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「政党を経営する」中期経営計画を策定した維新の会・藤田幹事長が見る、政治と経営の共通点は?選挙ドットコムちゃんねるまとめ

2024/8/9

選挙ドットコム編集部

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2024年7月28日に公開された動画のテーマは「会社経営者は政治家として大成する?」

ゲストは、起業経験のある日本維新の会・藤田文武幹事長です。拡大期のベンチャー企業の経営が、政党運営に活かせると語ります。維新の「中期経営計画」や、次の党運営を占う自民党総裁選、立憲民主党代表選についてもお伺いしました。

【このトピックのポイント】

  • ベンチャー経営と維新の会の経営の共通点
  • 維新の「中期経営計画」はこう作った!
  • 実業家が政治家に転身する時の困難?
  • 自民党総裁選・立憲民主党代表選にはここを期待!

藤田氏のプロフィールは以下の通りです。

現在、日本維新の会の幹事長を務める藤田氏は、学生時代から政治家と経営者を意識し始めたとのことです。留学後、ベンチャー企業の勤務を経て2010年に会社を設立。2012年に維新政治塾の1期生として入塾したのが、政治と維新の会に接点を持った始まりだそうです。

2017年衆院選に初チャレンジ、2019年の衆院補選で初当選、2期目で日本維新の会の幹事長に就任されました。

維新は大阪の改革を通じてシンパシーがあったことと、民間の感覚を大事にする「すごいまっすぐなエネルギーを感じて、共感した」とのことです。

今回は以下の質問からいくつかピックアップして藤田氏に回答していただきました。

「成長過程にある政党を経営する」藤田幹事長の覚悟

スポーツマネジメントを学び、ベンチャー企業へ勤務した後、ご自身で会社を設立された藤田氏。

政治の世界に入られて、経営者としての発見はありましたか?

「経営は合理性を追求しないと勝てないし潰れていくし伸びないし、合理性の部分は大事」と言葉を選ぶように語り出した藤田氏。

藤田文武氏「もちろん、経営でも情の部分も大事だが、政治の世界は非効率。『情』と『理』のバランスは、経営と政治の世界では少し違うかなと思います」

藤田氏が経験したビジネスは、介護や福祉、健康医療関係。ゼロから会社を立ち上げ、従業員100人レベルに拡大するまでの経営実務を経験されています。「現場にも立ち、エッセンシャルワーカーの声を聞いてきた」との経験もあるそうです。

「従業員は100人くらいで馬鹿でかい会社ではない。経営者上がりといわれるが、世の中に経営という意味で化け物はたくさんいる」と謙遜する藤田氏ですが、「経営者としての技術を転用して政党を経営しようというコンセプトが今のやり方」と語ります。

藤田氏「経営者が政治家として大成するかわからないが、そこで学んだビジネススキルや覚悟というものは私は転用できると思っていて」

MC伊藤由佳莉「中期経営計画を立てて実行する日本維新の会は、政党としては画期的。自分の経験を活かして政党をよりよくしようということにつながったのですか?」

「そこまでかっこいいものではなくて」と照れくさそうに笑う藤田氏は、前任の馬場伸幸幹事長、松井一郎幹事長という、酸いも甘いもかみ分け、キャリアも長い政治家との差別化を図ったと語ります。

藤田氏「政治家として熟練の人と同じやり方をしても無理だなという思いが自分にやっぱりあって……それでも任された自分で、もがきながら一生懸命やりたいと思った時に、マネするのでなく自分の強みを活かそうと割り切りました」

また、小さな政党から急成長していく維新の姿を、自身の会社や、コンサルタントとして関わった中小企業にもなぞらえ、「中小企業がスケールしていく時のやり方」と説明します。

藤田氏「大阪だけが強い状態から、全国に議員を増やし拡大をしていく。大きな衆議院選挙で野党第一党を目指し、政権の構造自体を変えることをやる。拡大期に起こりえる問題の対処方法や経営スキルはあるなと思って」

政治と経営は違うでしょといわれるが、「全部人間がやってるじゃないですか。摂理や原則があり、転用すればいいと思っています」と柔軟な考え方を示します。

日本維新の会の中期経営計画とは

MC伊藤由佳莉「ちょうど、中期経営計画の策定から今年で2年半になります。軌道修正をするところは?」

藤田氏は「実はあまりなくて」と微笑みます。

日本維新の会の中期経営計画は、3つの目標に対して達成するための「実行戦略」と呼ばれる4つの大きなアクションがあり、それぞれのアクションに小さなToDoを紐付けています。

藤田氏「膨大にあるアクションやToDoのいくつかをわかりやすくメッセージを伝え、進捗を追いかけています。毎年党大会で報告するのは株主総会みたいなもの。目標はこうだった、実際に取り組んだ、成果はこうだったということを、時間の制約のある中で説明する場を党大会で設けています」

細かな目標で縛るのでなく、「達成したら次にいかなければならないから、アクションやToDoは変わります」と語るあたりも、発展途上のベンチャー企業をマネジメントした経験が活きているようです。

MC伊藤「新しく入ってきた人にも目線を合わせやすい?」

藤田氏は、橋下徹氏の「組織には政策目標と行動目標が必要だ。両方大事」という言葉を参考にしていると語ります。

藤田氏「大阪維新の会の政策目標は大阪都構想。統治機構改革を大阪からスタートし、大阪から日本の形を変える。わかりやすいし、全員語れます」

藤田氏「行動目標もとてもシンプル。それを実現するために、知事と市長を取り、府議会、市議会の過半数を取る。それ以外の市議会でも、議席を増やす。シンプルでわかりやすい目標が共有されていました」

一方、国政の維新では、藤田氏が幹事長に就任した時代は国会議員が11人しかいない、冬の時代。「政策目標と行動目標が確立されて共有されているかというと、結構迷子になっていた」と振り返ります。

その後に衆院選で勝利し、国政維新の会の政策目標と行動目標をちゃんと立てないとという思いを強めました。

藤田氏「統治機構改革と社会保障改革。日本大改革プランを発案し、党の政策としてまとめました。税と社会保障と労働市場の一体改革をするという政策目標」

藤田氏「行動目標はやっぱり選挙。どういう結果をだすか。そのために組織を変えるか。参議院選挙、統一地方選挙、衆院選挙というターゲットを絞って作っていったのがきっかけ」

実業家が政治の世界でも活躍するには?

ここまで、藤田氏が、自身の経営者としての経験を政党運営に「転用」してきた話を伺いました。

ところで、実業家出身の元政治家にはさまざまな方がいらっしゃいます。「企業のトップの方が、政党の一員として働く難しさがあるのでは?」というMC伊藤の疑問に、藤田氏はこう答えます。

藤田氏「名前が挙げられている皆さんは超一流の経営者で、自分は足元にも及びません。逆にその理想と経営におけるスピード感が政治と多分、あまりに違いすぎて、歯がゆかっただろうし面白くもなかったかもしれませんね」

政治には両輪が必要だと語る藤田氏。

藤田氏「ひとつは、橋下さんとかが大事にされていた突破力、発信力、エネルギーをどんとまっすぐ出すやりかたで、もうひとつは調整し交渉し説得していくやり方」

利害関係者が多い世界なので、損する政策を打ち出すこともある中で、どう理解を求め、むしろどう仲間にしていくかを丁寧にやっていくか、という後者のアプローチは、経営にはない要素もたくさんあると藤田氏は説明します。

藤田氏「そういう意味で、大経営者が政界に来たら『なんと不合理で非効率な世界だ』と失望することは多いと思います」

MC伊藤「経営の第一人者が政界に入って切り開ける可能性は?」

優秀な経営トップの時代をつかむ力や切り開くエネルギーを政界にも取り入れないと、政界が「すごく硬直した世界観に成り下がるのではないかという危機感がある」と懸念する藤田氏は、経営実務を担っている人、とくに若い人も含めて、どんどん活躍できる政界の構造を目指さなければならないと熱を込めます。

藤田氏「自分は維新の会の幹事長だから、維新の会がそうならないように、より優秀な人がどんどん入り、組織も現代の伸びていく会社組織に近いスピード感で動かせるように作りたい」

自民党総裁選・立憲民主党代表選をどう見る

最後の質問は、この秋に行われる自民党の総裁選と立憲民主党の代表選についてです。

まずは自民党総裁選。総裁になった時に戦いづらい人はいるか?という質問に、小泉進次郎氏、小林鷹之氏を挙げ、「年も近いし懇意にさせていただいている。きわめて優秀なかたがた」とコメントします。

藤田氏「自民党って古いよね、老人支配的な、大企業病的な批判のされ方がするし、そういう側面はあると思う。でも、自民党で、同年代が本当にリーダーになったら、相当前例にない新しいこと。なしえたらすごいなあと思う」

日本維新の会は「引退した松井さんでも『アラ還』、中央政界では若いほう」です。

藤田氏「維新では僕たちの世代をどんどん前に出してくれます。我々には若さという強さがまだあると思う。そういう意味で、(自民党の)このふたりは期待する反面、脅威でもあります」

自民党の人材の層の厚さもアピールポイントとなりうると、論戦を戦わせる総裁選自体が脅威と語る藤田氏は、「自分たちの強さをもう一度蓄えていきたい」と表情を引き締めます。

今回、総裁選から衆院選へという流れが予想されます。リーダーが代わった場合の戦いかたとして、どうなると戦いやすいでしょうか?

「戦いやすいかどうかで考えていなかった」と小考する藤田氏ですが、現状の自民党がどこまで改革志向を示せるかがポイントだと指摘します。

藤田氏「多くの自民党議員は、こんな小さなお金の話でなんで俺たちここまで言われなきゃいけないの、と物事を小さく捉えているかもしれないが、そういうところにやっぱり組織の悪いところが出る」

藤田氏「実際に信頼を失っていくんだよということを本気で受け止めて、もう一度政治改革のはなしを大きくやりましょうよという人が出てきたら、カウンタパートナーとしてはとても楽しみだし、日本の政治としてはそうあるべきです」

政治改革は総裁選の論点にあるべき?という問いに対しては、「政党をきちっとマネジメントできなければ国家をマネジメントできない」とサラッと返します。

藤田氏「自民党はできあがっているけれど悪いところが噴出している。悪いところを変えていける人が日本の政治には必要。僕が自民党員で総裁選に出るならば、政治改革をビッグアジェンダとして入れる」

続いて、立憲民主党の代表選については、泉代表の交代を求める声に「一般論として」と語り始めます。

藤田氏「党勢を拡大したのは泉さんのおかげかどうかは別にして、しんどい時からがんばって目標を立てて、ちょっとよくなって時に、よくなっているのにあいつダメっていわれるのはかわいそう」

藤田氏「政治ってもっと正直であるべき。頑張った人が報われる社会を目指すなら政党もそうあるべき。しんどいときにも耐えている人、派手な成功じゃないけれど地味な準備をした人にちゃんと光を当て、しんどい時にも卑屈にならず、いいときにも調子に乗らない、そういう組織を僕は作りたいと思っていて。泉さんがぼろくそ言われるのはちょっとかわいそうだと思う」

立憲民主党の代表候補と噂されるかたがたも「キャリアが長いので、立憲民主党の実力を披露することになる」と語る藤田氏は、「僕たちはタイミングが違うけれど、2つの大政党の議論を注視したい」とコメントします。

MC伊藤「立憲民主党にはどういう議論を深めてほしい?」

藤田氏は、「基軸となる政策に対し態度表明をしてほしい」ときっぱりと語ります。

藤田氏「憲法について、エネルギー(原発含む)、外交安全保障、税……それぞれの考えがあると思う。代表選は個人の政治家が自分の意見を胸を張って表明できる場。キャッチフレーズに終わらせず、激論を戦わせてほしい」

動画本編はこちら!

「2つの大政党の議論を注視」自民総裁選と立憲代表選それぞれに維新・藤田幹事長が期待することとは?

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2023年に年間1億PVを突破した国内最大級の政治・選挙ポータルサイト「選挙ドットコム」を運営しています。元地方議員、元選挙プランナー、大手メディアのニュースサイト制作・編集、地方選挙に関する専門紙記者など様々な経験を持つ『選挙好き』な変わった人々が、『選挙をもっとオモシロク』を合言葉に、選挙や政治家に関連するニュース、コラム、インタビューなど、様々なコンテンツを発信していきます。

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