(2024年10月4日に最新情報を追記して公開しました)
2024年10月1日に総理に就任した石破茂氏は10月9日に衆議院を解散し、10月15日公示・10月27日投開票の日程で衆議院議員選挙(以下、衆院選)を実施する方針を打ち出しました。
その一方で、来年(2025年)には「参議院議員選挙(参院選)」が行われることをご存知でしょうか。
衆院選とは衆議院議員を、参院選とは参議院議員を選出する選挙ですが、実際のところ「この2つの選挙は何が違うんだろう?」と疑問に思っている方もいると思います。
実は衆院選と参院選では、議席数や投票方法、そして被選挙権年齢に至るまで多くの異なるポイントが存在します。
そこで本記事では、衆院選と参院選の違いについて基本情報をわかりやすく解説していきます。
※本記事での「衆院選」は衆議院議員総選挙を、「参院選」は参議院議員通常選挙を指します。
衆院選とは、衆議院議員の全議席を改選する選挙です。衆議院議員の解散によるものと、4年の任期満了によるものがあります。
前回の衆院選は2021年に行われており、今回の衆院選は解散によって465人の衆議院議員を選出します。
一方で参院選とは、全議席の半数を改選する選挙です。参議院議員の任期は6年ですが、解散の制度がないため3年ごとに改選する決まりです。
前回の参院選は2022年に行われました。次回の参院選は2025年に実施される予定で、124人の参議院議員を選出する予定です。
衆院選と参院選では、選挙に立候補できる年齢、つまり「被選挙権年齢」が異なります。
衆院選では25歳以上であれば立候補できるのに対し、参院選では30歳以上が被選挙権をもちます。
なぜ参議院のほうが被選挙権年齢が高いのかというと、日本は「二院制」という制度を採用しているからです。
参議院は政治の状況を俯瞰して慎重に審議する役割が求められており、この役割を「良識の府」「再考の府」といいます。
任期が短く解散がある衆議院に対し、任期が長く解散もない参議院には、いわゆる衆議院の「行き過ぎ」を抑えるための「良識を有した人格」が求められるのです。
したがって、参議院では被選挙権が30歳に設定されています。
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衆院選と参院選では、投票の仕組みも異なります。
衆議院では小選挙区比例代表並立制を採用しており、小選挙区選挙と比例代表選挙を同日に実施します。
一方で参議院では、選挙区と全国比例の2つの方法で同日に選挙を実施しています。
それぞれの投票方法について、以下で詳しく見ていきましょう。
(2024年10月4日に最新情報を追記)
衆院選では「小選挙区比例代表並立制」を採用しており、小選挙区選挙と比例代表選挙が同じ投票日に実施されます。また、次の衆院選では1票の格差を是正するために、最新の人口状況に合わせた定数の変更などが初めて適用されます。
小選挙区選挙は、衆議院議員の定数465人のうち289人を選出する選挙です。全国を289個の選挙区にブロック分けし、1選挙区から1人を選出します。有権者は、投票用紙に立候補者の個人名を1人だけ記載して投票する決まりです。
2022年施行の改正公職選挙法では、25都道府県140選挙区で小選挙区の範囲を変更。小選挙区の数も、埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知の5都県で増え、宮城・福島・新潟・滋賀・和歌山・岡山・広島・山口・愛媛・長崎の10県で減る「10増10減」となります。
小選挙区定数の「10増10減」の詳細は以下の通りです。
比例代表選挙は、定数465人のうち残りの176人を選出する選挙です。比例全国を11個にブロック分けし、各政党等の得票数に比例して当選人の数を決めます。有権者は、投票用紙に政党等の名称を1つだけ記載して投票する決まりです。
ブロックごとの定数は以下のとおりです。改正公選法による定数改正(3増3減)によって、「南関東ブロック」「東京ブロック」で定数が増え、「東北ブロック」「北陸信越ブロック」「中国ブロック」で定数が減りました。詳細は以下の通りです。
参院選では「選挙区」と「全国比例」で投票が実施されます。
選挙区では74人の参議院議員を選出します。選挙区はほとんどが都道府県単位ですが、鳥取県と島根県、そして徳島県と高知県はそれぞれ2県を合わせて1つの選挙区として扱われます。最多となるのは東京都の「定数6」です。
有権者は、投票用紙に立候補者の個人名を記載して投票します。
それぞれの選挙区を定数の多い順に並べると、以下のようになります。
対して、全国単位の比例代表では50人の参議院議員を選出します。比例代表選挙は全国単位で行わるため、参院選の比例代表選挙は「全国比例」と呼ばれることもあります。
投票用紙には、個人名(または政党名等)を記載して投票します。
また、2019年の参院選から比例代表に「特定枠」という制度ができました。特定枠で当選した国会議員には、れいわ新選組の舩後靖彦氏・木村英子氏等がいます。
衆院選には「比例復活」があります。参院選には比例復活がなく、衆院選のみにあります。
「比例復活」とは、小選挙区と比例代表に重複して同時に立候補した候補者が、小選挙区で落選した場合に比例代表で当選をすることです。
仮に小選挙区で落選しても、①政党に所属しており、②小選挙区と比例代表とに重複立候補していて、③小選挙区で有効投票の10%を獲得している、という3つの条件を満たしている場合は、比例復活当選を果たすことが可能です。
ただし、当選するには当選者の得票数の何%を獲得したかを示す「惜敗率」が重要な指標になります。比例代表は候補者名簿の上から順に当選する制度なので、同一順位の場合、惜敗率の高い方から当選が決まります。
改めて、本記事での要点をまとめてみましょう。
以上、衆院選と参院選の違いについて解説しました。
いよいよ衆院選が近づいています。選挙では必ず投票に行く!という人はもちろんのこと、「興味はあるけどまだ投票に行ったことがない…」という人も、ぜひ投票所へ足を運んでみませんか?
選挙ドットコムでは、衆院選に関するアレコレをオモシロク解説する特設サイトを解説しました!候補者の顔ぶれや自分の選挙区なども見られるので、ぜひ確認してみてくださいね!
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※2024年10月4日に最新リンクに更新しました。
(執筆協力:森しゅなつ)
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