名護市長選挙は1月23日に投開票日を迎えます。
普天間飛行場の辺野古移設については全国的にも注目を集めていますが、ほかにもまちの将来を考えるために知っておきたい争点もあります。
5つの数字で名護市の今と過去を比較してみましょう。
名護市の人口は64,036人(2021年12月)です。前回、市長選挙の行われた2018年3月の人口は62,146人でしたので、4年間で1,890人ほど人口が増加しています。また、増加した人口の内訳は日本人1,729人、外国人161人です。なお、策定中の市の計画(第2期名護市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン)では、名護市の人口は今後も増加を続け、2030年頃にピークを迎えることが見込まれることが明らかになっています。
人口増加が続く中ですが、少子高齢化も進んでいます。
例えば、市民のなかで65歳以上の方が占める割合は2015年には19.3%でしたが、2025年には25.5%とおよそ4人に1人が65歳以上の方となる見通しです。
2015年には老年人口(65歳以上。11,912人)が年少人口(0~14歳。10,501人)を上回るなど、今後、年少人口の減少と老年人口の増加による差が大きくなっていくことが予想されています。
また、少子高齢化が続く中で、働き手世代である15歳から64歳の人口(生産年齢人口)の減少も続いていきます。名護市の生産年齢人口は2005年がピークとなっています。
その結果、2015年には1人の高齢者を3.20人の生産年齢人口世代が支えていたものが、2025人には2.27人、2030年には2.09人で支えることになります。
支える対象に子ども(14歳以下)も加えてみると、2015年には被扶養者1人当たり約1.70人の生産年齢人口の方が支えていたものが、2025年1.37人、2045年約1.11人で支えていくことになると推計されています。
これまでよりも少ない人数で高齢者の方や子どもを支えていくことを考えたときに注目されるのが女性の活躍です。
名護市の保育所待機児童数は119人(2021年4月)でしたが、前回選挙の行われた2018年4月の24人からは95人の増加となっています。
この間、保育所の定員は、3,104人(2018年)から3,344人(2021年)へと増加しています。一方で出生数は667人(2017年度)から642人(2020年度)と35人ほど減少しています。
また、待機児童の内訳は、施設を問わず入所したいが待機児童となっている児童65人(2018年1人)、指定した施設以外は入所しないため待機児童となっている児童54人(2018年23人)となっており、旺盛な保育需要があることが窺えます。
働き手世代の一人ひとりが担う負担が増していくことを考えると、一人でも多くの人が希望したときに社会で活躍できるようにしていくための環境整備が求められます。
前回の市長選挙では、市財政をめぐって、米軍再編交付金を受け取るかどうかも争点となりました。具体的には、前市長の施政下において市債が増加したことなども指摘されていました。
市の決算資料からは、市の積立金、市債ともに前回選挙時よりも増加していることがわかります。2020年度の市の積立金は約101億円でしたが、前回市長選挙のあった2017年度は約68億円でしたので、33億円ほど増加しています。一方、借金である市債残高は約292億円と2017年度から10億円ほど増加しています。
また、市の収入(歳入)の規模も、2018年度から2020年度の平均450億円と、2014年度から2017年度の平均406億円と現市政で増加していることが確認できます。
市の予算規模が変わる中で、使途に変化が生じているかどうかを確認しておきましょう。
2020年度と2017年度の決算を比較したときに多くの費用を計上されていたのは総務費(2020年度約160億円、2017年度約83億円)、民生費(2020年度約157億円、2017年度約145億円)です。一方、2020年度には商工費が4倍以上に増加し12億円計上されている一方で、農林水産業費はおよそ60%減少し15億円ほどとなっています。また、土木費も10%ほど減少し、約35億円となっています。
民間調査機関によるレポートで2020年に沖縄県で休廃業、解散を行った企業の割合を市区郡別に比較したときに名護市が最も高くなっていることも報じられています。
まちの将来を考えたときには、財政面での持続可能性に加え、希望する人が働くことのできる場所や仕事があることも重要です。
これからの4年間で、どのようにして市の収入を得て、何に使っていこうとしているのかも注目されます。
名護市長選挙の有権者数は約5万人です。
名護市を100人の村に置き換えてみると、村人の内79人が投票権を持っていることになります。前回の市長選挙での投票率は76.92%でしたので、今回も同じ投票率だと仮定すると市長選挙で投票する村人は61人になります。
なお、過去の市長選挙の投票率は76.71%(2014年)、76.96%(2010年)、74.98%(2006年)と概ね70%台後半を記録しています。
少子高齢化の進行や新型コロナウィルスといったまちに暮らす人々の生活を一変させるような大きな課題を前にして、どのようなまちの未来が選択されることになるのかが注目されます。
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