参院選挙制度改革は24日、一票の格差を是正するために4県・2合区を含む定数「10増10減」案を野党4党と自民党が共同提出し、参院本会議で可決されました。来週には衆院本会議でも可決され、来夏の参院選に導入される見通しとなりました。
一方自民党内では、合区対象となる地域から反対意見が相次いでおり、参院採決時も合区対象県選出の自民党議員6人が退席するなど、党内の反発は必死さを増しています。
自民党は以前から定数調整だけの「6増6減」案と、これに合区を足した案の両方を検討してきましたが、合区への党内の反発は根強く調整が難航していました。また参院自民党だけでは単独過半数に届かないため、民主、公明にも理解を求めてきましたが、両党は10合区を含む「12増12減」案に合意。合区に消極的な自民党は、来年の参院選まで残された時間が迫る中、7月9日に合区を最小限にできる野党4党の「10増10減」案を正式に受け入れました。
自民党の「10増10減」案の合意を受け、参院執行部は定数削減や合区となる地域に説明に回り理解を求めました。定数削減となる宮城、新潟、長野の各自民党県連は、定数削減について概ね理解を示しているようです。
・「自民「10増10減」案説明 宮城県連、理解示す」(7月16日産経)
・「新潟2減、自民県連が受け入れ表明」(7月15日新潟日報)
・「県区定数減の参院選改革案 自民が長野で説明 県連 条件付き理解」(7月17日信濃毎日)
ところが、合区対象となる「鳥取・島根」と「徳島・高知」はいずれも反発の声が噴出した形となり、党本部とのミゾが深まっていきています。
・「参院選合区 自民県連反発相次ぐ」(7月16日読売)
・「鳥取・島根 合区反対 県連、党本部を批判」(7月15日日本海)
・「『合区』協議は物別れ 徳島市、自民県連が執行部を批判」(7月21日徳島)
・「自民党の参院幹事長が合区説明 高知県連は受け入れず反対」(7月20日高知)
また中央でも合区対象地域を地盤とする4人の閣僚=石破茂地方創生担当相(衆院鳥取1区)、竹下亘復興相(衆院島根2区)、山口俊一沖縄北方担当相(衆院徳島2区)、中谷元・防衛相(衆院高知1区)からも異論が出るなど、意見がまとまらない状態です。
合区対象となる4県のうち、来年参院選では鳥取、高知両県で自民党の改選議員はいませんが、高知では既に元県議を候補として擁立し、党本部に申請済みでした。2019年の参院選では4県全てで現職自民候補が揃っているため、候補者調整は一段と難しくなるでしょう。出馬を断念せざるを得ない候補の救済策として、比例代表で必ず選出されるよう当選順位をあらかじめ決める「拘束名簿式」の復活を求める声も党内から出ていましたが、4野党からの反発により実現は難しいと思われます。それでも自民党の役員連絡会では24日、合区対象の4県から参議院議員を確実に出せるようにする救済策を検討する方針が確認されたとして、今後の議論の行方に注目が集まっています。
・「自民、拘束名簿式見送り 参院選改革 合区対象議員は早期結論反対の申し入れ」(7月17日産経)
・「自民 「合区」対象4県への救済策検討へ」(7月24日NHK)
地方創生が叫ばれるなかで、人口のみを「物差し」とする合区案が進めば地方の代表は次々と消え、ますます地方の声が国に届かなくなる。そうした危機感が合区に対する反発となっています。選挙ドットコムでは引き続き、参院制度改革の動きに注目していきます。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします
My選挙
あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。
話題のキーワード