7月28日、参議院の一票の格差是正に向けた改正公職選挙法が成立しました。これにより2016年夏の参院通常選挙から、選挙区の合区を含む定数「10増10減」が適用されることとなりました。これにより一票の格差は2.97倍まで縮まるとされています。
これまでの選挙制度改革の流れをおさらいしてみましょう。
2012年11月に定数を「4増4減」とした公選法改正案が成立し、同法の附則に2016年の通常選挙に向けて、「選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、結論を得るものとする」と明記されました。
2013年7月の参院選を経て、9月には与野党選挙制度協議会が設置され議論がスタート。2014年4月には格差を1.83倍に縮める11選挙区の合区案を座長が提案。地方で地盤の固い自民党内の猛反発を呼び、議論は紛糾。
その中で同年11月、最大格差4.77倍だった2013年7月の参院選を「違憲状態」とする最高裁判決が出されました。合区についても考えざるを得ない情勢となり、1年後に参院選が迫る中、自民党はようやく合区を含む「10増10減」案に合意し、公選法改正案を成立させることができました。
今回の改正法の附則にも、2019年の参院選に向け「選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする」と記されました。「必ず」が加わった点が、一連の議論が不十分だったことを物語っています。
ささやかな合区と定数是正を進めても、格差はいまだに約3倍。今後の人口分布の変化でさらに格差が広がれば、もはやこうした対応策では対処しきれません。
一方、合区対象地域の反発の声、都道府県単位の選挙区を維持してほしいという声も根強くあります。全国知事会は参院選挙制度について、有識者による研究会の設置と、参議院は各都道府県の代表で構成するとの提言を今年中にまとめるとしています。
「知事会 “参院は各都道府県の代表で構成を”」(7月29日NHK)
都道府県単位の選挙区を変えるのか、残すのかは、今後の議論の中で避けては通れません。参院選挙制度改革の方向性は、参議院の役割とはどうあるべきか、参議院議員とは「何」の代表なのかを改めて問い直すことによって導かれるものであり、このような「抜本的な見直し」が一層求められることになります。
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