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まさかの7割超え!「18歳投票率が高過ぎる」と話題になった神崎町ってどこ?

2017/5/1

高橋 亮平

高橋 亮平

先日も『【18歳選挙権×東京都議選】18歳投票率、参院選では東京都が全国1位だったが、都知事選は9%減』を書いたばかりだが、今回は市区町村レベルの基礎自治体ごとの18歳投票率について紹介したいと思う。

総務省が2016年7月に実施した参議院選挙について各都道府県の18、19歳の有権者を抽出して実施した選挙区の投票率の調査で、横浜市青葉区の市立荏子田小学校の投票所の18歳の投票率が73.49%と高過ぎると話題になったことがあった。

この結果を受けて、神奈川県警青葉署が横浜市青葉区の県立高3校に「区の18歳投票率が高いが、特別な取り組みをしたのか」と電話で問い合わせ、さらにそれに対し弁護士たちによる自由法曹団神奈川支部が「教育内容への不当な干渉」などと抗議する声明を出すなどの問題にもなったほどだった。

青葉区全体の18歳投票率は結局67.54%ということだったが、今回、千葉県内自治体の18歳投票率について調べていたところ、驚くような結果が見られた。

自治体別18歳投票率ランキング(千葉編)

自治体別18歳投票率ランキング(千葉編)

10人に7人が投票! 高すぎる18歳投票率

千葉県内で18歳投票率が最も高かったのは、意外にも神崎町(こうざきまち)だった。しかもその投票率は、71.64%という驚きの数字だった。まだ全国の自治体の投票率を調べたわけではないが、全国で最も18歳投票率の高い自治体である可能性すらある。10人中7人以上が投票に行くという日本では考えにくいような割合だ

神崎町は千葉県香取郡にあり、成田空港のある成田市に隣接し、成田市への通勤率が30%弱という人口約6,000人の町である。今回の対象となった18歳の有権者は67人しかおらず、県の選挙権利委員会に話を伺いに言ったところ「小さな自治体ですから、とくにこの事について調査などは行っていません」との事でしたが、それでも67人中48人が投票するというのは驚異的な結果であり、どういった事がこの結果に結びついたのか検証はすべきように思う。

ちなみにこの神崎町の選挙管理委員会にヒアリングしたところ、とくに何か目新しいことをやったわけではなく、県選管が用意したチラシなどを対象となる10代全員に直接郵送を行なったぐらいだという。
2位は長柄町(ながらまち)の69.49%と小規模自治体が上位をしめる結果となった。

10代は年齢が下がるほど投票率が上がる

もう1つ、触れておきたいのが「19歳投票率」についてだ。
今回の千葉県内自治体調査の中で最も19歳投票率が高かったのは、芝山町(しばやままち)の56.8%、次いで白井市の53.87%、一宮町(いちのみやまち)の 53.77%、浦安市の51.82%と続く。

今回の参議院選挙の結果を見ると、全国では18歳が 51.28%に対して42.30%と▲8.97P、千葉県全体でも18歳53.92%に対して19歳46.01%と▲7.91P、東京都も18歳62.23%・19歳53.80%で▲8.42P、神奈川県18歳58.44%・19歳51.09%で▲7.35P、埼玉県18歳55.31%・19歳46.31%で▲9.00Pといずれも10P弱19歳投票率が低い結果となっている

こうした傾向は日本だけでなく世界的な傾向であり、単純化して言えば、投票率は一般に「年齢が若くなるほど投票率が低くなる」と言われるが10代においては「年齢が低いほど投票率が高くなる」という傾向がある

今回の結果でも20代の投票率よりも19歳、その19歳よりも18歳が高くなった。ヨーロッパで「16歳選挙権」を実現している国や地域においては、さらに18歳よりも17歳、17歳よりも16歳の投票率が高い傾向が出ている

19歳投票率が低投票率になる要因には色々なものがあるが、その1つに大学生などが住民票を実家に置いたまま移さずにしていることなどもあると言われる。ヨーロッパでは、年齢が低いほど親との同居率も高く、こうした同居による親の影響や政治教育などによる効果だと言われている。
以前のコラムでも『両親さえ投票に行けば、子どもの投票率は71%になるが、大事なのは投票率じゃない』と紹介したように同居する両親が投票に行くと、その子どもの投票率は高くなる。

投票率の低下は、総務省や選管の抱える大きな課題、情報は引き続き公表を

千葉県では、今年3月に千葉県知事選挙が行われている。今回、18歳投票率が極めて高かったと紹介した神崎町だが、知事選においては、ここまでの高い投票率にはならなかったとの事だった。県知事選挙時の18歳19歳の投票率については県の調査項目に答えたが、県が公表していないので現段階では話せないとの事だった。自治体のデータでありながら県がしてないことは勝手にできないなど、地方分権化が進んだ現在において1990年代以前の役所か…と思うが、町役場だからしょうがないということだろうか。

県選管も市町村ごとの世代別投票率の公表は今後行わないそうだ。投票率の低下は、総務省や選管の抱える大きな課題でもある。都道府県選挙管理委員会の状況が千葉県と同レベルであるのであれば、総務省当たりが責任を持って自治体ごとの世代別投票率についてもしっかりと公表することで、どの自治体のどういった対応が投票率についても良い影響が出るのかなどといった調査も行なってもらいたいものだ。

少なくとも情報は引き続き公表をしてもらいたい。
今年はこの後に夏には都議会議員選挙、その他の地域でも首長選挙など様々な選挙が続く、18歳の投票がどうなって行くのかについて、周りの環境も含めて引き続き見て行くことにしたい。

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高橋 亮平

高橋 亮平

一般社団法人政治教育センター代表理事、NPO法人Rights代表理事、一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、千葉市こども若者参画・生徒会活性化アドバイザーなども務める。1976年生まれ。明治大学理工学部卒。26歳で市川市議、34歳で全国最年少自治体部長職として松戸市政策担当官・審議監を務めたほか、全国若手市議会議員の会会長、東京財団研究員、中央大学特任准教授等を経て現職。学生時代訴え続けた18歳選挙権を実現。世代間格差問題の是正と持続可能な社会システムへの転換を求め「ワカモノ・マニフェスト」を発表、田原総一朗氏を会長に政策監視NPOであるNPO法人「万年野党」を創設、事務局長を担い「国会議員三ツ星評価」などを発行。AERA「日本を立て直す100人」、米国務省から次世代のリーダーとしてIVプログラムなどに選ばれる。テレビ朝日「朝まで生テレビ!」、BSフジ「プライムニュース」等、メディアにも出演。MXテレビ「TOKYO MX NEWS」では週一ペースで解説を務める。著書に『世代間格差ってなんだ』、『20歳からの社会科』、『18歳が政治を変える!』他。株式会社政策工房客員研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員も務める。

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