金銭の授受、口利き、反社会的組織とのつながり、不倫などなど、政治家の話題には昔からスキャンダルがつきもの。特に選挙の最中には各陣営の思惑が絡んでさまざまな情報が飛び交い、情報戦が繰り広げられることもしばしばあります。
先日公開されたドキュメンタリー映画『ウィーナー~懲りない男の選挙ウォーズ』は、まさにスキャンダル報道の渦に巻き込まれた政治家が失脚してゆく様子が生々しく描かれています。
公開に先立って行われた特別試写会には、東国原英夫氏、橋下徹氏、細野豪志氏、後藤田正純氏、高木毅氏、山崎拓氏、田中真紀子氏、鈴木宗男、辻本清美、鈴木章浩といった過去にスキャンダルで話題となった(元)政治家をゲストで招かれていたものの、会場に姿を見せる人はいませんでした。
そんななか、評論家の宇野常寛氏とともにトークイベントに登壇したのが衆議院議員の上西小百合氏。自身も国会を欠席して旅行に行っていた疑いで維新の党を除名になった経験から、テレビやインターネットによって政治家個人のイメージがかたち作られる現代の政治状況について議論を交わされました。
アメリカ民主党の論客で、連邦下院議員を務めていたアンソニー・ウィーナー氏は2011年、ツイッターにボクサーパンツをはいた自身の股間の写真を投稿してしまいます。当初は「ハッキングされたのかもしれない」などと言い訳をしていましたが、後にインターネット上で知り合った女性と性的な写真をやりとりしていた写真を間違えて投稿してしまったことを認めました。
オバマ大統領にも「私だったら辞職する」というコメントを出され、四面楚歌となったウィーナー氏は結果的に議員辞職します。
その後、コンサルティング会社を経営して生計をたてていましたが、辞職から2年後の2013年にニューヨーク市長選挙に出馬しました。長くヒラリー・クリントン氏の補佐官を勤めていた妻のフーマ・アベディンをはじめ、数多くのスタッフが彼を支え、持ち前の人をひきつける強力なスピーチで民主党の予備選立候補者の中で一時支持率トップを記録したものの、再びスキャンダルによってカメラの目の前で転落してゆく…
日本でも古くは宇野宗佑元首相が愛人騒動で辞任したり、記憶に新しいところでは自民党の宮崎謙介氏が不倫疑惑で議員辞職したりと、政治家に関わるセックススキャンダルが発生すると、新聞・テレビをはじめとしたマスメディアによって政治家個人の悪いイメージが流布されてしまいます。
選挙ウォッチングを続けていると、マスメディアがつくるイメージに翻弄され、政治的な主張がなかなか届かずにもどかしさを感じる場面や、政治家としての実績や意欲以前にイメージ作りがうまく行っている候補者に注目が集まり過ぎていて違和感を覚えることがよくあります。
メディアから押し寄せる膨大な量のイメージと、政治思想や手腕について切り離した上で自分の投票行動を考えることができるか、という有権者のリテラシーを問う映画でもあります。
映画『ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ』
2017年2月18日(土)よりシアター・イメージフォーラム他にて全国順次ロードショー監督:ジョシュ・クリーグマン、エリース・スタインバーク 出演:アンソニー・ウィーナー、フーマ・アベディン
登場する有名人達:ヒラリー・クリントン、ドナルド・トランプ、ビル・クリントン、バラク・オバマ
2016年/アメリカ/英語/96分/カラー/ビスタ/DCP/原題:Weiner
配給・宣伝:トランスフォーマー
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