5月28日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」のテーマは「米と進次郎と参院選」!日本国内でコメの価格が高騰しており、国民生活に大きな影響を与えている状況に対し、政府は備蓄米の放出を決定しました。そのプロセスや効果、そして新たに農林水産大臣に就任した小泉進次郎氏の役割が、来たる参院選と絡めて大きな注目を集めています。朝日新聞の今野忍記者、産経新聞の水内茂幸記者の名物コンビが米を巡る政治の動きを徹底解説します!
まず、コメ価格高騰の背景と備蓄米放出の問題点を説明します。
コメの価格が高騰した背景には、昨年の天候不順やインバウンド需要の増加など複数の要因が挙げられますが、根幹にあるのは農林水産省の見込みよりも約40万トンもの供給が不足したことだと言われています。供給が需要に追いつかないため、価格が上昇するのは当然の成り行きでした。
これに対し、政府は今年3月に災害用ではない備蓄米を価格抑制のために放出することを決定しました。しかし、その放出方法が問題視されました。本来、国民の税金で購入された備蓄米は勝手に安く出せないという法律上の制約もあり、入札方式が採用されたのです。その結果、政府が60キロ当たり1万3000円程度で購入したコメが、入札によって主にJAに2万5000円という高値で落札される事態が発生しました。これにより、安く値段下げるために出すための備蓄米で国がなぜか1万2000円儲かるという、価格抑制という目的とは真逆の皮肉な結果を招いてしまったのです。さらに、JAが落札した約20万トンのうち、5月22日時点で市場に出回ったのは10万トンに留まっており、流通の遅れも価格高騰を抑制できなかった要因とされています。
今野記者「結局、20万トンの備蓄米を出したけど価格は高い。 かつ10万トンしか出せてない。だから結局価格を下げる効果がなかったんですよ」
水内記者「時間もかかりすぎちゃったしね」
こうした中で飛び出したのが、当時の江藤拓農林水産大臣の「コメは買ったことがない発言」でした。野党からの猛反発を招きました。この発言後、江藤大臣は事実上更迭され、後任に小泉進次郎氏が就任しました。
この人事は、緊急登板の場合は経験者を充てるという政権のセオリーを裏切るものでした。これまで農政分野での経験が少ないと見られていた小泉氏が起用された背景には、参院選を強く意識した党執行部の判断があったと言われています。今野記者によると、菅義偉元総理も選挙を考えれば小泉氏を起用すべきだと進言したとされています。
就任した小泉氏は、従来の入札方式を即座に止め、国が価格を決めてJAなどを通さずに小売店へ直接販売する「随意契約」に切り替える方針を打ち出しました。これにより、政府が1俵(約60キロ)当たり1万3000円で購入したコメを1万0700円(5キロ換算で892円)という、これまでの半額以下で放出することを可能にしたのです。これに流通経費などを加えても、店頭価格は2000円台前半になると見られています。従来、食料の価格に政府が介入するのはタブー視されてきましたが、小泉大臣は政治責任でやると表明し、従来の枠組みにとらわれない姿勢を強調しました。
実は、備蓄米放出に際して随意契約が有効であるという声は、小泉氏が就任する前から存在していました。しかし、これが実現してこなかった背景には、自民党とJA(農業協同組合)、そして農林水産省という「鉄のトライアングル」と呼ばれる構造的な繋がりがあると言われています。
JAは農家の協同組合であり、コメの集荷や販売を担うほか、農家への資材販売なども行っています。また、農業者政治連盟(農政連)という政治団体を通じて自民党への選挙支援も行っています。自民党は農協票を重視し、農水省はJAを農家との窓口として政策を進める傾向にあります。この構造の中で、コメの価格安定が重視され、JAの利益や組織維持が優先されがちになります。随意契約のようにJAを通さずにコメを流通させる方法は、JAの流通網や収益構造を揺るがすため、強い抵抗が生じやすかったのです。
この「鉄のトライアングル」で、しばしば見落とされがちな存在が「消費者」です。構造上、政策決定が3者のバランスが優先されるため、消費者の利益が後回しになる傾向が指摘されています。
また、日本では長らく続けられてきた減反政策(生産調整)は2018年に廃止されたとされていますが、実質的には転作奨励金などを通じて生産量を誘導しており、生産調整は続いているという見方もあります。こうした構造自体を改革し、農家への直接所得補償などを行うべきだという議論も存在します。
参院選が迫る中で、このコメ価格引き下げは「参院選に向けた最後の切り札」とも言える状況です。
今野記者「物価高対策で米の価格下げましたというアピールにはなる。下がるかどうかは参院選に直結する」
ただし、懸念点も残されています。備蓄米が安価で出回ることで、コシヒカリなどの銘柄米の価格にどう影響するかは不透明です。また、随意契約による小売店への直接販売が、特に地方の流通網にどこまで浸透するか、精米能力なども含めてスムーズに進むかは未知数です。一部では、都市部への流通が中心になる可能性も指摘されています。
今回のコメを巡る動きは、小泉氏にとってはポスト石破を見据えた試金石となる可能性も指摘されており、その手腕が注目されています。コメ価格の行方、そしてそれが参院選にどう影響するのか、今後の展開が注目されます。
この詳細は、ぜひ動画本編でご確認ください!
選挙ドットコムちゃんねるは毎週火曜日から日曜日に公開!ぜひ高評価とチャンネル登録をよろしくお願いいたします!
【有権者の心に響く第一印象を。選挙ドットコムで、あなたの情報を掲載しませんか?】
選挙ドットコムの政治家情報ページには、顔写真やSNSアカウントへのリンクなどを完全無料で掲載いただけます。
有権者の皆さまにとって、こうした情報は候補者一人ひとりを知るための大切な第一歩になります。
ぜひ、あなたのページを充実させて、有権者の皆さまとの距離をぐっと縮めてみませんか?
情報掲載をご希望の際は、こちらのフォームよりお送りください。皆さまからの情報をお待ちしております!
※申請は「政治家・候補者本人」または「政治家・候補者本人から承諾を得ている方」に限ります。承諾がない場合は掲載できませんこと、予めご了承ください。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします