暴言等で話題になった豊田真由子衆議院議員の政策秘書に青森県板柳町議が就任し、兼職している事が、多くのメディアで取り上げられている。ワイドショーにまで取り上げられ、国民的にも関心が高いようだが、こうした地方議会にスポットライトの当たる数少ない機会に、地方議会についても皆さんに関心を持ってもらえればと思う。
今回テーマにしたいのは、話題になっている地方議員の兼業についてだ。メディア報道では「兼業なんかで地方議員が務まるのか」といった論調が強い様に感じるが、良いか悪いかは別として、地方議員は兼職が前提になっているという事をご存知だろうか。
地方議会の場合は、多くの自治体では年4回の議会が開催される、その4回も期間は2週間程度であり、本会議や委員会で実際に出席が義務付けられている日数はさらに少ない。この最低限の日数だけでも議員が出席した場合、実際には議員として最低限の仕事が行われていると思われてしまうのが実態だ。

市議会議員の兼業状況
出典:市議会議員の属性に関する調(平成28年8月集計)から高橋亮平作成
本当にそれでいいのという事については、今後考えていく必要があるが、その前提として実際に兼業の議員がどれ程いるのかについて紹介したい。
2016年に集計された全国813市の市議会議員19,284人の実態を見ると、専業で市議会議員をやっている人は8,157人と42.3%にしか満たない。逆に言えば、兼業している議員は、57.7%の11,127人もいる。
兼業として最も多かった業種は、農業・林業で議員全体の13.0%に当たる2,508人、次いで卸売小売業が6.1%に当たる1,174人、建設業が4.2%に当たる815人となっている。
その他も上げておくと、製造業が3.6%、学術研究・専門・技術サービス業と医療・福祉が2.2%、不動産・物品賃貸業が1.9%、宿泊・飲食サービス業が1.8%、教育・学習支援業が1.4%、金融・ 保険業が1.1%、電気・ガス・熱供給・水道業が1.0%、生活関連サービス・娯楽業が0.8%、運輸・郵便業が0.7%、情報通信業が0.6%、漁業が0.5%、複合サービス業が0.2%、鉱業・採石・砂利採取業が0.1%、その他サービス業が4.70%、その他が11.60%となっている。
今回、あらためて地方議員の兼業が話題になったわけだが、兼業については、そもそも前提として位置付けられているため問題ではないが、そういう法律なのだからそれでいいと言っているわけではない。議員の中には、議員の立場を利用して、兼業している職業の利益を増やしている様な政治家もいる。むしろこうした問題はしっかりと明るみに出してチェックしていく事は重要な事だと言える。
また、先述の様に本会議や委員会に出席さえしていれば後は何もしていなくても何も言われないという風潮についても変えていかなければならない。それぞれの皆さんが住んでいる自治体ではどうなっているか、兼業の議員たちは本当に議員として成果を出しているのかについては厳しい目でチェックしてもらいたいと思う。
こうした議会での議員たちの活動については、都議会議員選挙の前に都議会を題材に『これでいいのか都議会!議員による条例提案はわずか2.9%、知事提案の原案可決は99.6%』や、『注目の都議会、データで見る全議員の実力。質問ゼロ議員も!<都議会議員活動データランキング>』といったコラムも書いてきたが、こうしたものも参考にしながら、ご自身の街の議会ではどうなっているのかをチェックしてもらえればとも思う。
皆さんがこれまで応援し続けてきた議員は、思いの外、議会でほとんど働いていなかったという事が結構な割合であり得る。また、今回地方議員の兼職が話題になった背景には、議員の報酬の高さについても皆さんの中にはあったのではないだろうか。これについても『民主主義のコストとは?市民一人当たり議員報酬総額の最安は228円の名古屋市。最高は・・・』や、『自治体議員報酬ランキング最も高いのは横浜市の1,549万円、次いで神戸市、北九州市と福岡市・・・』等といった形でコラムも書いているのでこちらも参考にしてもらいたいと思う。
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