データで選挙を見る―
やまもといちろうさんへのインタビュー第3回は、地味に見える選挙活動についてです。
第1回:議席予想・世論調査の裏側に迫る >>
第2回:保育園落ちた日本死ね」は争点にならない!? >>
聞き手は選挙ドットコムCCOで選挙プランナーの松田馨が務めます。(全4回掲載)
やまもと:以前に「選挙カー」ってウザいけど意味あるの?【お前らの知らない選挙の実情】 にも書いたんですが、選挙カーって実は得票に効果があるんですよ。
松田:名前の連呼であっても、接触回数が増えることで、信頼の獲得につながっていくわけですね。
やまもと:そうです。だから、みんなダルがるんですけれども、街頭演説が終わったあとに聴衆に走っていって握手するじゃないですか。商店街をタスキかけて候補者が練り歩いたり。あれも接触回数が上がるので効果的なんです。
昔から行われている「ドブ板選挙※」の、踏んだドブ板の数だけその人は信頼されるというのはまさにその通りで、足で稼げない政治家は基本的に長く続かない。
※候補者や運動員が有権者に会うために民家を一軒一軒回る選挙のやり方のこと。昔は、各家の前に張り巡らされた側溝(ドブ)があり、そのドブを塞ぐ板を渡っていたことから「ドブ板選挙」と言われた。

松田:足で稼ぐのは政治活動の基本で、ここを丁寧にやっているかどうかで当落に差がでますよね。逆風でも勝ち上がってくる政治家の方の共通点は、地道な地上戦を丁寧にやることで、有権者の信頼を勝ち取っているということ。
やまもと:ええ、まさに。だから街頭に行きたがらない政治家って、結果として弱い。追い風選挙であれば有権者の期待を集めることはできるけど、政治にはつき物のアゲンストのとき、有権者との接触回数が少ないと信頼感をもってもらうことができず、どんなに著名でもあっさり落選してしまう。これは戸別のあいさつ回りに限らない話で、雨の日も風の日も毎日駅前で欠かさず街頭演説をやるとか。千葉の県議会から出てきて毎日街頭演説やって、首相にまで上り詰めた野田佳彦元首相なんて凄いなあと思いますよ、やっぱり。
日頃の活動や選挙の中で導き出されるその人の胆力であったり、組織力であったり、あと党内の信頼感というのがあって、それを逆算していくと、なぜこの人が信頼されるのか、なぜ党内で力を持てるのかというのは全部選挙の強さに繋がっていく。有権者は体感でそれをわかっているというのがやっぱり大きいですね。
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松田:私も10年選挙に関わって思いますけど、人との接触回数を増やしていくという昔からの選挙運動って、一見効率が悪いように見えて実は効果が高いなと実感しています。
やまもと:有権者って、そうした政治家との接触を通じて見てるんですよ。各候補者の人間性とまでは言わなくても、その人の大枠をつかみとっている。
松田:直感的に読み取っていると。
やまもと:ただ、政治家も人間なので、ある分野ではすごくても、ある分野ではダメなんですよね。そのダメなところがクローズアップされると、失言に繋がったり、スキャンダルになったりしてしまうんですけど、その人の一般的な能力、凄さというのはある程度有権者はわかってちゃんと投票しているように見えます。有権者に支持され当選するには、やはり理由がきちんとあるのです。
スキャンダルも含めて、いろんなことを経験した方もいらっしゃるけれども、そういう人はなぜ選挙に強かったんだっけ、何でこういう人が地域の人に信頼されたんだっけというのを、もっと謙虚に捉えないと爆発しますよ、とは言うんですけどね。
松田:本当にその通りですね。最近いわゆる地上戦をやりたくないって政治家が増えているように感じます。僕のところにも「風を吹かせて勝たせてくれ」といった勘違いした依頼がたまにくるんですけれども「魔法使いじゃないので、できません」と言って断ってます。
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やまもと:意外とみなさん、「選挙とは博打のようなもの」ってイメージを持っているみたいなんですよ。要は、風向きが悪ければ落ちる、よければ通る。それも一面では真理なんだけれども、逆風でも当選する政治家の凄さっていうのは、本当もうちょっと評価してあげるべきじゃないかな。
松田:確かに。選挙業界では「選挙しながら組織し、組織しながら選挙する」というのが極意だと言われています。政治家は選挙という機会を通じて、自分の実現したい政策を訴え、有権者と直接あって信頼を勝ち取っていくことで自分の地盤=組織を作っていく。そうして出来た地盤をもとに、活動量を増やしていきさらに選挙運動が加速していく。
やまもと:まさに選挙って徒党を率いて進軍していくものなんだと思います。僕は、タレント候補だからこれくらいの票は取れるだろっていうケースは除いて、単純にその人のバッジつけた時の胆力っていうのは、本当に支持してくれる有権者がどれだけその背中の後ろにいるかだと思うんですよ。
それはもちろん世襲だったり、支持母体の凄さだったり、都道府県議や市区町村議の方の支援とかも含めて、そういう仕組みや組織をちゃんと作って維持できているかどうか。それでいて政治家として政策立案能力だとか国会で議論する力だとか、専門性もちゃんと持っている。そうして初めて、5年生6年生になって大臣になってそういう経緯を踏む訳で、そういう人になれる候補者かどうかを見極めないとダメなんだなと。
松田:その通りですね。そうした政治家を見極めていくために必要な情報を、選挙ドットコムではもっと掲載していきたいと思います。
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