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川村 のりあき ブログ

【障害者福祉の現場から】施設はできた。でも「支える人」がいない――親の会から聞いた6つの課題

2026/8/16

「ベッド数はあっても、体制が組めない」

新しい施設ができても、働く人がいなければ使えない。

ショートステイのベッドがあっても、職員が確保できなければ動かせない。

送迎バスがあっても、運転を担う人がいなければ、必要な方が施設まで通えない。

2026年7月、新宿区手をつなぐ親の会の皆様との予算懇談で、いまの障害者福祉が抱えている切実な課題を伺いました。

新宿区議会議員の川村のりあきです。

日本共産党新宿区議団では毎年夏、来年度予算に向けて区内の団体・事業者の皆様と懇談し、直接ご要望を伺っています。

今回、親の会の皆様からいただいた要望は、大きく6つ。

どれも、ご本人とご家族の「命と暮らしの土台」にかかわる問題でした。

そして今回、改めて強く感じたことがあります。

施設をつくるだけでは、福祉は完成しない。

そこで働く人、移動を支える人、相談に乗る人――「支える人」を支えるところまで、行政の責任で考えなければならない。

今回は、現場から伺った声をご報告します。

親の会から寄せられた「6つの要望」

今回いただいた要望は、次の6つです。

① 行動障害を含む多様な人が暮らせる住まいの整備

② 移動困難者を支える交通支援の拡充

③ 地域で支えるネットワーク・相談支援体制の強化

④ 高齢化にともなう生活ステージの移行と「親なき後」の支援

⑤ 緊急時に確実に支援できる体制の構築

⑥ 災害時に安全に避難し、生活を続けられる体制の整備

一見すると、それぞれ別の課題に見えます。

しかし、話を伺っていくと、すべてがつながっていました。

「送迎」がなければ、サービスがあっても使えない

今回、私が特に重く受け止めたのが移動・送迎の問題です。

重度の障害がある方にとって、公共交通機関を使って通所することが難しい場合があります。

だからこそ、通所施設の送迎バスは、ご本人だけでなく、ご家族の暮らしを支える生活の生命線です。

ところがいま、運転を担う方の高齢化に加え、募集をしても次の担い手がなかなか見つからない。

そのため、事業所が送迎できる範囲を、やむを得ず見直さなければならない状況も生まれています。

親の会からは、

「以前は利用できた送迎が、いまは難しくなっている」

というお話もありました。

これは、施設がサービスを減らしたいからではありません。

人がいないのです。

親御さんが送るしかない。

ヘルパーに頼みたくても、そのヘルパーも足りない。

短期入所と日中活動の場所が離れていれば、移動手段がないため、せっかく空きがあっても利用を断念することがあります。

サービスが「ある」ことと、

実際に「使える」ことは違います。

移動できなければ、社会参加そのものが難しくなる

移動の問題は、通所だけではありません。

通院、買い物、余暇活動、地域との交流。

生活のあらゆる場面にかかわります。

親の会からは、

・短期入所施設などを巡回する送迎車

・既存の福祉輸送の活用拡大

・地域全体で移動を支える仕組み

など、具体的な提案もいただきました。

私は、送迎を個々の施設や家族の努力だけに任せるのではなく、

新宿区全体として「障害のある方の移動をどう保障するか」

を考える段階に来ていると思います。

施設はできた。でも「支える人」がいない

もう一つ、懇談のなかで繰り返し出てきたのが人材不足です。

2025年、新宿区内には新たな障害者グループホーム等施設が開設し、住まいの整備は前進しました。

ところが、併設された短期入所などでは、人員確保が難しく、十分に稼働させられない状況があります。

現場から聞いた言葉が忘れられません。

「ベッド数はあるんだけど、体制が組めない」

「ショートステイが増えましたと言っても、なかなか稼働できない」

建物はある。

ベッドもある。

それでも、そこで働く人がいなければ、必要な方を受け入れることはできません。

なぜ、人が集まらないのか

障害福祉の仕事には、高い専門性が求められます。

一人ひとり異なる特性を理解し、安全を守りながら、その方らしい生活を支える。

強度行動障害への対応など、専門的な研修や経験が必要な仕事もあります。

ところが、その専門性や責任に見合った処遇になっているでしょうか。

懇談では、

「新宿は家賃が高いから、応募したくても住めない」

という現場の声も紹介されました。

人が集まらない。

いま働いている方に負担が集中する。

研修を受ける余裕もなくなる。

そして、さらに人が定着しにくくなる。

この悪循環を、現場の努力だけで解決することはできません。

「人材確保」まで含めて施設整備ではないか

私は、

施設整備と人材確保を別々に考えてはいけない

と思います。

せっかく公費を投入して施設を整備しても、職員不足でベッドを動かせないのであれば、ご本人やご家族にとっては「使えない施設」になってしまいます。

保育や学童などでは、職員確保を目的とした家賃支援の仕組みも進んできました。

障害福祉についても、

例えば家賃支援も含めた人材確保策や処遇改善に、行政がもっと踏み込めないか。

他自治体の取り組みも調査し、新宿区に具体的な提案をしていきます。

相談したくても、「相談する人」が足りない

人材不足は、施設職員だけの問題ではありません。

親の会からは、

相談支援専門員が足りない

という切実な声もありました。

「担当の方が50人くらい抱えている」

そんなお話もありました。

相談支援専門員は、ご本人やご家族の状況を聞き、必要な福祉サービスを組み合わせ、生活全体を一緒に考える重要な役割を担います。

ところが、相談支援そのものが事業として厳しく、

「一生懸命やりたくても赤字になる」

という問題があるといいます。

これは深刻です。

制度がどれだけあっても、

その人に合った制度へつないでくれる人がいなければ、支援は届きません。

「親なき後」をどう支えるのか

ご本人の高齢化と、親御さんの高齢化も同時に進んでいます。

親御さんが元気なうちは家族で支えられても、

「自分が倒れたら、この子はどうなるのか」

という不安があります。

就労継続支援B型から生活介護へ。

グループホームから高齢者施設へ。

年齢や状態の変化によって必要な支援も変わります。

しかし、障害福祉と高齢福祉の制度の境目で、必要なときに必要な支援へスムーズにつながらないことがあります。

単に、

「65歳になったから介護保険へ」

では済みません。

長年通ってきた場所、慣れ親しんだ職員や仲間との関係も、その方の生活の一部だからです。

親が倒れたとき、「必ず使える場所」はあるのか

そして、もう一つ切実なのが緊急時です。

親御さんが突然倒れた。

入院することになった。

そのとき、ご本人を誰が支えるのか。

短期間なら緊急ショートステイを利用できても、長期になれば受け皿が見つからず、生活圏から離れた施設を紹介されることもあると伺いました。

環境の急激な変化が、大きな負担になる方もいます。

だからこそ、

「いざというときに、必ず使える場所」

を地域のなかに確保する必要があります。

災害時、「避難所へ行けない人」を忘れない

災害対策についても重要な要望がありました。

障害の特性によって、

「大勢の人がいる避難所では過ごせない」

「トイレの環境が合わない」

「いつもと違う場所では落ち着くことが難しい」

という方がいます。

そのため、在宅避難を選ばざるを得ない家庭もあります。

しかし、避難所へ来ないからといって、支援が必要ないわけではありません。

むしろ、

「避難所に来られない人に、どう支援を届けるか」

まで考えることが、本当の災害対策ではないでしょうか。

親の会では、日ごろから地域の方々に障害のある方の存在を知ってもらう「ごきんじょねっと」という取り組みも進めています。

こうした地域の努力を、行政もしっかり支える必要があります。

私が「あゆみの家」から学んできたこと

私は議員になって以来、西落合にある新宿区立あゆみの家をめぐる課題にも長く取り組んできました。

職員配置、看護師体制、短期入所、指定管理者制度への移行など、その時々に保護者や関係者の皆様から声を伺い、議会で取り上げてきました。

そのなかで一貫して感じてきたことがあります。

福祉は、建物だけでは成り立たない。

そこで利用者に寄り添い、毎日の暮らしを支える「人」がいて、初めて施設は生きます。

そして、

支える人が大切にされてはじめて、利用者の暮らしも守られる。

これは20年以上、この問題にかかわってきた私の変わらない思いです。

あゆみの家の歴史と、私が議会で取り上げてきた職員配置、看護師体制、指定管理への移行などについては、改めて別の記事で詳しくご報告します。

20年前から残っている「宿題」

一つだけ、今回どうしても触れておきたいことがあります。

私は20年以上前から、あゆみの家の短期入所を増やすことなどを求めてきました。

しかし、施設上の制約などもあり、十分には実現できていません。

そして今回、親の会の皆さんから改めて聞いた切実な声の一つが、

「ショートステイが足りない」

でした。

20年前に残った宿題が、いまも目の前にあります。

私は、この宿題をまだ果たせていません。

だからこそ、今回の懇談を「お話を伺いました」で終わらせるつもりはありません。

20年に一度の基本構想改定へ、現場の声を

いま新宿区では、これからの新宿の将来像を定める基本構想・総合計画の検討が進んでいます。

障害福祉に関する計画の改定も進められています。

私も基本構想審議会の委員として議論に参加しています。

だからこそ、

障害があっても地域で暮らし続けられること。

家族だけに負担を背負わせないこと。

必要なときに相談できること。

必要なサービスへ移動できること。

そして、その福祉を支える職員が安心して働き続けられること。

こうした現場の声を、新しい新宿の計画にしっかり位置づけていきたいと思います。

「施設をつくった」で終わらせない

今回の懇談で、私が最も強く感じたのはここです。

施設をつくった。

ベッドを増やした。

それだけで「福祉を充実した」と言えるでしょうか。

働く人がいなければ、ベッドは使えません。

運転する人がいなければ、施設へ行けません。

相談する人がいなければ、必要な制度へつながれません。

緊急時の受け皿がなければ、家族は安心できません。

だから次に必要なのは、

「施設」だけでなく、「支える人」を支えること。

そして、

「制度がある」だけでなく、「実際に使える」福祉へ。

新宿区手をつなぐ親の会の皆さんからいただいた6つの要望を、決算議会、来年度予算への要望、そして新しい基本構想・総合計画の議論へ、一つひとつ届けていきます。

現場の声を、政策へ。

聞いただけで終わらせません。

📌 今回いただいた6つの要望

① 行動障害を含む多様な人が暮らせる住まいの整備

② 移動困難者を支える交通支援の拡充

③ 地域で支えるネットワーク・相談支援体制の強化

④ 高齢化と「親なき後」を見据えた支援体制

⑤ 緊急時に確実に利用できる支援体制

⑥ 災害時の避難・生活継続支援

「施設をつくる」から、「実際に使える」福祉へ。

一つひとつ、取り組んでいきます。

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📋 皆さんの声をお聞かせください

「ショートステイが使えない」

「送迎がなくて困っている」

「相談支援専門員が見つからない」

「親なき後が不安」

「災害が起きたとき、避難所へ行けない」

ご本人、ご家族、福祉の現場で働く皆さんからの声をぜひお寄せください。

一人の「困った」が、制度を変える出発点になるかもしれません。

2026年度 第21回 新宿区政アンケート

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川村のりあき(川村範昭)

日本共産党新宿区議会議員 6期24年

「区民のためなら、あきらめない」

出典・参考資料

・新宿区手をつなぐ親の会「要望書」

・新宿区「新宿区立あゆみの家」(所在地・事業内容)

https://www.city.shinjuku.lg.jp/fukushi/file06_06_00009.html

・新宿区議会 各委員会・予算特別委員会・決算特別委員会 会議録(あゆみの家に関する川村のりあき委員の質疑)

会議録検索システム https://ssp.kaigiroku.net/tenant/shinjuku

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著者

川村 のりあき

川村 のりあき

選挙 新宿区議会議員選挙 (2023/04/23) [当選] 2,106 票
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