今夏の参議院議員選挙では、全国各地で若者の政治参画に向けた取組みが行われました。総務省からは年代別投票率の推計値が発表されています。はたして、各地の取り組みが実を結び、若者たちは投票に行ったのでしょうか。確認してみましょう
参議院議員選挙における10代の投票率は45.45%。全年代の投票率(55.81%)を10%ほど下回る結果となりました。投票率のトップ3は65歳以上の方々で、各年代で投票率は70%を超えています。
ちなみに、20歳以上の投票率を5歳ごとに区切って並べてみるとあることに気づきます。
そう、10代の投票率は、20歳~34歳までの人たちよりも高くなっています。
年代別の投票率の推移を分析した研究からは、例えば1970年生まれの人たちの投票率は彼らが20代の時は50%、40代になると70%になるというように、年齢を重ねるにつれて投票率が上がっていくことが明らかにされています。
近年、各世代の比較分析からは、スタート地点である20代前半での投票率が下がり続けている(その結果、彼らが年を重ねたときの投票率も前の世代に比べると低くなる)ことが課題とされていましたが、参議院議員選挙では10代の投票率が20代だけでなく、30代前半の人たちも上回りました。
このことは、これまでの流れに一石を投じるポジティブな結果として評価できるのではないでしょうか。
だいぶ気の早い話ですが、3年後に控える次回参議院議員選挙についても予想してみましょう。
2019年の参議院議員選挙では、現在15歳の人たちまでが選挙権を得ることになります。そこで、2016年7月の推計人口に第24回参議院議員選挙の年代別投票率を掛け合わせて世代別の推計投票者数を求めてみましょう。なお、18歳と19歳の投票率では、18歳の投票率が10%程度高くなっていますが、今後、主権者教育の充実や、住民票問題が改善されることを期待して、10代の投票率は18歳の投票率を採用します。
その結果、現在15歳~19歳までの若者の推計投票者数は約302万人となります。
確かに、現在10代の若者の推定投票者数は、現在60代以上の方々の半数にも至りませんが、政治的な発言権を得ることができないわけでないと思います。
今夏の参議院議員選挙において、10代の有権者は総数でも240万人でした。けれども彼らの存在は、各地で行われた意識啓発の取組みともあいまって、「給付型奨学金」のような若者に向けた政策にも光を当てるという結果を残しています。
また、参議院議員選挙(比例区)において、最も少ない得票数で議席を得た生活の党(約101万票)と、議席を獲得できなかった最多得票政党である日本の心を大切にする党との得票数の差は約30万票です。
これらのことを考えると、今後の選挙において10代の有権者が発言権を強めていくことができる可能性は十分にあるのではないでしょうか。18歳選挙権の実現をきっかけに各地で行われた取り組みが一過性のものに終わるのではなく、政治への参加、そして政治的リテラシーを高める取組へと発展していくことが期待されます。
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