですね。
国政政党の中で、18歳選挙権に向けての取組みで一番異彩を放っているのは、共産党だと思います。
特命PR部「日本共産党カクサン部」という特設Webサイトを開設し、ゆるキャラというよりも、しっかりとしたキャラクターを用いて政治の解説や共産党の政策アピールを行っています。各キャラクターが反TPPや節税、反原発など担当の政策分野を持っており、政策講座や議員などとのインタビューなどのコンテンツがあります。
しかし実は、この特設サイトは2013年の参議院選挙の際に用いたもので、18歳選挙権に向けて、特別に更新しているものではないのです。
以上、いくつかの政党の18歳選挙権に関しての取組みを見てきました。
やはり、どの政党も若者向けのイベントを開催するなどして、若者の政治意識を高めつつも、どのように若者からの支持を獲得するかは、試行錯誤している途中というところでしょうか。
イベントなどによる対話がまだまだ多いですが、選挙に向けて若者が接触しやすく、興味が持てるように特設Webサイトやコンテンツを充実させ、各政党が取り組むことで全体として、政治に対する意識を高めるようにしていって欲しいですね。
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