投票日が24日に迫った2つの衆院補欠選挙。北海道5区では自民党公認と無所属の「野党統一候補」による一騎打ち。京都3区は民進党やおおさか維新の会など野党候補6人が競う展開となっています。おおさか維新にとっては初めての国政選挙。地元関西でどこまで票を伸ばすことができるのかで、今後の政局の行方も変わってきそうです。
北海道5区に立候補しているのは故町村信孝元衆院議長の娘婿である自民公認で新人の和田義明氏(44)と、無所属で民進党、共産党、社民党、生活の党となかまたちが推薦する池田真紀氏(43)の2人。各紙の情勢調査によると和田氏がやや先行し、僅差で池田氏が追う展開となっているようです。
一方、不倫騒動が明らかになった宮崎謙介前衆院議員の辞職に伴う京都3区の補選。宮崎氏の所属していた自民党は候補の擁立を見送り、民進党前職の泉健太氏(41)、おおさか維新の会新人の森夏枝氏(34)ら6人が立候補し、しのぎを削っています。
報道によると、京都3区は2012年、2014年の衆院選で宮崎氏に僅差で敗れた民進党の泉氏が優勢。少し離れておおさか維新の森氏が追う展開だといいます。
維新は大阪の地方議員らが総結集して選挙対策にあたっていますが、京都は自立心が強く、プライドの高い土地柄。維新関係者は「京都の人に『おおさか』という名前の政党に投票してもらうのは厳しい」と話しています。
京都3区は小選挙区制度が初めて導入された1996年の衆院選で共産党の公認候補が勝ったという珍しい選挙区。2003年以降は民主党の泉氏が議席を得ていましたが、直近2回は全国的な自民党への猛烈な追い風を受けて宮崎氏が接戦を制していました。
前回2014年の衆院選では宮崎氏が5万9000票で、泉氏が5万4000票余り。維新は元職を擁立しましたが、共産党を下回る2万4000票余りにとどまりました。擁立を見送った与党の支持層を取り込めば勝機を見出せそうですが、維新と自民は大阪ではバチバチに争っている間柄。今のところ与党支持層にはほとんど浸透していないようです。
おおさか維新の原点は2012年に発足した日本維新の会。当時は自民党が下野し、民主党が政権担当能力の低さを露呈させた時期。「自民でも民主でもない第三極」がブームとなり、同年の衆院選では民主党の57議席に迫る54議席を獲得して話題となりました。
しかし、同じく第三極を自称していたみんなの党が内部対立により2014年に解散。維新も分裂を繰り返し、規模はどんどん小さくなりました。現在の所属議員は衆院14人、参院8人の計22人。しかも、参院の全国比例を除くとほとんどが大阪を中心とする近畿地方の選出議員です。
維新幹部は「党名の『おおさか』というのは地名ではなく、改革を象徴する言葉」と強調していますが、関西以外の有権者からは地域政党として見られているのが現実。実際におおさか維新の松井一郎代表(大阪府知事)が名古屋市の河村たかし市長に維新と河村氏率いる地域政党「減税日本」との合流を呼びかけたものの、河村氏が「『おおさか』という名前は受け入れがたい」として拒否した経緯もあります。
おおさか維新は今夏の参院選後に党名を「日本維新の会」に変更する方向で検討中とのことですが、大阪以外の地域からは時期を前倒しするよう求める声も出ています。京都3区補選の結果次第では、再び第三極ブームを復活させるための戦略を練り直さなければならないかもしれません。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします