永田町や霞が関を歩いていると、いつもこの国は何処へ行こうとしているのかと憂鬱な気持ちになり、何人かの与野党議員や秘書たちと「取材」として話をすると、驚くほど危機感がないことに愕然とさせられる。
熊本地震によって衆参ダブル選挙が遠のいたとする空気が一気に拡がって、衆議院会館は安堵の雰囲気で、みんなゴールデンウィークも返上かと思っていたのにと遊びモードだ。熊本救援で熱くなっているのはごく一部で、それに比べると現地で復旧に取り組む自衛隊や消防、警察の皆さんのほうが公僕の名前にふさわしい存在だとつくづく感じた。
もちろん私とて、何のお役にも立てていないのだから偉そうなことも言えない。ただ政治にかかわるものとして、永田町や霞が関にはある種の鈍感力の雲が垂れ籠めているのではないかと思うほど、平和であり、近ごろあらためて「政治とは何なのか」と自問する日が続いている。
そこで官邸と霞が関の友人に尋ねてみた。
「議員の先生はもう選挙が近いため、国会開会中とはいえ地元活動が忙しいので、委員会質問もやっつけ仕事が多くて対応が楽だ。政府はサミットを成功させるのに頭が一杯で、しかも参議院選挙は自民党が勝つことは自明の理のような雰囲気ですね」
まさに官僚は与党しかみていない。政権交代の可能性がなくなるとこんなにも行政の緊張感はなくなるのかと再確認したが、「今は内閣人事局も出来て官邸主導がますます強くなり、官僚はみんな官邸を見ながら仕事をしている」とも言っていた。
そんな中で気になるいくつかの情報をキャッチしたので、少しお伝えしておこう。
政治は文字通り一寸先が闇である。熊本連鎖地震を誰もが予期できなかったように、だいたい評論家や学者の見通しなどで、まともに正鵠を得たような意見を聞いたことがないが、その類いとしてこの話も受け流して欲しい。
官邸に近い友人がこう言うのだ。安部総理はいっこうに衆参ダブル選挙を諦めていない。憲法改正もさることながらアベノミクスの勢いに陰りが生じ、しかも一強多弱の政治状況に驕り、緩みがどうしても顕著になって自民党議員の不始末が続いていて連日週刊誌を賑わしている。しかも頭の痛いことに消費税10%の約束に答えを出さなくてはならない。
参議院選挙はこのままでいけば自民党が現状維持以上の結果を出すことが出来るが、安倍政権はこの先、厳しい国際環境と経済情勢の展開の下で、なかなか政策を総動員しても今以上の成果を出せず、じり貧になっていくのではないかという危機感を抱いている。だからこそ衆議院を解散できるチャンスは今しかないと考えていたとしてもおかしくない。
もちろん北海道5区の補欠選挙に競り勝った安部総理は意気軒昂だそうだ。中国の圧力でオーストラリアから潜水艦を断られたのはショックだったが、それだけに将来の極東アジアで生き残って行くためにも、この国を守るためには憲法改正は不可欠である。そう意を深めている。そこで考えている秘策が以下の内容なのだと言うのだ。
私は唸った。熊本の復旧に全力を上げ、伊勢志摩サミットを成功させたところで、内閣改造を断行する。その時に目玉として地方創生担当大臣を石破氏からなんとおおさか維新の橋下徹氏を登用し、その上で衆参ダブルに臨む。そんな構想を抱いていると。にわかに信じがたいが、さもありなんと思わせる話だった。
憲法改正に必要な参議院での三分の二を確保するためには与野党の20議席近い差を、与党で埋めることは不可能なのだから、おおさか維新に期待を寄せているというのだ。安部総理は長州人だから。ソコを見逃しては読み解けない次の一手なのだということだそうだ。良くも悪くも吉田松陰、高杉晋作の「狂」の精神である。
いずれにしても興味深い話だった。サミット後の政治の動きが見逃せない。永田町こぼれ話でした。
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