7月4日に公示された第25回参議院議員通常選挙(以下、参院選)も21日の投開票日に向けて、最終盤を迎えています。「老後2000万円問題」や「消費税増税」をはじめとする様々な争点が示されているものの、「18歳選挙権」が話題となった前回の参院選に比べると、若者の間での盛り上がりは少し低調かもしれません。
なかには、「日本には様々な問題がある」と思うし、「政治家は問題を解決すべき」と思うものの、「投票日の近くには試験やレポートの提出があって忙しいな…」という学生の方や「事前に情報を調べてわざわざ投票に行くかどうかは別だなぁ」という若い世代の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな人に伝えたい3つの数字があります。
参院選を実施するための予算として571億円が計上されています。
ちなみに、前回の参院選の投票率(選挙区)は54.7%と、およそ半分の人が投票していない状況でした。語弊があることも承知で言い換えると、「国民の政治に対する意見を聞くために実施される参院選に要する費用(571億円)の約5割弱(=257億円)が無駄になっている」とも言える状況です。
ちなみに、257億円あると、どんな取り組みができると思いますか?
若者向けの政策として話題になることの多い「給付型奨学金」は、今年度は41,400人に支給するために140億円が予算化されています。
また、無利子奨学金と有利子奨学金は合わせて132.9万人への支給が見込まれています。
もし、257億円を若者のために自由に使うことができたら、給付型奨学金を支給する人を大幅に増やすことやその支給金額を増額すること、有利子ではなく無利子型奨学金を受給する人を増やすことなどが実現できそうです。
「そこまでいうなら投票しよう」と思っても、投票所なんてどこにあるかもわからないし、どうせ行くのが面倒な場所にあるんでしょ、と思う方もいるのではないでしょうか。
7月21日には全国47,044カ所に投票所が設置されます。
例えば、前回の参院選で10代有権者の棄権者数が最も多かった東京都と2番目に多かった大阪府を対象に見てみましょう。
東京都には1,869か所の投票所が設置される予定ですが、これは東京都内のローソンの店舗数(1,730店舗)よりも多い数です。
同様に、大阪府には1,776か所の投票所の設置が予定されていますが、大阪府内にあるセブンイレブン(1,245店舗)、ファミリーマート(1,357店舗)、ローソン(1,142店舗)のどれよりも多い数になります。(出典:mitok「コンビニ店舗数の都道府県別ランキングを作ってみた|2018年12月版」)
ほかにも、激戦が伝えられる1人区の滋賀県では投票所が846か所に対し、県内のコンビニは合計562店舗、秋田県では投票所807カ所に対し県内のコンビニ464店舗となっています。
こうして比べてみると投票所が少し身近に感じられてきませんか。
ちなみに、明るい選挙推進協会が国政選挙などの大型選挙後に実施している調査では、「自宅から投票所まで移動するのにかかる時間」について、およそ8割の人が「10分以内」と回答する状況が続いています。
「投票所は遠くて不便なところにあるはず」といった思い込みに囚われずに、ぜひご自身の投票所の場所を確認してみてくださいね。
投票するにしても、何を判断材料とすればよいのだろう、と思う人もいるかもしれません。
実は、そこまで身構えないでも投票の判断材料を得ることができます。
例えば、投票所や期日前投票所には「選挙公報」がありますので、投票直前に選挙公報を読んで判断材料とすることができます。(設置されていない場合でも、投票所の係員さんに声をかけると貸し出してもらえます)
もちろん、投票所の近くにはポスター掲示場がありますので候補者のポスターを見たり、スマホなどから公約比較表(>>参院選2019の各政党の公約を一覧で比較!政策・マニフェストから投票先を選ぼう|第25回参議院選挙 政党公約比較表)をみて判断することもできます。
また、インターネット上での情報発信に積極的に取り組む候補者の方も大勢います。SNSをチェックしたり、様々なメディアの情報をチェックしたり、といろいろできそうだぞ、と考えてみると、情報は集まりそうだけどたくさん時間が必要そうでやっぱり投票はめんどくさい、と思われてしまう方もいるかもしれません。
でも、参院選は3年に1度です。仮に、「投票に必要な情報を集めて投票所に行き、投票すること」に丸1日を費やしたとしても、毎日少しずつ負担を積み重ねていったと考えると1日当たりの負担時間は80秒弱になります。
また、投票所が行列となることはめったにありませんので、投票に行って帰ってくるだけならば多くの人は30分もあれば十分です。
選挙の後、各地の選挙管理員会に問い合わせると年齢別の投票状況を知ることができます。そのため、各候補者は事前にどの年代の有権者がどれくらい投票に行くのかを把握しています。
選挙結果を詳しくみると、あと少しの票で当選者が変わるような選挙区も少なくありません。
前回の参院選では1人区をはじめとして接戦となった選挙区が多くありました。例えば、青森県選挙区では当選者(302,867票)、次点(294,815票)とその差は8,052票でした。新潟県選挙区は当選者(560,429票)、次点(558,150票)とその差は2,279票です。
これらの選挙区では、これまで投票したことのない人たちを取り込むことがとても重要になります。そこで、棄権者の多い若者が、状況が整えば投票する可能性がある存在であることを示すことができれば、今後政治家の関心が一気に若者に向けられることも考えられます。
「若者は有権者としての数も少ないし、他の世代に比べたらその意見が重要視されることなんてない」と考えてしまう人もいるかもしれませんが、様々な選挙結果を見てみるとそうとも言えない状況であることが読み取れてきませんか。
もし今まで投票したことのない人が投票してみようと考えたら、きっと思っているよりもめんどくさい思いをすることなくできるはずです。
「この一票を投じる機会を作るための費用が他のことに使われていたら、なにができたのか?」
時にはそんなことにも思いを巡らしながら、ご自身にとっての一票の価値や、投票する・しないといったことについて考えてみるのはいかがでしょうか。
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