7月10日に参議院議員選挙が投開票日を迎えます。
18歳選挙権が導入されてから5回目の国政選挙となりますが、若者参加状況には地域ごとの違いなどがあるのでしょうか。
総務省「「年齢別投票率調」を用いて過去の国政選挙から検討してみましょう。
18歳選挙権が導入されてから実施された4回の国政選挙について、18歳の投票率を都道府県別にランキングし、順位=ポイントとして合算、順位付けしたものが図表1です。
最も順位の良かった都道府県は埼玉県であり、山梨県、山形県と続いています。
上位の都道府県を見てみると、特定の地域に偏ることなく、まんべんなくランクインしていることがわかります。
一方、投票率下位では、低い方から順に宮崎県、島根県(両県は同点)、高知県となっています。
下位の都道府県は西日本に多く、特に四国地方はすべての県が低い順位となっていました。
続いて19歳のランキングです。
最も順位の良かったのは埼玉県で神奈川県、愛知県と続いています。
18歳の投票率に比べると、3大都市圏の都道府県が上位に多く位置していることがわかります。
投票率下位は低い方から順に島根県、山口県、宮崎県となっています。
下位の都道府県は西日本に多く、四国地方に加え、中国地方の県が比較的多く見られます。
20歳の投票状況についても確認しておきましょう。
投票率の良かった都道府県は、埼玉県、神奈川県、京都府となっており上位に位置する都道府県は19歳投票率ランキングと似ています。
投票率下位は低い方から順に宮崎県、島根県、山口県となっています。
参議院議員選挙では、2016年から合区が導入されました。
鳥取県と島根県、徳島県と高知県が合区となりましたが、18歳~20歳の投票率の中で、ワースト5に入っていたのは、高知県(18歳)と島根県(18歳、19歳、20歳)です。
合区となった県の投票率順位は決して高くはありませんが、合区となったことで若者の投票率が著しく低くなっていることはなさそうです。
19歳と20歳では、ランキング上位の都道府県は平均してどの選挙でも投票率順位がよくなっています。
仮に各選挙での投票率が10位だった場合、順位点合計は40点となりますが、該当する都道府県は、18歳:2県、19歳:7都県、20歳:8都府県と19歳、20歳で増加しています。
一方、下位については、下から10番目の順位(=38位)を取り続けた場合の順位点合計は152点となり、その基準を超えていた都道府県数は18歳:3県、19歳:4県、20歳:2県と比較的散らばっていることがわかります。そのなかでも、島根県及び宮崎県は3つの年代でワースト3に入っているなど、若者の投票参加が少ない状況が続いています。
地域性を考慮して若者の投票状況を検討する際に忘れてはならないのが投票棄権者の偏りです。
図表4では人口推計(各年10月1日現在人口)を基に推計した衆議院議員選挙での10代有権者の投票棄権者数をランキングしています。
都市部への人口集中の影響もあり、投票率が上位となっていた東京都や神奈川県、愛知県が棄権者数上位5位以内に入っています。
また、多くの若者が棄権している地域は、この4年間で大きく変わっていません。棄権者数上位5都道府県で、全体の30%以上を占める状況となっています。
図表5にあるように、日本の若年層の投票率の落ち込み(65歳~74歳の投票率を基準とした比較結果)は他国よりも際立ったものとなっています。
ただし、直近の衆院選(2021年)では、18歳~24歳において約5%の改善もみられています。このことの背景には、18歳選挙権の導入により初めての投票を迎える21歳以下の世代の投票率が改善傾向にあることなどがあります。
【関連記事】18歳選挙権が若者の投票に及ぼした影響は? (原口和徳)
今回の参議院議員選挙でも、若者の投票参加に向けた取組みが各地で行われています。地域ごとの若者の参加状況に変化がみられるのかどうかや、各地域の取り組みが積み重なった結果として若者投票参加状況が他国内の水準へと近づいていくのか、それとも一度足踏みをすることになるのかなど、参議院議員選挙での若者の動向が注目されます。
注:本記事は総務省への情報公開請求を通じて取得した国政選挙での都道府県別年齢別投票率(抽出調査)を使用して作成しています。
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