
先月末、小池都知事が「とちょう保育園」の開会式を行いました。
この「とちょう保育園」は都庁の議会棟にあり、新宿区民の他、近隣起業や都庁職員の子どもを受け入れます。また、事前予約すれば、来庁する方も一時保育サービスを受けることができます。
さらには、都議会定例会では、100億円を超える補正予算を提出。保育所の整備を前倒しするなどして、年度内に新たに定員約5,000人分の拡充を図ります。あわせて、保育士の確保や、保育所の利用者を支援する施策の充実も図っていくとしています。
待機児童の解消に熱心な小池都知事。選挙の時から公約に掲げていました。
その具体的解決方法のひとつとして、今後大きな政策の目玉となると言われているのはが、小規模保育の規制緩和です。そこで今回は、小池都知事肝いりの「小規模保育の規制緩和」について見てみましょう。
現在は対象年齢が0~2歳となっている小規模保育。この年齢制限を撤廃し、3歳以上も利用可能とすることで、小規模保育所(ミニ保育所)を追い出された3歳以上の児童が認可保育所に入れない「3歳の壁」問題の解消を狙っています。
一方、3歳以上の児童が小規模保育所を利用できることになることで、0~2歳の定員が減少するのではないかという指摘もあります。小池都政が行う規制緩和は、果たして東京都の待機児童減少に貢献することができるのでしょうか?
まず、現状についておさらいしてみましょう。
小規模保育所は認可保育所と同じく市区町村が認可する保育施設で、国の制度で下記の事項等が定められています。
・対象年齢が0~2歳(認可保育所は0~5歳)
・定員が6~19人(認可保育所は20人以上)
・ビルの1室等、園庭がない環境でもOK(認可保育所は園庭が必須)
・A型、B型、C型が存在し、職員の配置人数や保有資格条件が異なる
小池知事は国に対し、3歳以上の児童も小規模保育の対象とする特区として認定したいと訴えました。
もし特区として認められた場合、小規模保育所は認可外施設よりも国からの補助を手厚く受けられることもあり、利用者は利用料を抑えることができます。
現在の小規模保育所の対象年齢は2歳まで。3歳になると自動的に卒園させられてしまいます。なぜ2歳までなのでしょうか?内閣府は以下のような見解を公式に述べています。
3歳児以降は、子どもの人数の多い集団の生活の中で育つことが発達段階として重要であることから、小規模保育事業の対象は、原則として3歳未満児
引用:http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/faq/pdf/jigyousya/s2.pdf
この文からは、現在設けられている年齢制限は、児童のために作られたものであると読み取れます。
しかし、卒園した3歳児が「子どもの人数の多い集団」に入るべく規模の大きな認可保育所への入所を希望しても入所できず、行き場をなくしてしまう事態が発生していました。この現象は通称3歳の壁と呼ばれ、東京都でも保育問題の課題となっています。
3歳以上の児童にとって良い環境を用意したいが、それだとそもそも保育所に入れない。認可外施設は利用料が高くなってしまう。小池知事はジレンマだらけの3歳の壁を解消すべく、規制緩和の方向に舵を切りました。
実際に規制緩和が行われ、小規模保育所利用児童の年齢制限が撤廃されると、保育の現場はどうなるのでしょうか? 懸念されている事項も含め、以下にまとめてみました。
○「3歳の壁」によって待機児童となっていた児童の受け皿ができる
○2歳での強制的な卒園がなくなるため、認可保育所への入所を目指して親が「保活」をする必要がなくなる
○待機児童の減少につながる?
×小規模保育所の0~2歳までに開かれていた定員が3歳以上のために使われてしまう?
×認可保育所よりも狭いスペースに児童が「詰め込まれて」しまう?
×保育士資格を有する職員の比率が低いB型やC型の小規模保育所に3歳以上の児童が預けられることで、保育の質が低下する?
年齢制限が撤廃された後の小規模保育については、NPO法人全国小規模保育協議会の理事長を含める駒崎弘樹氏の発言をはじめ、Twitter上でも様々な立場から議論がなされました。
参考:小規模保育所の規制緩和について – Togetterまとめ
小規模保育の年齢制限撤廃以外にも、小池氏は保育所整備の補助拡大や育児休業期間の延長・事業所内保育施設の固定資産税の非課税措置拡大等の保育改革を提案しており、安倍首相はこれらの保育改革に前向きな姿勢を見せている模様です。
早速問題解決に向けて動き始めた新東京都知事は、根深い待機児童問題を解消することができるのでしょうか。
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