選挙ドットコム

「当選回数の多い議員から」「小選挙区選出の議員を優先」誰も知らなかったロビイングの実態を聞いてきた

2016/3/17

増沢諒

増沢諒

選挙・デモ以外にも、政策を実現する方法がある。それが「ロビイング」だ

政治家は忙しくて、聞く耳を持っていても、聞き取れない。

――カイトさんの新著、「誰でもできるロビイング入門」を読ませていただきました。政治家を目指している僕にとって、投票でも立候補でも、そしてデモでもない方法で政策を実現できることにびっくりしました。本の紹介と感想は前の記事でさせていただきましたが、改めて、なぜ「ロビイング」という方法を選ばれたのでしょうか?

明智カイト氏

明智カイト氏
「最初は僕も、政策を実現するのは政治家だ、と思っていました。学生時代から、社会的弱者に対する政策の実現に関心が高く、ボランティアを行なってきましたが、2006年には、『実際に政治家の仕事を見てみよう、手伝ってみよう』と思って政治家の下でインターンも経験しました。当時は郵政解散の後で政治関心が高く、インターン参加者は50名ほどいましたが、全員学生。社会人は僕だけでした(笑)。」

――働きながらインターン!アクティブですね!実際に政治家の下でインターンをしてみて、どう感じました?

明智カイト氏
「とても忙しいことが分かり、驚きました。何となく政治家は『怠慢』なイメージがあったのですが、平日は議会・視察・勉強、土日は自分の選挙区を周り、有権者と話す。これだけ忙しく働いていると、社会的弱者やマイノリティに向けた政策を考える余力はあるのかな、と心配になりました。例えば、政治家が有権者の意見を熱心に聞こうと思っていたとしても、忙しすぎて聞いている暇がないように思いました。

また、有権者から問題点だけ伝えられても、その問題点を調査する余力や、解決策を考える余力がないと思いました。そこで、『ではどうしたら、政治家をサポートできるだろう?政治家がちゃんと仕事できるためには何が必要だろう?』と考えるようになりました。」

 

 良い政治家がいても、良い情報がなければ、良い政策はできない

――その前後で、たまたまロビー活動をされている団体のお手伝いをされたのですよね?

明智カイト氏
「はい、国際連帯税の実現に向けた活動のお手伝いをして、ロビイングに同行しました。ロビイングすると、政治家に感謝されるんです。『どのくらいの人が困っているのかデータを調べて欲しい』『海外の事例を持ってきて欲しい』など、政治家から要望を受けることもありました。国際連帯税の場合はとてもうまく進み、政策形成プロセスを見ることができました。

社会的弱者の声をそのまま政治家に届けるのではなく、しっかりと調査結果を政策に落とし込んで持っていくと、ちゃんと政策が作られるまで進むことが分かりました。一方で、ロビイストがいない分野は政策が進んでいないことも分かりました。もちろん、政治家の能力が高いことも必要ですが、同時に政治家に情報を届ける有権者側にも、良い情報を届けるための能力が必要だと感じました。」

 

まるで「日本昔話」のようなロビイング

――ロビイストとしてのデビューの感想を教えていただきましたが、最初はどうやってその手法を覚えて行ったのですか?

明智カイト氏
「それが、全部口承なんです。政治の世界って、誰も教えてくれない不文律がたくさんあるんです。例えば、『当選回数の多い議員から連絡する』『比例選出の議員よりも小選挙区選出の議員の方が上』『この分野は◯◯議員だからウチに来られても…』など、とても不思議な決まりが多くて、少し間違えるだけで相手にされないこともあったりました。」

――永田町には、ある意味特殊な文化や決まりがあるのですね。その暗黙のルールはどうやって覚えていったのですか?

明智カイト氏
「『ロビイングのルールを教えて欲しい』と先輩ロビイストたちに聞いたところ、みんな『経験して学んできた』と答えられました。本当にびっくりしました。ロビイングのルールはまるで、『日本昔話』のように、全部口伝えでしか教えてもらうことができなくて、マニュアルのように文章になったものがなかったんです。

ロビイングはとても有効な方法なのに、マニュアルがない。そこで今回、『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』という本を出版しようと思いました。

 

ロビイングも、選挙も、デモも、政治参加の1つ。いろいろな方法で政治参加を考える

――最後に。政治参加というと、昨年の安保関連法案に対するデモなどのイメージが強いように思えます。デモや投票についてはどうお考えですか?

明智カイト氏
「デモも、政治参加の1つの方法ですし、投票も政治参加の1つの方法だと思っています。それぞれの方法には、良し悪しがあるように思います。

デモの場合は、メディアに取り上げられやすいので世論喚起のための方法でしょう。ただ、一方で、『メディアの消耗品』という側面もあり、実際に政策にまで反映されないこともあるかもしれません。そこで、合わせ技でロビイングを使うと、政策にまで落としこむことができると思います。もちろん、投票によって、受からせた政治家・落としたい政治家を選ぶことも、とても大事な政治参加です。」

 

――様々な政治参加の選択肢の中で、ロビイングが一般的になっていないから、今回「ロビイング入門」を書かれたのですね。

明智カイト氏
「はい。昨年の12月に出版したのですが、タイミングも重要でした。昨年はデモが注目され、今年は夏に参院選があります。デモや選挙だけではなく、ロビイングも選択肢だと知ってもらいたいです。

――政治家を志望していた身ながら、ロビイングはここまで有効な手段だとは知りませんでした。勉強になりました、ありがとうございました!

この記事をシェアする

増沢諒

増沢諒

増沢諒 1988年長野市出身。早稲田大学、東京工業大学 修士課程修了。研究テーマは「政治家のSNS利用」。 2014年マニフェスト大賞受賞。ITベンチャー企業や政治家秘書などを歴任。

選挙ドットコムの最新記事をお届けします

ホーム記事・コラム「当選回数の多い議員から」「小選挙区選出の議員を優先」誰も知らなかったロビイングの実態を聞いてきた

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtube