最近、日本中のあちらこちらで話題になる事の多い、村おこしや町おこし。つい最近も、公務員の大胆な企画で村おこしが実現するというドラマが放映されたが、ドラマを超えた驚くような話が、現実に起こっていた。
教育バラエティー番組「世界一受けたい授業」では、地方創生に力を入れているあの小泉進次郎議員が視察に訪れるほど、大胆な改革を成功して見せた「長野県下條村」を紹介。
東京から4時間半もかかる山奥に存在する下條村が、わずか2年間で財政を立て直し、莫大な借金を背負った財政からなんと64億円もの貯金をするまでに成長した!というのだから驚きだ。
行われた奇跡の改革は、公共事業のコストを5分の1に削減すること。細い農道や、水道工事などの小規模工業事業を、村民自らが行うことにしたのだ。村がお金を出すのは、コンクリートなどの資材だけなので、これなら確かにかなりの人件費が浮くはずだが、無理難題ともいえる伊藤喜平村長の提案には、多くの村民が不安を抱いたという。「自分たち素人にそんなことが出来るはずがない」と。
しかし、「やってみると意外と楽しい」と、この大胆な企画が実現、住民自らがこれまでに整備補修した村道や水路などはなんと1,600ヶ所以上!1回あたりの工事費は、通常の5分の1である20万円ほどで済んでいるそうだ。その功績がたたえられ、伊藤村長は、総務大臣から表彰を受けている。
ちなみに村長は当時、村民に対し次のように説得したそうだ。「財政が非常に悪くてお金がほとんどない。みなさんも、知恵を出して汗をかいてください。これをやりきらないと下條村の将来はない」と。
また、大胆な改革はこれだけではない。村長は、役場の思い切った人員削減も実行。20年前には60人以上もいた職員は、現在ではわずか39人。同規模の村役場の職員数と比較するとほぼ半数であるが、実際の業務に関しては、濃密で効率よい働き方をすれば全く問題ないそうだ。その結果、借金だらけだった村の財政は一気に回復!今では村の貯金額が64億円以上にも膨れ上がった。
また、番組では、新たな人材を街に呼び込むために建てた、10棟の村営住宅についても注目。若者向けにつくられた、2LDK + 駐車場2台ものスペースを保有するその部屋の家賃は、民間のマンションの約半分である3万4千円!
・妻や子どもなど同居する家族がいること。
・地元消防団へ加入すること。
この2つの条件を満たせば、入居が可能。しかも、子どもの医療費は、高校卒業まで村が全額負担してくれる。この奇跡の村がある長野県は、「移住したい都道府県ランキング」で、2006年から9年間もTOPを独占し続けているそうで、一時は3,900人をきった人口も、1992年に伊藤村長が就任してからは一気に増加、一時は4,200人まで急上昇したそうだ。
このように、下條村は、まさに奇跡を起こした素晴らしい村となったわけだが、村の財政をひとりひとりに理解してもらうことからスタートし、村民の反対をも恐れずに本当に必要だと思われる改革を企画した村長の苦労は、想像を超えるものだったに違いない。執行機関の長である者の判断力や決断力、統率力などが、大きな財政改革に欠かせない、ということを改めて実感することができる。
しかし、それだけでここまでの成功は成し得ないだろう。番組ゲストの日本テレビアナウンサー藤井貴彦氏は、「村の財政ってこうなっているんだ!ということを、村民が理解するところが、一番いいんじゃないかなと思う」と語ったが、まさにその通りである。政治家の話に真剣に耳を傾け、住民たちが自分たちの問題であることに気づき、そして、自分たちの力で復活させるんだ!という意識を持つことができたとき、最大の結果を出すことができるのではないだろうか。
その他にも、番組では、さまざまな村(町)おこしを紹介。広島県尾道市では、尾道市と四国の愛媛県今治を結ぶ全長70kmほどのサイクリングコース「しまなみ海道」が世界中のサイクリストを虜にし、昨年の外国人客数が前年の40%もアップ!13万1,646人になった事例などを紹介していた。
ゲストの高橋克己の出身地新潟県三条市では、通りを歩行者天国にし、農産物や雑貨などを揃えた露天市「三条マルシェ」が成功を遂げ、さまざまな自治体が視察に来るそうだ。このように、村の個性を活かした企画の成功事例が増えることは、日本全体の財政再建につながるはず。
現在赤字に苦しむ地方に勇気と知恵を授けてくれたこれらの事例をきっかけに、今後さらに日本全国で“村おこし”旋風が巻き起こることを期待したい。
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