小学生の「なりたい職業ランキング」でトップ10にもランクインされた、動画投稿サイトYouTubeにオリジナル動画を投稿して広告収入を得る「ユーチューバー」。
実はこのユーチューバーが、自分の顔写真を選挙掲示板に貼った内容を動画に投稿し、問題になった事件が2018年2月に起こりました。今回はこの事件をきっかけに、選挙の時に用いられる選挙掲示板について解説します。

この事件は石川県在住の19歳の男性ユーチューバーによるもので、2018年3月11日に投開票された石川県知事選挙のために設置された選挙掲示板が利用されました。
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動画の内容としては、男性が「指名手配犯」とされたビラが何者かによって自宅周辺に貼られている様子を撮影したもので、これが選挙ポスター掲示板にも貼られていたのです。動画は2月23日夜に投稿されましたが、この動画に違法行為を指摘するコメントが相次ぎ、26日昼過ぎに削除されました。
男性はこの内容について「自作自演」と認めており、反省のコメントを発表しました。

選挙の度に街のあちこちに設置される公設の選挙ポスター掲示板ですが、これはスケジュールの都合上、候補者数が確定する前に設置されます。設置の際は予想される候補者数よりも多めに枠が用意されますので、実際にポスターが張られると枠が余ってしまうということが起こります。今回の石川県知事選挙に関しては、実際の候補者数は2人でしたが、掲示板の枠は6枠用意されていました。残りの4枠が今回利用された、というわけです。
ちなみに、今回は枠が余ったケースでしたが、逆に候補者数確定後に枠が足りなくなり、増設を余儀なくされたケースもありました。2016年の参議院選挙では、東京都選挙区での立候補者が、前もって準備した枠の30人を超え、後ほど選挙管理委員会がベニヤ板を増設することになりました。
今回の件については、今のところ違法とはならないようです。選挙ポスターについては、公職選挙法で次のように定められています。
交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。(公職選挙法225条2項)
「文書図画を毀棄」、つまり候補者のポスターを剥がしたり破いたりしてはいないので、今回の件に関しては違法にはならない、というのが一般的な解釈です。
過去に候補者のポスターを破くなどして罪に問われた事例はいくつか報告がされています。2013年6月東京都議選において、ある男性が悪ふざけで選挙ポスターを剥がしたところを警察に見つかり、公職選挙法違反の疑いで現行犯逮捕されました。
今回のユーチューバーはすぐに釈放されたとのことですが、例えば候補者のポスターの上に自分が作ったビラを張るなど「妨害行為」とみなされうる行動をしていた場合、4年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金と、通常の器物損壊罪(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料)よりも厳しい罰則が設けられています。
民主主義社会の土台となる選挙を公平かつ公正に行うため、候補者に認められた選挙運動の自由は強い法令で守られているのです。決して安易な行動はとらないようにしましょう。
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