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2024年10月19日に公開された動画では、衆院選2024の争点解説として、「物価高」をテーマにお届けします。
今回は、物価安定目標の引き下げ、消費税の減税、大企業への課税強化について、各政党にアンケートを行った結果について、選挙ドットコム編集長の鈴木邦和が解説します。
【このトピックのポイント】
MC伊藤由佳莉「2回目のテーマは『物価高』。日々、痛感しております……」
編集長・鈴木邦和「我々も一有権者として、非常に苦しんでいるところですので、しっかり解説できれば思います!」
MC伊藤「そもそも物価高はどのような状況なのでしょうか?」
NHKがまとめた消費者物価指数の推移のグラフをお借りして、解説します。
鈴木「シンプルに言うと、2020年の平均を100としたら、現在は108.7という数値。全体としての物価は、8~9%上がっているのが、今の状況です」
注意が必要な点として、生鮮食品は天候や世界情勢を受けやすく価格が変動しやすいため、消費者物価指数は生鮮食品は除いた指数となっています。
物価の一部を紹介すると、2024年8月データでは、コシヒカリを除く「うるち米」が29.9%、「コシヒカリ」が25.6%、「果実ジュース」が34.9%、「チョコレート」が12.7%、国産の「豚肉」が7.2%。
2024年1月データでは、「鶏卵」は28.7%、外食の「ハンバーガー」は14.6%、「宿泊料」は17.3%、上昇しました。
MC伊藤「物価の優等生の卵も値上がりして、ビックリしました。そもそもどうして、こんなに物価が上がっているのでしょうか?」
鈴木は、主な原因として「国際的な原材料価格の高騰」と「円安」を挙げました。
「国際的な原材料価格の高騰」の背景には、ロシアのウクライナ侵攻により、原材料にあたる小麦や原油の価格が上がったことがあります。
また、コロナで停滞していた経済活動が再開したことによって需要が一気に高まりましたが、供給がまだ追いついてないという側面もあり、原材料価格が上がったことが物価高に繋がりました。
「円安」が起こっているメインの理由は、日米の金利差です。
日銀は、低金利政策を10年ほど実施しているのに対し、アメリカは近年インフレ抑制のために、利上げを行っているため、日米の金利差が拡大しています。
金利差が拡大すると、金利が高いドルを買って円を売る動きが加速するため、円安が発生します。
その結果、円安により輸入コストが上がって、それが物価高に繋がってるという状況だと解説しました。
MC伊藤「この状況はいつまで続くのでしょうか?」
鈴木は、エコノミストの予測をまとめると「物価上昇の勢いは少しずつ弱まっていく」と見られていますが、「それでも年間2%を上回る物価上昇が続くだろうと言う見通し」と解説。
鈴木「なので、(物価高は)長期的に続くという認識で間違いない」
物価高の状況について、政策としてどういうアプローチができるかというのが、今回の争点です。
物価高は長期的に続く可能性があります。今回は、低所得者向けの給付金を配布するなどの、場当たり的な対応ではなく、長期的な対応を論点にします。
今回、各政党に以下の3つについてアンケートを行いました。
質問内容について、見ていきましょう。
日銀は、緩やかなインフレを目指した金融政策を取り、おおむね毎年2%の物価が上がっていくことを目標にした金融政策を行っています。
先日、立憲民主党が衆院選の公約で「日銀の物価安定目標を現在の2%から0%超に修正する」ことを掲げてニュースになりました。この物価目標を2%から引き下げるべきかどうかというのが論点になると思い、今回の質問に加えました。
MC伊藤「物価目標とは、そもそも何なのでしょうか?」
日本は長年、デフレで物の値段が下がり、賃金は上がらず、経済としてはあまり良くない状況でした。これを緩やかなインフレに変えようと、安倍政権は政策を大きく転換。インフレで、緩やかに物の値段が上がる中、企業はもっと投資をするようにし、賃金の上昇を追いつかせて、経済を成長させようという考え方に変えました。
多くの先進国では、緩やかなインフレの中で経済を成長させようという考えが、主流です。
物価目標を多くの海外の中央銀行でも設定し、日銀でもこの10年行っている状況です。
日本の問題点についてMC鈴木は「物価の上昇に対して、賃金の上昇が上回ってないこと。海外で、経済政策がうまくいっている国は、物価が上がっても、その分賃金も上がっているので、別に生活は苦しくない。日本の現状は、物価の目標に対して、賃金の上昇が追いついていないので、多くの人が苦しくなってるという状況です」
2つめの、消費税の話について見ていきましょう。
消費税は、国民生活に直結する税目であり、消費税を引き下げるべきと訴えてる政党も非常に多いです。また、各党で意見が分かれてるので、争点に挙げました。
3つめは、大企業に対する課税強化の件です。
大企業の業績が良い状況で、設備投資や賃上げを行わない企業に対しては課税をすべきという議論があります。また、賃金を上げた企業に対して法人税の減税を行うべき、法人税を企業の状況に合わせて個別に決定をして、政策誘導効果を高めるべきだっていう議論もあるので、争点に加えました。
MC伊藤「今回この3つが争点になるということですが、実質賃金の推移はいかがでしょうか?」
鈴木「物価の上昇を、賃金の上昇から差し引いた時の指数が実質賃金です。実質賃金は、2022年から2024年の間で、概ね少しマイナスです。つまり、物価の上昇に対して、賃金の上昇が追いついていないというケースがずっと続いているため、多くの人の生活が苦しくなっているという状況です」
一問目の「日銀の物価安定目標の引き下げるべきか」の質問に対する各政党の回答です。
日本共産党は、「賛成」。安倍政権時代から、異次元の金融緩和に対して反対してきたので、一貫した姿勢を示しています。
立憲民主党は、「中立」です。公約で、物価安定目標を2%から修正して0%超と掲げましたが、特定の数字に固執しない、柔軟な金融政策を取るべきだという説明がありました。
自由民主党、公明党、社会民主党も「中立」。物価目標は、日銀が決めるものなので、政府から独立した中央銀行が判断すべきだという考えでした。
鈴木「ただ実際は、自公政権と日銀は、一定の歩調を合わせて金融政策を考えてるのは実態としてあるので、今の物価目標は自公政権なので、基本的には続けるべきという考え方だと思います」
「反対」は、日本維新の会、れいわ新選組、参政党、「やや反対」は国民民主党、みんなでつくる党です。
今、せっかくデフレから脱却し、緩やかなインフレになっても、賃金上昇への転換もできないため、金融の引き締めをやるべきではないという考えを説明している政党が多かったです。
二問目の「消費税を10%から引き下げるべきか」の質問について、見ていきましょう。
自民党は「反対」です。
自民党は、社会保障の財源に当てているため、引き下げるべきではないと説明しています。
公明党も政権与党として「やや反対」というスタンスです。
「今回の注目すべきポイントは、立憲民主党が消費税の引き下げに反対という回答」とMC鈴木。
立憲民主党は、消費税の減税ではなく「給付付き税額控除」(消費税の還付制度)を訴えています。
その他の政党は、消費税の引き下げに「賛成」ですが、賛成の度合いは各党で違っています。
三問目は「大企業への課税強化をすべきか」です。
自民党と公明党の回答は、「中立」でした。
MC鈴木は、自民党は「状況に応じて、例えば賃上げをした企業に対しては減税するなど、法人税の弾力性を上げていくような考え方を持ってる」と解説しました。
立憲は「やや賛成」、共産、れいわ、社民は「賛成」でした。
大企業がかなり増益をしているので、そこから一定程度の税金を取り、生活困窮者や低所得者に対して再配分を重視する考え方に基づいた回答かなと推察されます。
逆に、「反対」は維新と国民民主、「やや反対」はみんつくです。
日本維新の会は、歳出改革であるとか規制緩和によって対応すべきだという考え方の方が強い政党ですので、大企業の課税強化についてもあえてやるべきではないというような意見です。
国民民主党は、賃金を上げた場合は、法人税の減税だけじゃなくて、法人事業税や固定資産税も減税して、徹底的にメリハリをつけようという考えです。
MC伊藤「それぞれの政党の考え方の違いが見えてくるものですね」
MC鈴木「他にも低所得者への給付金、燃料費に対する補助をどうするかなども公約には書かれているので、ぜひ皆さんご覧になっていただければと思います」
物価高は今後も続く?!最も国民が安心して暮らせる経済政策はどの党?!
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