2026/7/14
皆さん、こんにちは。枚方市議会議員のかじや知宏です。
「枚方市の水道料金は大阪府内でも安い」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、その一方で、浄水場や配水池、水道管の老朽化が進み、地震に備えた耐震化にも多額の費用が必要となっています。
さらに、現在の収支見通しでは、令和10年度に水道事業が赤字へ転じる見込みが示されており、今後は水道料金の改定も視野に入れた検討が進められることになりました。
今回は、建設環境委員協議会や上下水道事業経営審議会で示された資料をもとに、枚方市の水道事業が抱える課題や、今後の水道料金のあり方について、分かりやすく解説します。

枚方市では、令和7年11月の建設環境委員協議会において、今後の厳しい経営状況を踏まえ、水道料金の改定も視野に入れた検討を進めていく方針が示されました。
その後、**令和8年6月9日に開催された「枚方市上下水道事業経営審議会」**では、この内容について審議会委員へ説明が行われ、今後は審議会での議論を踏まえながら、市議会にも適宜報告していくこととされています。
これから、水道施設の更新に必要な費用や経営の見通しを精査し、料金改定の必要性や水準について議論していく段階です。
平成30年の水道法改正により、水道事業者には、水道施設や経営基盤を強化する責務が定められました。
枚方市でも、令和6年3月に「枚方市水道事業経営戦略」の中間見直しを行っていますが、その時点ですでに、令和10年度には支出が収入を上回り、純損失、つまり赤字になる見込みが示されています。
また、令和6年1月に発生した能登半島地震では、配水池や送水管、配水管の耐震性が不足していたことなどにより、断水が長期化しました。
さらに、令和7年4月には京都市で大規模な漏水事故が発生し、平常時でも老朽化した水道管が市民生活に大きな影響を与えることが改めて明らかになりました。
枚方市でも、
✅ 基幹施設の更新
✅ 水道管の耐震化
✅ 老朽管の更新
✅ 安定した財源の確保
を一体的に進める必要があります。
枚方市ではこれまで、
などの更新・耐震化を進めてきました。
令和6年度末時点では、
📌 送水管の耐震化率 34.2%
📌 配水池の耐震化率 71.3%
となっています。
現在は、中宮浄水場と、中宮浄水場から春日受水場までの送水管の更新・耐震化を進めています。
これらが完了すると、
📌 浄水場の耐震化率 84.6%
📌 送水管の耐震化率 38.9%
となる見込みです。
一方で、送水管については、整備後も耐震化率が4割に届かない見込みであり、引き続き計画的な対応が必要です。
今後、枚方市では、次のような基幹施設の更新・耐震化が予定されています。
✅ 妙見山配水池更新事業
工事期間:令和9年度~令和12年度予定
概算事業費:約33億円
✅ 春日受水場~津田低区配水場間送水管複線化事業
概算事業費:約43億円
✅ 春日受水場~大池配水場間送水管更新事業
概算事業費:約47億円
✅ 磯島取水場~中宮浄水場間導水管更新事業
概算事業費:約90億円
これら4事業だけでも、概算で約213億円となります。
水道料金の議論を考える際には、単に日々の運営費だけでなく、こうした将来の大規模な施設更新費も含めて考える必要があります。

浄水場や送水管などの基幹施設だけでなく、市内に張り巡らされている配水管の老朽化も深刻な課題です。
枚方市の水道管路は、全体で約1,186キロメートルあります。
このうち、漏水が起きた場合に社会的な影響が大きい口径250ミリ以上の配水管で、耐用年数の40年を超えた鋳鉄管は、
📌 約55キロメートル
📌 全管路延長の約4.6%
となっています。
これらの配水管を更新・耐震化するために必要な費用は、概算で約330億円と試算されています。
京都市で発生した漏水事故のような事態を防ぐためにも、計画的な更新を先送りすることはできません。
枚方市では、更新・耐震化に必要な費用をすべて水道料金だけで賄うのではなく、国の制度も活用する方針です。
具体的には、
✅ 水道総合地震対策事業
補助率:3分の1
✅ 水道施設アセットマネジメント推進事業
補助率:4分の1
などの国の交付金を最大限活用します。
また、国の制度改正により、水道管路の耐震化について、枚方市の一般会計から水道事業へ支出する「繰出金」の活用も予定されています。
私は、料金改定を検討する前提として、まずはこうした国の支援制度や一般会計からの適切な負担、業務効率化などを最大限活用する必要があると考えています。
資料の収支見通しでは、令和5年度・令和6年度の決算や令和7年度予算を反映しても、令和10年度に純損失、つまり赤字が発生する見込みとなっています。
背景には、
✅ 人口減少や節水の進展による水道料金収入の減少
✅ 物価高騰や人件費上昇による維持管理費の増加
✅ 新しい中宮浄水場整備に伴う減価償却費や企業債(借入金)利息の増加
✅ 老朽化した施設や水道管の更新・耐震化への投資拡大
などがあり、今後の経営に大きな影響を与える見込みです。
さらに、今後予定されている基幹施設の更新・耐震化費用を反映すると、令和11年度以降は赤字額が拡大していく見込みです。
令和11年度には、建設工事などの財源として蓄えてきた内部留保資金も不足するとされています。

施設更新の費用には、水道事業の借金にあたる「企業債」が使われます。
今後、浄水場や送水管などの整備に多額の企業債を充てるため、企業債残高は令和9年度以降、大きく増加する見込みです。
仮に更新・耐震化に必要な費用を企業債だけに依存すると、
📌 令和6年度:約200億円
📌 令和20年度:約449億円
となり、企業債残高は約2.2倍になる見込みです。
企業債が増えると、将来の元金返済だけでなく、支払利息も増加します。
目先の料金負担を抑えるために借金へ過度に依存すれば、将来世代へ負担を先送りすることになります。

今後も安全で安定した水道サービスを維持するためには、施設の更新・耐震化を着実に進める必要があります。
その一方で、枚方市は、
✅ 官民連携
✅ DXの推進
✅ 業務の効率化
✅ 国の交付金の活用
✅ 一般会計からの適切な負担
などを進めたうえで、必要な費用と料金収入が見合うよう、適切な水道料金のあり方を検討するとしています。
料金の検討には、「総括原価方式」が用いられる予定です。
これは、一定期間に水道事業を運営するために必要な費用と、施設整備などに必要な費用を計算し、その総額に見合う料金収入を確保する考え方です。
ただし、現時点では、
値上げの時期、値上げ幅、具体的な料金体系は決まっていません。

今後の予定は、次のとおりです。
📌 令和8年度
📌 令和8年度~令和9年度
📌 令和10年度
今後約2年間をかけて、施設整備や経営見通し、料金のあり方について具体的な議論が行われます。
資料では、他市との料金比較も示されています。
令和8年4月24日時点で、一般家庭が1か月に20立方メートルを使用した場合の枚方市の水道料金は、
📌 月額2,290円
です。
大阪府内43市町村では、
📌 2番目に安い水準
となっています。
枚方市を除く大阪府内の平均は3,115円ですので、枚方市は平均より825円安い計算になります。

また、中核市62市の比較では、
📌 3番目に安い水準
となっており、中核市平均の3,428円より1,138円安い状況です。

水道料金が低く抑えられてきたことは、市民負担の面では大きなメリットです。
一方で、これまでの低い料金水準と、今後必要となる施設更新費用との間に、どのように折り合いをつけるかが大きな課題となります。
水道は、市民生活を支える重要なライフラインです。
施設の更新や耐震化を先送りし、漏水事故や長期断水を招くことは避けなければなりません。安全で安定した水道を将来にわたって維持するために必要であれば、料金改定も含め、持続可能な財源の確保について正面から議論する必要があります。
一方で、市民の皆さんに新たな負担をお願いする以上、その必要性や料金水準について、十分な根拠と丁寧な説明が欠かせません。
私は、今後の議論では、少なくとも次の点を確認する必要があると考えています。
✅ 更新・耐震化事業の優先順位は適切か
✅ 事業費の見積もりは妥当か
✅ 官民連携やDXによる効率化は十分か
✅ 国の交付金や一般会計からの支援を最大限活用しているか
✅ 企業債と料金負担のバランスは適切か
✅ 急激な値上げや短期間での再値上げを避ける設計になっているか
✅ 低所得世帯や子育て世帯など、市民生活への影響が考慮されているか
料金を低く維持することだけを優先し、必要な投資を先送りすれば、将来の事故や大幅な料金改定につながるおそれがあります。
必要な投資と経営効率化を着実に進めながら、現在の市民と将来世代のどちらか一方に負担を偏らせない、持続可能で納得感のある料金のあり方を検討していくことが重要です。
現時点では、枚方市の水道料金の値上げは決定していません。
しかし、
などを考えると、水道料金のあり方について議論すること自体は避けられない状況です。
大切なのは、市民に十分な情報を示さないまま結論を急ぐのではなく、必要な事業費や経営努力、将来の料金負担を分かりやすく説明し、納得感のある議論を進めることです。
私も市議会議員として、安全で安定した水道を将来に残すことと、市民負担をできる限り抑えることの両立を目指し、料金改定の必要性や根拠を厳しく検証し、必要な改善を具体的に提案していきます。
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