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【山内梅良氏編】「秋田を変えるのは私たちだ!若者からの質問状」質問項目

2017/4/8

若者団体 AKITA未来創生塾

若者団体 AKITA未来創生塾

※本記事は「若者団体AKITA未来創生塾」の寄稿となります。記事内容は執筆者個人の知見によるものです。

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若者団体AKITA未来創生塾では、秋田県知事選挙に出馬してる3候補に「秋田を変えるのは私たちだ!若者からの質問状」と題し、質問を行いました。その回答を記事として掲載します。

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質問① 現状認識

秋田県は人口減少、少子高齢化や過疎化が進む、課題先進県です。一方で外国人を対象とした地域資源を活かす観光や、風力発電導入量が全国2位といった、新たな試みもうまれております。多くの県民は日々の生活やマスメディアを通して、こうした秋田県の現在を認識しております。それでは、県を統括し得る知事候補者として、「現在の秋田県をどう捉えているのか。」「その現状認識はどのようにして形成されているのか。」をお聞かせください。また候補者の方が考える、「県の課題への取り組み方、可能性の発展方法」をお聞かせください。

(1)全国一の人口減少と高齢化
秋田県の人口は、現知事就任(2009年)以降、毎年1万人の減少となっています。県人口は全国38番目、東北では最下位です。65歳以上の老年人口割合は32.6%(全国指標値26%)で全国1位。15歳未満の年少人口割合は10.8%(全国12.8%)全国最下位です。

合計特殊出生率は1.34(全国1.42)、全国38位、人口千人当たりの粗出生率5.78(全国7.90)で全国最下位で、婚姻率は人口千人当たり3.70(全国5.07)で2000年から16年間連続最下位です。死亡率は人口千人当たり14.56(全国10.02)で、全国トップ。自然増減率(出生数-死亡数/人口総数)は-0.88全国最下位で、生まれる数より死亡数が多い状況です。

自殺率は25.7(人口10万人当たり)で、全国平均の18.4からみて大きな開きがあり、全国一の高い県となっています。社会増減数も転入者より転出者が多く、全国46番目に位置する。全国一の人口減少県で、少子高齢化が最も進んでいます。

佐竹県政は、出会い結婚支援事業(結婚支援センター)や不妊治療総合支援事業、移住定住対策事業など展開してきたが、功を奏しているとは言えません。

県が取りまとめた平成28年度県民意識調査でも、県の人口減少対策について「十分」「おおむね十分」とした回答は3.2%、「不十分」「やや不十分」が56.1%に上っています。子供を産み育てる環境の充実強化についても「不十分」「やや不十分」とする回答は55.2%となっています。

県民意識調査では、「経済的余裕がない」との回答が3割。このため、県は16年度から新婚世帯の家賃や引っ越し費用の助成(上限24万円)を行っています。全国的に結婚を難しくしているのは、経済的豊かさの問題があり、多くの若者は安心して子育てができる家庭を望んでいます。

(2)厳しい雇用と労働環境
1人当たりの県民所得は245万円で全国36位。全国指標より52万2千円低く、納税義務者1人当たりの課税対象所得は256万円で、全国最下位です。就業比率は全国1位ですが、就業者の非正規労働割合は34.9%(2015年)、最低賃金は716円で東京より216円も低い状況です。全国ワースト1位の婚姻率、出生率の改善には抜本的施策が必要です。そのためにも、非正規労働・長時間労働・低賃金の解消が必要です。

(3)秋田県の課題と取り組みの基本方向
課題は、各分野にそれぞれあると思います。私は、総花的に羅列する施策、行財政運営でなく、いま秋田県の将来にとって求められている課題、施策を重点化して断行することだと思います。
基本方向としては、①県政で、若者支援、子育て応援の比重を思い切って高める。②県民との対話・共同で、地元の知恵と力を生かして「秋田力」を発揮すること、だと考えます。
日本一子育てしやすい環境づくりに思い切って投資し、農業で暮らせる厚い制度支援、全国第2位の活用可能な自然再生可能エネルギーの存在量を生かして、集落を維持するとともに地域循環型の経済を発展させ雇用をつくりだすことが大事です。
「子育てするなら秋田で」、「農業に就くなら秋田で」、「自然と共生するなら秋田で」―「秋田に移り住みたい」、「秋田で暮らし続けたい」―そんな10年後の秋田が展望できるように、努めていきたいと思っています。

質問② 秋田のブランド化

秋田ブランドについてですが「あきたびじょん」「んだ。んだ。秋田。」等、キャッチコピーが様々に散乱しているせいか、秋田のブランド化の方向性の軸が定まっていないように思いますが、どのようにお考えですか?

今の取り組みとして、ブランド化が必要でしょうか。質問①の内容でも触れられていますが、外国人をはじめ他県からの観光客を呼び寄せることがブランド化の目的にあると思われます。無駄とは思いませんが、しかし今、秋田県が力を入れるべき課題とは思いません。

もし歴史や文化を活用した観光をすすめるならば、それらの地域資源がしかっりと継承される基盤を整えていく必要があります。その点での取り組みが不十分であり、先にやるべきことだと考えます。

秋田の歴史や文化は、竿灯まつり、なまはげ、きりたんぽ、酒造など、やはり稲作とは切り離せません。基幹産業である農業、特に稲作で農家が暮せ、次代に引き継げるようにする対策が必要です。表面的な観光行事として強調するのではなく、農家の生業と暮しに根ざして生まれてきた文化とを一体のものとして全体をしっかりと継承できるようにしてこそ「来てよかった」と感じられる魅力ある秋田になります。

その先に、真の秋田ブランドと呼べるものが育っていく。ふさわしいキャッチコピーも見えてくると思います。

うわべだけの観光を押し出しても底が浅く先細りであり、ブランド化してゆくことは出来ないと思います。

質問③ 教育

 小学校の学力No1と言われていますが、教育の目的が学力No1になることになっているように感じます。学力を向上させる事だけが教育の目的ではないと考えていますが、その点についてお考えをお聞かせください。

ご指摘の通りだと思います。更に言えば、学力とは何をさすのかも併せて考える必要があると思います。人間の能力はとても多面的です。点数化できることはその一つですが、例えば音楽や美術、体育、思いやりの心、自然に対する理解など大切な学力と言えるものではないでしょうか。そうしてこそ本当に豊かで賢い『学力』のある人間に成長していけるのだと思います。それが教育の目的です。

様々な可能性をもった子どもたちを、数値化できる尺度で競わせる教育は、特に小中学生には間違っています。学力テストについてですが、そのNO1とされる学力テストの成果を出すために小学校では毎週小テストが取り組まれています。点数に応じて金銀青赤と色分けしたシールを張らせて自己評価させるようなことが当たり前に行われており、それによって小学生の中にも「私は頭が悪い」などと劣等感をもつ原因となっています。また、小学校4年生の算数の授業では理解度でクラスを分けて授業が行われるなど、すでに深刻な影響が出ています。親や教職員への負担も大きく、子どもたち一人一人をしっかりと向き合う時間を取ることが出来ない大きな原因ともなっています。

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質問④ 若者の県外流出

 若者の県外流出についての質問です。若者の県外流出に歯止めをかけるため様々な対策が必要だと考えますが、その点についてお考えをお聞かせください。

まず必要なことは、県内で働きたいと思えるような雇用を増やすことですが、首都圏と比較して県内賃金が低すぎることは大きな問題です。また、身につけた専門性を生かせる仕事が少ない問題もあります。起業したい若者への支援が必要です。また秋田は農業県ですので、農家の暮らしが成り立たなくなることは若者が就農出来なくなるばかりか、農業に関連する多岐にわたる関連産業の経営に大きな影響を及ぼし雇用が失われてゆくことにもなります。

医療や介護分野の雇用を増やしていくことは秋田県の将来にとっても重要な問題です。秋田の再生可能エネルギーは国内有数の可能性を秘めています。これらの分野で雇用を生み出すことも大切なことです。

子育てや医療、教育に対する負担を軽減し『秋田に住み続けたい』と思えるようにすることが必要です。都会に出てみたいと思う若者もいますが、同時に、いざ家庭をもち、子育てするようになると、地元に戻りたいと希望する方も増えています。そのとき、きちんとした仕事があり、子育て世代に優しい秋田であることは大切なことです。

スタジアムなどイベント施設を期待する声もありますが率先してやらなければならないとは考えていません。それは後回しにしてでも、今やるべきは、限られた財源をメリハリのある予算にして、若者や子育て世代に寄り添い支出し、「県が全力で応援する」と強力なメッセージとして発信し、実行することです。それが、今何よりも若者の県外流出に歯止めをかけるために必要なことではないでしょうか。

質問⑤ 世代交代

「年長者が幅を利かせている」「物が言いたくても言えないから秋田は変わらないんだ」というように、秋田県民は日々の生活の中で感じていると思っています。この雰囲気を打破すべきだと多くの県民、特に若者は思っている中で、その雰囲気を大きく変えることができる世代交代が起きづらい状態になっていると感じています。この世代交代が起きづらい秋田県の状況についてお考えをお聞かせください。

なぜ、世代交代が起きづらいかという点ですが、全国一の高齢県であるがゆえに、お互いの価値観やものの見方が大きく異なるからではないでしょうか。今の社会の構成員では経験してきたことが多岐に渡っており、今の年長者は年功序列制度の中で社会を生きてきました。しかし、今の若者たちは成果主義という社会の中で生きてきました。お互いの価値観の違いから、世代間のリスペクト(尊敬)が薄いという状況があると考えています。

年長者は若者に対して「もっと頑張れ」、「努力が足りない」といった根性論で解決を図りますが、若者は「レールから外れることが怖い」、「ノーと言ってはいけない」、「意見は言ってはいけない」と育てられてきました。こういったお互いの価値観の違いが溝を大きくしているのではないでしょうか。

年長者には今の若者に対するリスペクトを、若者は年長者に対してリスペクトをとお互いがお互いを良く知ることが「ものが言えない雰囲気」ということを打破することにつながるのではないでしょうか。

質問⑥ 若者の意見の反映

日本は高齢社会という人口の大きな転換期を迎えており、持続的な社会を実現するためには未来の作り手である若者の声を社会に反映させる必要があります。そんな現状を踏まえ、選挙に限らず、地方・国政レベルで若者の声を社会(政治)に反映させる仕組みを何か考えておられるでしょうか?また、これからの社会における若者の重要性についても意見があれば教えてください。

私は、政治こそがその仕組みだと考えています。本来政治とは、自分たちの暮らしの問題や要求を実現するために話し合い決めてゆくプロセスです。その指針となるものが日本国憲法です。

現在の日本社会の問題を考えてみると、ご質問にもありますが高齢化をはじめ、少子化、地域の疲弊、社会保障と税負担のあり方など様々な課題があります。日本国憲法には、詳細には記述しませんが様々な30項目にも及ぶ人権が条項として掲げられ、また国民運動や裁判闘争、社会の変化に対応した人権の発展による憲法解釈によって、条項にないものも含めてより豊かに基本的人権を認めるものとなっています。

その憲法に照らして、現在の日本政治を俯瞰してみると、如何に憲法の内容とたがえている問題が多いことでしょう。私は政治=選挙ではなく、小さな単位で見れば家庭内でルールを決めること、町内会、校則など含め話し合って決定していくことだと考えています。

自分自身と社会との関わりが薄くなれば政治は活力を失い、死んでしまいます。社会全体のゆとりがあまりにも奪われています。仕事や日々の暮らしに追われ、社会について考えたり、仲間や地域で話し合うことができなくなっています。家庭でも親の過労や貧困化によって子どもの意見に耳を傾けることが難しくなり、子どもの意志も尊重されません。

進学すると競争教育で全国学力テストに代表されるように選別するかのような教育が蔓延しています。大学に合格してもゴールではなく就職へのたたかいが始まります。その中で、自分の意見が尊重されず、社会について関わりを学び参加していくことが難しくなり、「言っても無駄」「関係ない」と考えられていると思います。

ドイツは投票権だけでなく被投票権も18歳から行使できる国ですが、ナチスヒトラーの台頭を許したことを反省し、子どもの頃から市民教育や政治教育に取り組んでいます。小学校5年生以上のクラス代表によって、校則、行事、授業編成などについて教員や地域住民も含めて話し合い決定します。高校生にもなると、教育予算の増額や教員の増員を求めて政府に要請し回答させます。学校運営に参加することで政治への関心を高める実践的な教育に取り組んでいます。

しかし、ドイツをはじめ市民教育の進んだヨーロッパでも、福祉や教育予算が削られて競争と自己責任論が持ち込まれた結果、若者の雇用も厳しさを増しゆとりが奪われ、社会に関心のない若者が増えて投票率の低下が問題になっています。

遠回りのようですが、教育のあり方やゆとりある社会に変えていくことが、多くの若者が【政治=社会との関わりを考え参加する】ことにつながっていくと思います。

年齢が離れている大人であっても、子や孫がいたりするものです。その一番身近な“若者”がこの日本でどう羽ばたいてゆけるか、多くの国民に共通する関心事です。

秋田について考えてみると、ご年配の方が、年金や医療・介護負担増の問題があっても、自分のことよりも若者の将来を案じていることは地域をご訪問させていただく中で実感しているところです。

若者の働き方、就職難、高学費など様々な問題を解決していくことは日本国憲法13条「個人の尊重」を大切にする政治に切り替えることです。その若者が希望をもって成長し暮せる社会は、全ての年代が安心して暮らせることに直結します。その大きな役割が若者にあるし、日本共産党はそのみなさんのご意見を大切にして、力を合わせ今後も活動していきたいと考えています。

※本記事は「若者団体AKITA未来創生塾」の寄稿となります。執筆者の詳細をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。

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活動理念は「学生と社会の接点を築き、結び付けていく」。 若者として政治に対してどう関わるべきか、秋田県から新しい政治参加への方法を提示するべく立ち上がった団体です。メンバーは秋田大学、秋田県立大学、国際教養大学の学生と社会人。

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