「18歳選挙権」が夏の参院選から適用されます。投票年齢の引き下げは若者の政治参加促進が目的ですが、若年層の投票率は低いままで、国政選挙では20代の投票率が30%を切る勢い。10代の人も3割しか投票に行かないとすればちょっと困ったことになりそうです。7割の人が投票しないことを学校に例え、低い投票率が社会に及ぼす影響の大きさを調べます。
まず、若年層の投票率の推移を見てみましょう。
投票率アップへ啓発活動を行う明るい選挙推進協会のデータによると、20代の投票率は低下傾向が続いています。このうち衆院選では昭和40年代に行われた選挙では60%台を保っていたものの、平成に入ってからは30%台に下がり、直近の2014年12月の衆院選では過去最低の32.58%を記録。他の世代もおおむね下がってはいますが、20代の下がり幅は約35ポイントで各世代間で最も大きい水準となっています。全体でも昭和40年代の投票率は70%台を維持していたのに対し、平成に入ってからの投票率はおおむね60%割れ。2014年の衆院選では52.66%と過去最低となりました。
「18歳選挙権」で若者票は増えますが、20代と同じように3割しか投票に行かないとなれば数十年後には投票率が30%を切るかもしれない状況です。
では、10代のうち3割しか投票しないことを学校に例えてるとどうなるのでしょうか。
40人のクラスで7割に当たる28人がクラス会を欠席したとしましょう。クラスに残った12人が学級委員長を決めることになりますが、12人で学級委員長を決めるとなると過半数は7人。クラスのわずか17.5%の賛成で決められた学級委員長は「クラスの代表」という気持ちになるんでしょうか?
サッカー部の場合?
例えば生徒が休んだ理由がインフルエンザだとします。学校にもよりますがインフルエンザによる学級閉鎖は3割の欠席が条件となっているところが多いので、そもそも健康な生徒も学校に行けませんよね。
次に部員25人のサッカー部に例えてみます。試合をするとすれば3割は7人。サッカーの場合、規約にもよりますが退場などでピッチ上にいる選手が7人になった場合はそれまでの経過に関係なく0ー3の没収試合になります。3割しか参加しなければ、そもそも試合ができないんです。逆に言えば7割が試合をドタキャンすると仮定すると、試合をするためには37人以上の部員を確保する必要があるともいえます。
野球部の場合?
野球部ではどうでしょうか。7割がドタキャンするとしたら、試合をするには最低でも部員が30人必要です。日本高野連によると、2015年の高校野球部員数の平均は42人。このうち3割しか試合に出ないとすれば、各高校は事実上、平均で13人しか部員がいないことになります。
教員の場合?
1学年40人のクラスが3つ、全校生徒120人の高校があったとすれば教員の定数は15分の1の「16」となるのが一般的。先生も3割しか学校に行かないとなると、その学校は生徒36人、教師5人の超小規模校と化してしまいます。その生徒が両親、弟の4人暮らしだとすれば、7割5分に当たる3人が家出をして、家に帰っても園子ひとりだけになるということです。何事においても、3割しか参加しない社会はとても寂しいものですよね。
年齢引き下げを受け、いま高校では「主権者教育」が活発に行われています。生徒に模擬投票をさせたり、副読本を配布するなどして投票に対する興味を持ってもらおうという取り組みです。「18歳選挙権」が世間から注目を集めている今、高校でも主権者教育は熱を帯びる時期でしょう。夏の参院選は、その効果が浸透しているか、今後投票率が上がるかが問われる「試金石」となる選挙です。10代のみなさん、ぜひ投票に行きましょうね。
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