選挙ドットコムライターの伊藤文です。 6月の都議選に向けて、東京都内では政治家のポスターを見かけることが増えてきました。前から貼ってあったところも新しいバージョンになっていたり…。
「ポスターは選挙の時にだけ張り出されるもの」と思われる方が多いようですが、選挙の前であっても「政治活動」のためのポスターであれば貼ることができます。選挙期間中に投票所の近くなどの公営掲示板に貼られているポスターは候補者の顔と名前だけですが、街中で目にするポスターは講演会や集会の告知が目的のもので、政治家の顔が2、3名入っています。こうした選挙前のポスターは、その家に住んでいる方の許可をもらえれば、外壁などに貼らせてもらうことができます。
一方で、選挙期間中の公営掲示板に貼るポスターとなると話が違ってきます。例えば、昨年の都知事選では公営掲示板は14,163箇所ありました。もちろん、公営掲示板は誰かの許可などは必要なく、立候補していれば指定された自分の番号の場所にポスターを貼ることができます。しかし、重要なのは「14,163ヵ所全てに、自分(または自分たちの選挙ボランティア)で貼らなければならない」ということです。広い東京都内全域で、14,163ヵ所… なお、23区内はもちろんのこと、奥多摩や八丈島などの遠方にも掲示板は設置されています。こうした掲示板にも、自分たちで貼らなければなりません!
今回はこの「ポスター」をテーマに、日本と海外を比較してみましょう。
去年、小池都知事が当選した東京都知事選では、当選1名枠に21名が立候補しました。国政政党からの応援を受けている候補者であればボランティアや支援者が多いでしょうが、そうでない候補者の中には貼りきれない人が続出していました。立候補者21名全員分のポスターが投票日前に全て揃った掲示板は、14,163ヵ所のうち「新橋のSL広場1ヵ所だけ」だったと言われています。
以下は、ポスターを投票日までに「5枚しか」貼ることのできなかった武井直子氏と、雨でポスターが剥がれてしまった宮崎正弘氏のTwitterです。
皆さん、応援ありがとほ \ (^▽^) / 運動期間終盤7月29日余りにも出遅れている武井候補、都庁前・知事選挙ポスター掲示場へ第1枚め2枚めをやっと貼りましたっ \ (>ω<) / 30日朝8時~JR新橋駅前SL広場・掲示場へ第3枚めを貼りにゆきます♪ 残るわ14160箇所!!
— 武井直子 (@takei_naoko) 2016年7月29日
ポスターで、色々問題が起こってます。防水加工が施されていて、昔ながらの水のりでは、剥がれ落ちている、という結果になりました。
善意のある方が、張り直して下さったり、しているのですが、場所を間違えて張って下さったものもあり、選挙違反なってしまってます。もし、張って下さる場合17番へ— 宮崎正弘 (@miyazaki_tokyo) 2016年7月28日
候補者たちがポスターを貼る作業で苦戦している様子が伝わります。防水加工と特殊な糊が必要なんですね…
日本ではポスターが貼りきれない問題が発生していますが、海外ではポスター貼り過ぎ問題というのも発生しています。
選挙ポスターの「無法地帯」 イラン、標識や銅像にもhttp://www.asahi.com/sp/articles/ASK5G7JM4K5GUHBI025.html
これはイランの話なのですが、とにかくモラルもへったくれもなく候補者の写真を貼りまくっているようです。壁一面に貼られたおびただしい数のポスター… 聖職者の銅像や、駐車してある個人の車にすら貼られてしまうとか。日本ではなかなか考えられない選挙への熱狂ぶりです。街を綺麗にする政策どころか、選挙のせいで街が汚くなっているとの批判もあるようです。
昨年の海外選挙ビッグニュースといえば、何と言ってもアメリカ大統領選挙でしたが、トランプ、ヒラリー両候補のポスターやプラカードを身につけた支援者の姿がたくさん、日本でも報道されました。
帽子やTシャツ、最低20ドルくらいはするようですが(1ドル110円として2200円…!)自費で候補者の名前入りグッズを買って応援するというのも、日本では考えにくいですね。国や文化が変われば、選挙の様子も大きく変わるようです。イランのような選挙戦はやり過ぎだとは思いますが、日本でも 国民の関心ごととして選挙が盛り上がることを、願ってやみません。
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