2025年は、参議院議員選挙と東京都議会議員選挙が同じ年に実施される、12年に一度の「選挙イヤー」です。過去にも7回、両選挙が同年に行われており、その結果は日本の政治情勢に大きな影響を与えてきました。本記事では、これまでの参院選と都議選が同年に行われた事例と、その際の政治的変動について振り返ります。
過去に参院選と都議選が同じ年に行われたのは、現在の憲法が施行されて以降1947年、1959年、1965年、1977年、1989年、2001年、2013年の計7回ありました。
1947年
参院選(第1回) 4月20日
都議選(第2回) 4月30日
1959年
参院選(第5回) 6月2日
都議選(第5回) 4月23日
1965年
参院選(第7回) 7月4日
都議選(第7回) 7月23日(※東京都議会の解散に伴う選挙)
1977年
参院選(第11回) 7月10日
都議選(第10回) 7月10日
1989年
参院選(第15回) 7月23日
都議選(第13回) 7月2日
2001年
参院選(第19回) 7月29日
都議選(第16回) 6月24日
2013年
参院選(第23回) 7月21日
都議選(第19回) 6月23日
都議選と参院選が同日に行われたのは1977年のみ。これ以降は、都議選が参院選より前に実施されており、今年も6月22日に都議選、7月中に参院選の順番で予定されています。
同じ年に行われる都議選と参院選は、その時々の政治情勢を反映し、しばしば大きな政局の変動を示唆してきました。以下に、象徴的な3つの事例を紹介します。
1965年:都議会の「黒い霧事件」と革新勢力の台頭
1965年、日本の政治は大きな転換期を迎えました。7月4日の参院選では、与党・自民党が第一党の座を維持しつつも議席を減らし、日本社会党が躍進しました。さらに、前年に結党された公明党が国政選挙に初挑戦し、11議席を獲得するなど、多党化の兆しが見え始めました。
一方、都議会では同年に都議会議長選挙をめぐる大規模な贈収賄事件、いわゆる「東京都議会黒い霧事件」が発覚しました。この事件を受け、都議会は特例法に基づく自主解散による選挙戦に突入しました。参院選の3週間後に実施された7月23日の都議選では、自民党が大敗し、日本社会党が第一党となりました。この結果は、1967年の都知事選で日本社会党と日本共産党が推薦した美濃部亮吉氏の当選、「革新都政」の誕生へとつながりました。
●「黒い霧事件」の詳細をもっと知りたい!という方はコチラの記事を!
都議選はなぜ7月に行われるの?国政まで巻き込んだ「地方議会の自主解散」制度の制定にまつわる「ある事件」とは (選挙ドットコム掲載)
1989年:平成初の選挙で社会党が躍進
1989年、平成の幕開けとともに、日本の政治情勢は大きく動きました。リクルート事件や消費税導入などで自民党への逆風が強まる中、7月2日の都議選では自民党が現有議席を大幅に減らし惨敗。社会党は得票を大幅に増やし、都議会第2党に躍進を遂げました。
続く7月23日の参院選でも自民党が改選議席をほぼ半減させて惨敗。一方、日本社会党は「マドンナ旋風」と称される女性候補者の活躍もあり、改選議席で第1党に。歴史的な逆転を果たしました。同党の土井たか子委員長の「山が動いた」という発言は、時代の変化を象徴するものとして広く知られています。
2013年:自民党の再躍進と「ねじれ」解消
2009年の衆議院選挙で民主党が政権を獲得し、同年の都議会選挙および2010年の参議院選挙でも第一党となりました。自民党がこれらの第一党の座を奪還したのが2013年でした。
2013年6月23日に行われた都議選では、自民党が大きく議席を伸ばし、第1党の座を奪還しました。一方、民主党は議席を減らし、第4会派に後退する結果となりました。
参院選では、自民党65議席、公明党11議席を獲得し、与党が圧勝。非改選議席と合わせて参議院で過半数を大きく上回る議席を確保しました。これにより、2010年から続いていた衆参の「ねじれ国会」が解消されました。一方、野党は苦戦を強いられ、民主党は17議席にとどまりました。みんなの党と日本共産党がそれぞれ8議席、日本維新の会も8議席を獲得しました。
この選挙では、インターネット選挙運動(ネット選挙)が初めて解禁されました。
参院選の前年である2012年に発足した第2次安倍政権は、結果的に2020年8月まで続いて憲政史上最も長い政権となりました。民主党の分裂や新興勢力の台頭などとも相まって、自民党による「一強多弱」の時代が到来し、日本の政治地図に大きな変化をもたらしました。
ここまで見てきたように、同じ年に行われた都議選と参院選はその時の政治トレンドを反映する形の結果となってきました。長らく政権与党だった自公が後退し、新勢力が台頭する傾向も重なっています。今年の両選挙はさらに、昨年の衆院選で少数与党、新興政党躍進の流れがある中での選挙戦となります。
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