新聞に掲載された選挙広告に書かれていたスローガンで参院選を振り返るシリーズ、今回は2007年。
長く続いた小泉内閣を引き継いだ安倍総理率いる第1次安倍内閣は、年金記録漏れ問題の発覚、金銭問題や失言による閣僚の辞任・自殺といった残念な状況が続いた中で迎えた選挙戦となりました。対する最大野党の民主党は前年に堀江メール事件の責任を取って辞任した前原誠司に変えて、自民党時代に幹事長まで勤めた大物の小沢一郎を代表に据えての布陣でした。
最終的に自民党は議席を27減らし、民主党に参議院第1党を譲り渡してしまう結果となり、衆参で多数をとる政党が異なる「ねじれ国会」の状態となりました。また、連立与党の公明党も自民党大敗のあおりを受け、現職の落選などにより議席を3つ減らしました。また、2大政党の闘い、という構図に埋没した格好になった共産、社民も議席を微減させています。
この選挙でも、各政党がどのようなスローガンを掲げて闘ったのか当時の新聞広告からピックアップしてみました。
※2007年の流行語は「どげんかせんといかん」「ハニカミ王子」「そんなの関係ねえ」などがありました。
目次
スローガンにしては若干長めのフレーズとなっています。国民が現状に怒り、不安を覚えていることに自覚的になっていることも読み取れます。
自民党のスローガンとは対照的に短いフレーズとなっています。「国民の生活が第一」というフレーズと大写しになった小沢氏の顔のポスターが印象的でした。後に小沢氏は民主党を離れ、新政党名としてこのフレーズを流用することとなります。
自民党を同じく、政権を狙う民主党に対して「責任政党」としての側面を強調しています。
先に述べたとおり、当時の報道は自民対民主の構図ばかりが強調されてしまった影響で、それ以外の小政党が苦戦しました。そこで、なんとか差別化を図った各政党の努力が垣間見られます。社民党は「今回は」を強調。街頭演説でも福島党首が連呼していました。共産党はいまだに語り継がれる「たしかな野党」という革命的な(共産党だけに)スローガンを発明しています。小泉氏に「抵抗勢力」と呼ばれ郵政民営化を期に自民党を離れた面々による国民新党は、否定的なフレーズをあえて多用することで印象付けています。
しがらみがないどころか、公約をめぐって所属国会議員が離反して政党用件は満たすものの議員がいないという不思議な状態で選挙に臨んだ新党日本でしたが、知名度抜群の代表・田中康夫氏の個人票で議席を得ることができました。
世界的な建築家、黒川紀章氏が立ち上げた政治団体。配偶者で国民的女優の若尾文子らを擁立して派手な選挙戦を闘うも全員落選。この選挙の3ヵ月後に黒川氏が逝去して団体の活動は途絶えました。
※維新政党・新風、女性党、9条ネットの新聞広告は確認できませんでした。
次回は民主党政権下で行われた2010年の参院選を取り上げます。
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