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都議選の投票率は約50%。ってことは東京都民は約23億をドブに捨てている事になるってモッタイない!

2017/4/2

原口和徳

原口和徳

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都議会議員選挙に向けて、選挙に興味を持つきっかけを増やすべく、先日の記事では「選挙にどれだけのお金がかけられているのか」を紹介しました。
関連:【都議選】意外と高い? 安い? ズバリ都議選のお値段は… ◯◯億円です  >>

都議会議員選挙の実施には45億円程度の予算が計上されています。45億円と聞くと大きな金額のように感じますが、45億円あれば都議選の他にはどのようなことができるのでしょうか。今年度の東京都の予算から確認してみます。 

都議会議員選挙と同じ金額で何ができるの?

例えば、話題の築地市場の移転問題について見てみましょう。豊洲市場への移転延期に伴って市場関係業者に生じている損失に対して支払う補償金(50億円。ただし2016年11月~2017年3月末分として)が、都議会議員選挙の45億円と同規模となっています。

他にも、「女性が輝く社会の実現に向けた取組み」として取り組まれる女性の就業や起業の支援、出産・子育て支援などの取組み(総額50億円)、急速に進む高齢化対策として取り組む「在宅医療の充実(47億円)」テロ・サイバーセキュリティ対策(総額58億円)などの取組みもあります。

もし、都議会議員選挙の予算の半額があったら、どんなことができる?

2000年代に入ってからの都議選の投票率は約50%にとどまっています。つまり半数の人が、自分の意見を表明するせっかくのチャンスを使っていません。語弊があることを承知の上で言い換えると、都議選にかかる費用45億円の半額が無駄になっている状況にあるとも言えるかもしれません。

それでは、投票する機会を用意するために使われているものの活用されていない予算(=約22.5億円)では、どのようなことができるのでしょうか? 東京都の予算資料から、比較的予算規模が近く、かつ若者に関連のありそうな事業を中心に確認してみましょう。

もし、都議選予算45億円の半額があったら、どんなことができる?

災害時に避難所となる公立学校のトイレの洋式化および災害用トイレの整備等の推進:約22.2億円

都内開業率の向上を図るために創業希望者等が気軽に立ち寄ることのできる創業支援拠点の運営や女性ベンチャー成長促進事業なども行う「創業への支援」:21.6億円

フリーター等の就労状態の不安定な若者への若年者能力開発訓練や障害者への障害者職業訓練なども行う「公共職業訓練」:約27億円

医療的ケアを要する児童とその家族が身近な地域で暮らし続けることができるように市区町村などと連携して取り組む「医療的ケア児への対応」:16億円

新たな観光アプリケーションの開発やウェブサイトによる情報発信などの「外国人旅行者誘致のための情報取集及び発信」:約26.5億円

他にも、テレワークの導入等に代表されるライフ・ワーク・バランスの充実(21億円)、河川防災の取組み(21.9億円)や、がん・難病対策の推進(16億円)など、多様な取組みが計画されています。

もし、都議会議員選挙の費用の半額があったら、どんな取り組みを充実させられる?

もう一歩、想像を進めてみます。もし都議会議員選挙の費用の半額があったら、どんなことができると思いますか?
ここでも、若者の生活に関係がありそうなものを中心に確認してみましょう。

Wi-Fiや充電器の設置も可能なソーラーパネル付きバス停留所の設置整備促進事業:1.3億円(規模20棟)

地図を調べたり、写真を撮ったりと、今やスマートフォンなどの携帯端末は日常生活に欠かせないものになっています。その天敵ともいえるのが、街中での電池切れ。バス停で充電することができればかなり便利になりそうです。
計画されているのは20棟ですが、もっと多くのバス停に設置してみると、私たちの暮らしにどのような変化が生じるでしょうか。

都立高校等に通う学生を対象とした給付型奨学金制度の創設:16.6億円(規模:34,450人への給付)

都立を含めた公立高校の授業料は、2010年度に無償化されています。今回の取組みでは、さらに資格試験や模擬試験、語学合宿などの学習活動にかかる経費を支援する給付型奨学金が創設されます。家庭の経済状況に左右されることなく子どもの資質や能力を伸ばしていくためには非常に重要な取組みですが、給付対象には制限が設けられています。例えば、給付を受けるための世帯年収の上限は年収350万円までとなっています。取組みの対象となる世帯や、支給される金額をもっと広げてみると、どんな可能性が生まれるでしょうか。

若い世代こそ考えたい、都政の取組み

以下の図は、2000年代に入ってからの東京都知事選挙及び都議会議員選挙での年代別投票率の推移をまとめたものです。

②【選挙ドットコム様】図表①

都知事選挙及び都議会議員選挙における年齢別投票率の推移

やはり、20代有権者の投票率が他の世代よりも低いものとなっていることが分かります。

もちろん、投票をする/しないといったことはそれぞれの有権者の考えが尊重されるべきことです。その際に、そう遠くない未来の自分の暮らし、その時に社会に望むサービスにどのようなものがあるのかを考えて、自分たちの世代も政治に関心をもっているということを示していくことは大切な意味を持ってきます。

例えば、東京都における待機児童問題は、多くの切実な訴えがなされ、社会的に問題として認知されても、改善こそすれ、まだ解決の道筋を見出しきれていません。このことからもわかるように、社会的課題の解決には多くの時間と労力、時には運すらも必要となってくるからです。

繰り返しになりますが、都議選には45億円がかかります。

「この一票を投じる機会を作るための費用が他のことに使われていたら、なにができたのか?」

時にはそんなことにも思いを巡らしながら、自分にとっての一票の価値や投票する/しないといったことやその理由を考えてみるのはいかがでしょうか。

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原口和徳

原口和徳

けんみん会議/埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク 1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

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