参議院議員選挙は7月10日に投開票日を迎えます。
参議院議員選挙としては過去最多となる181人の女性候補者が立候補するなど、政治分野における女性の参画に注目が集まっています。
参議院議員選挙における女性の参画について、議員と有権者、それぞれの状況を確認してみましょう。
参議院議員選挙に立候補した女性は181人、候補者に占める女性の割合は33.2%と過去最高を記録しています。
政府が第5次男女共同参画基本計画で示した目標は、2025年までに衆参両院での選挙における女性候補者の比率を35%とすることです。
前回の参議院議員選挙での候補者に占める女性の割合は28.1%でしたので、参議院においては政府目標の達成が近づいたことがわかります。
ただし、候補者の増加=政治分野での女性の参画の増加となるわけではありません。
選挙の結果、女性の議員がどれくらい誕生したかということや、投票に参加した女性の数なども影響します。
列国議会同盟の調査によると参議院の女性議員比率23.1%は、2院制の国82か国中44番目となっています。(2022年6月1日時点)
なお、衆議院にも目を向けると状況は厳しいものとなります。
前回衆議院議員選挙において候補者に占める女性の割合は17.70%でした。また、衆議院の女性議員比率は9.9%であり、列国議会同盟の調査(下院ないし一院制議会との比較)では190か国中163位となっています。(2022年6月1日時点)
図表1では、総務省「参議院議員通常選挙年齢別投票率調」を用いて、性別による有権者数と投票者数の差の推移をグラフ化しています。
近年、有権者数では350万人、投票者数では100~150万人ほど女性が多くなっています。また、有権者数の差は緩やかに上昇していましたが、投票者数の差は減少傾向にあることが確認できます。
図表2では、直近3回の参議院議員選挙での年齢別(5歳区切り)性別投票率差(女性-男性)をグラフ化しています。
60歳前後を境目として、男性の投票率が女性の投票率を上回るようになっていることが確認できます。
参院選(2019年)において、いずれも男性の方が投票率の高かった3つの世代(65~69歳、70~74歳、75~79歳)について過去の投票率を確認してみましょう。
2019年の参議院議員選挙において65~69歳であった世代は、15年前(2004年)の参議院議員選挙では50~54歳でした。当該選挙における投票率は男性64.02%、女性65.27%と女性の方が高くなっています。
同じようにさらに15年前(1989年)の参議院議員選挙を見てみると、2019年参院選で男性の方が投票率の高かった3世代とも、女性の投票率が男性よりも高かったことがわかります。
参議院議員選挙(1989年)は女性の投票者が男性投票者よりも約238万人多い選挙でした。直近の参議院議員選挙(2019年)の性別による投票者数の差は女性が109万人ほど多い状況でしたので、30年間で投票者数に占める男女の差は半減(129万減)していることになります。
このことの理由として考えられるのは、若い世代の投票行動の変化です。
参議院議員選挙(1989年)も55歳以上の投票率は男性の方が女性よりも高くなっていた一方で、若い年代では20代9.0%、30代前半7.8%と、それぞれ女性が男性を上回っていました。
参議院議員選挙(2019年)では「女性の投票率-男性投票率」は20代2.6%、30代1.5%と差が大きく縮小しており、このことが投票者数の差の減少につながっています。
比較したなかで投票者数の男女差が最も大きかった参院選(1989年)では、初めて自民党が過半数割れを経験しています。「ねじれ国会」はその後の法案審議にも影響を与え、参議院での議論が先導する形での育児休業法の成立にもつながっていきました。
この時、女性の候補者の割合は前回選挙よりも5%ほど高い21.8%、選挙後の参議院における女性議員割合は17.5%(前回選挙後よりも9.6%増)となるなど、投票者に加えて議員側での変化も生じていました。
今回の参院選は、「票ハラ(投票ハラスメント)」や男女間の賃金格差、正規/非正規雇用の割合の差など、政治及び社会経済活動において性別に由来する問題、課題が顕在化したなかで迎えています。
立候補者に占める女性の割合は過去最高となっていますが、投票者の状況にも変化が生まれることでこれらの問題の解決に向けた動きに変化を生じさせることになるでしょうか。
参議院議員選挙の結果が注目されます。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします
My選挙
あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。
話題のキーワード