現役慶應大生2人が、世界最大のお祭り「アメリカ大統領選挙」を見に行くこのシリーズ。
私たちは、アメリカ大統領選挙史上最大の逆転劇を目撃してしまいました。そんな逆転劇の最中、私たちはニューヨーク、ピッツバーグ、そしてフィラデルフィアの3都市を周り、たくさんの方々にお話しを伺いました。
シリーズ最終回となる今回は、投票日の3日前から投票2日後までの計6日間、アメリカで聞いた印象的な言葉を紹介します。アメリカの雰囲気が、選挙を境にこんなに変わるなんて… 驚きました。
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1.“Hispanic is divided.” (ヒスパニックは分断されている)
投票の3日前、トランプタワーの目の前で1人の女性に出会いました。
“LATINO FOR TRUMP” (ラティーノのトランプ支持者)と書かれたお手製のボードを持つこの女性。
出身は、南米アルゼンチンとのこと。

「多くの日本人は、ラテンアメリカの人がトランプ氏を嫌いだと思っています。でもあなたはトランプ氏を支持しているんですね?」
と尋ねると“Hispanic is divided.”(ヒスパニックは分断されている)と一言。
トランプ氏は、選挙戦の中で、メキシコ人をレイプ魔と呼ぶなど、ヒスパニック系の人々を強く非難しました。
しかし、ヒスパニックだからといって反トランプとは限らないのです。
ヒスパニックの人も不法移民には反感を持っていることに気付かされた一言でした。
2.“That’s hilarious.” (いや、笑っちゃうよね… )
トランプタワーの前は、観光客とマスコミ、そしてトランプ支持者たちでごった返していました。しかし、その中にはもちろんニューヨーカーもいます。

トランプタワーの近くにあるアップルストアで働いているという男性に「今回の選挙をどう思いますか?」と聞いてみると“That’s hilarious.”(いや、笑っちゃうよね…)と答えてくれました。
ニューヨークは、例年民主党の候補が勝ついわゆる「ブルーステート」。ヒラリー氏の支持者が幅を効かせる地域です。
彼は、ニューヨークの空気から判断して「トランプの勝利なんて万に一つもないだろう」と思っていたのでしょうか、余裕の表情でした。
“That’s hilarious.”というコメントからは、そんな思いが見えました。彼が今「笑って」いるかは分かりませんが、これも一つの意見だったように感じます。
3.“He has a little bit dirty mouth.” (彼はちょっと口が悪いわね)
トランプ氏が驚きの勝利を手にしたペンシルバニア州。
私たちは、トランプ氏を一目見るため、彼の集会が開かれる同州へ向かいました。
州西部の都市、ピッツバーグの郊外で行われたトランプ集会で、私たちはたくさんのトランプ支持者に会うことが出来ました。気さくに話しかけてくれたのは、40年間教師を務め、最後は校長だったという女性。

トランプ氏が、女性に対して不適切な発言をしていることについて尋ねてみると、“He has a little bit dirty mouth.”(彼はちょっと口が悪いわね)とのこと。
彼女はトランプ氏の暴言を知っているようでしたが、これに続けて「でも私の周りにいる男達だって酷いもんよ。」と話してくれました。
トランプ支持者である彼らにとって、トランプ氏の暴言は大きな問題ではないということが分かりました。
4.“Did you take part in polls?” (この中に、世論調査を受けたやつはいるか?)
トランプ氏の集会では、数名の地元政治家が前座として演説を行っていました。
彼らの演説は、観客に問いかけ、観客がそれに答えるというコールアンドレスポンス方式。
「ヒラリーのEメール、有罪か無罪か?」
「有罪だ!」
というやり取りが繰り返されます。

そのコールアンドレスポンスの一つに、
“Did you take part in polls?”(この中に、世論調査を受けたやつはいるか?)
“NO!”
というやり取りがありました。
大手メディアは世論調査の結果としてヒラリー氏優勢を伝えていましたが、会場の熱気はその調査とは全く異なるもの。「世論調査など気にする必要はない」というトランプ陣営の手応えが感じられた一瞬でした。
5.”I’m looking forward to her speech!” (ヒラリーの演説が楽しみ!)
投票前日、ヒラリー氏の”勝利演説”を聞くために高速バスでニューヨークへ向かいました。
バスには小学校低学年くらいの男の子と女の子、そしてそのお母さんと思われる3人家族が乗っていました。
どうやらこの家族は、私たちと同じくヒラリー氏の“勝利演説集会”に参加する様子。
子どもたちが“I’m looking forward to her speech!”(ヒラリーの演説が楽しみ!)とバスの中ではしゃぎ回っていました。
演説を聞くためだけに遠方からやってくる家族の存在を知り、大統領選に対する国民の熱気を知った瞬間でした。

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