今夏に予定されている参議院議員選挙と、それに時期をあわせた衆議院の解散総選挙の実施も噂される2016年は選挙イヤーになる予感。
いくつか予定されている注目選挙のうち、今月17日告示、24日投開票される宜野湾市長選挙について、チェックポイントをまとめてみました。
2014年の翁長雄志沖縄県知事の当選以来、沖縄県内では従来の保守 vs 革新という構図に異変が生じています。
仲井真前知事が公約を反故にして辺野古新基地建設に向けた埋め立てを承認したことに対し、保革を超えて反発を招いてしまいました。その結果、再選を目指した沖縄県知事選挙では仲井真氏には自民党と沖縄にはほとんど組織を持っていない次世代の党しか推薦がつかず、公明党は自主投票にして支援を見送りました。一方の翁長氏には自民党那覇市議団の大半(後に党を除名処分に)と共産党を中心とした革新政党が全て支援に回り、いわゆる「オール沖縄」体制を築き上げ、結果的に圧勝しました。
その後の選挙でも「オール沖縄」の枠組みは継続し、同年末の名護市長選挙では辺野古新基地建設に反対する稲嶺進氏を当選させました。
今回の宜野湾市長選挙は現職で自民党と公明党が推薦する佐喜真淳(さきまあつし)氏と「オール沖縄」が支援する志村恵一郎(しむらけいいちろう)氏の一騎打ちとなる見込みで、自公が取り返すか、「オール沖縄」が連勝を続けるのかがひとつの見所となります。
ここまで聞くと「オール沖縄」が辺野古新基地建設反対の民意を受けて志村氏の圧勝を予想してしまいそうになりますが、ここで前回2012年の宜野湾市長選を振り返ってみましょう。
前回の選挙は現職の安里猛市長(革新系)が病気により任期途中で辞職したために実施されました。保守からは宜野湾市議、沖縄県議を歴任した新人の佐喜真氏。革新からは同じく県議を歴任し、2003年から2007年に安里氏を後継に据えて沖縄県知事選に出馬するまで宜野湾市長を勤めた元職の伊波洋一氏。
在職中から人気があり、国政選挙への出馬が噂されていたほどの実力を持つ伊波氏の圧勝がおおかたの予想だったのですが、それゆえの陣営の緩みのせいか、はたまた自公の猛攻によるものか、その両方か、最終的にはわずか900票差で佐喜真氏が勝利したのでした。
大きな基地問題を抱える土地柄ですが、必ずしも革新が磐石というわけではなく、この4年間で実績と知名度を着実にあげてきた現職佐喜真氏が、「オール沖縄」に圧倒されているわけではない、というのが今回の選挙の現状です。
「オール沖縄」体制で悩ましいのは、それを構成している全ての政党(政治団体)が納得できる候補者を選ばなくてはいけないということです。衆院選のように複数の選挙区で戦う場合は1区:共産、2区:社民、3区:生活、4区:無所属といったように、各政党が納得できる布陣で臨むことができるのですが、今回のような首長選挙となると、政党の色が付いていない人物だと調整がつきやすくベターな選択となります。そうなるとある程度知名度と実力を備えている市議会議員はほとんどが政党に所属しているのでそこから選ぶことは難しくなります。
そういった意味で、今回候補となった志村氏は元県庁職員で今まで政治家としての活動歴はなく、父である志村恵氏(昨年末に死去)は自民党県連会長を歴任した元県議会議長で、地元の保守層にも納得できる人材だと言えます。
ここ数年間、沖縄県知事選、名護市長選、衆院選(小選挙区)、参院選、那覇市長選といった大規模な選挙では辺野古新基地建設に賛成の立場を明確にした候補は一人も当選していません。では、今回の宜野湾市長選挙はどうでしょうか。
「オール沖縄」の志村氏は当然建設反対の立場を取っています。一方の佐喜真氏は辺野古新基地建設賛成とは言っていません。(もちろん反対とも言っていません。)あくまで宜野湾市長の立場として、普天間基地の危険性除去を進める、と発言しています。いうまでもなく永田町の自公政権はそのために辺野古新基地の建設が必要だ、という理論で政策を進めているわけですが、佐喜真氏はそこまでは言わない。そういった微妙なスタンスが市民にどのように評価されるのか、宜野湾市民、沖縄県民のみならず、安倍政権の今後を占う意味でもとても重要な選挙となることは間違いないので、投開票日は是非結果に注目してみてください。
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