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北海道5区補選、競り勝つのはどちらか。熊本地震の影響も(永田町の住人が死ぬ前に絶対に伝えたい政治の話.2)

2016/4/18

藤川 晋之助

藤川 晋之助

gp01a201403091800最近、民進党がスタートし、北海道5区がその初陣の選挙であるだけに、国会議員が100人も応援に行って大接戦。押せ押せムードになっていると日刊ゲンダイや北海道新聞は、自民が負けそうな記事を盛んに流している。

その効果もあってか、危機感を抱いた安倍総理は官邸から地元の選対幹部に直接電話をかけて激励しているとテレビが報じていたが、いずれにせよ、久しぶりに与野党が真正面から対決する選挙となっていて注目が集まっている。当然、その結果が政局を大きく動かす可能性があるからだ。

しかし、冷静に考えてみれば、一昨年の自民党圧勝下の衆議院選挙でも、自民党が獲得した票と、民主党+共産党のとった票の差は5000票しかなかった訳で、そもそも接戦になってあたりまえの選挙区なのであることを忘れてはならない。

前線で戦う自民党の友人は何故町村姓を名乗らなかったのかとボヤキ、民進党の友人たちはムードが良すぎるのが怖いと囁く。これではわからぬと著名な選挙プランナーに聞くと、それでも自民党が競り勝つ。弔い合戦だからねと語った。

国民的テレビ局の記者は慎重だ。16、17の土日が勝負ですね。両陣営とも大動員をかけていますからと安易に憶測での予想はしない。今のところまったくの互角ですよと。

野党側からは4ポイントほど勝っている。与党側からは数ポイント負けている。国策機関は与党が5ポイント勝っていると、様々な情報が次々と届く。これもそれぞれが信頼する調査会社に頼んでの結果だが、これではなかなか判定ができないのが正直なところだ。

ひとつ確かに言えることは野党が善戦しているということだ。野党統一候補となれば手強い。それだけ、共産党が全国的に精力を伸ばして来ているということであり、私の現在の参議院選挙での予想は、自民党は現状維持、民進党は改選議席が多いだけに少し減らし、その分共産党が3倍くらいに躍進するのではないかと見ている。

共産党との連携がやがて民進党をダメにすると警戒する人は少なくない。先日、共産党の元幹部の人と話をした時に、開会式に出席して天皇を迎えるようになった共産党も、いよいよヨーロッパのように名前を変えるべき時に来ているのではないですか。例えば左派民主党とかと尋ねた。

イタリア共産党の二の舞になってしまいそうだが、共産主義に信念を持っていた古参党員が次々と死んでいく中で、そういう時代が来るかもしれないですねと案外柔軟に答えが返って来たのに驚いた。そのためには綱領も変えないといけないですねとも申し上げたが。

自民党における公明党のように、民進党における共産党との連携が進む時代が来るのかどうか、私は懐疑的だが、日本型二大政党政治の地殻変動が起きるかどうかは、小選挙区制度が続く限り、避けては通れない課題のひとつなのだと、北海道5区の補欠選挙を見て率直に感じたのである。

結局、北海道5区はどうなるのか。与党にとってバカな議員たちが軽はずみな発言や行動を繰り返し、肝心のアベノミクスも陰りが生じている中で、野党にとってこんなチャンスはないと言えるほどの環境にあることは間違いない。

しかし、私は沖縄でのマスコミ報道同様、あまり野党候補に有利な情報を地元紙などマスコミが流し過ぎていることが気になる。そのことがかえって災いする結果になるのではないかと逆に思っていると今のところ答えています。参考までに。

追伸

熊本地震による被災者のみなさんに心からのお見舞いを申し上げます。あらためて活断層の上に成り立つ日本列島の危うさを認識しない訳にはいかないところですが、安倍政権の迅速な対応ぶりに国民の評価は高く、微妙に北海道5区の補欠選挙に影響することを付け加えておかなくてはならない。

この土日に各局が世論調査を行っているが、顕著に内閣と自民党への支持率がアップしている。こうした危機に直面すると、残念ながら野党はほとんど無力であり、与党への期待感が高まるものである。まして3.11東日本大震災における民主党政権の対応の不充分さへの記憶が甦ってくるだけになおさらだ。安倍総理はほとんど5区への応援を取り止め、官邸で陣頭指揮をとっている。不謹慎な見立てだが、ここで5区の潮目が変わるかもしれない。

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藤川 晋之助

藤川 晋之助

政治アナリスト。23歳の時、選挙の手伝いをきっかけに国会議員秘書となる。代議士秘書、大臣秘書、地方議員、放浪と隠遁生活を経て東南アジアでいくつかの事業に挑戦。帰国後、東京で藤川事務所を設立し、国会議員や首長の政策立案、選挙をサポートする。政官マスコミに幅広い人脈を持ち、田中派・小沢派での豊富な選挙経験を武器に高い勝率を誇る「選挙のプロ」としても名高い。趣味は文学と政治。

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