選挙ドットコム

田中 けん ブログ

2024年5月24日 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 議事録

2024/9/3

○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 本日最後の質問となります。よろしくお願いいたします。

 一谷委員の関連質問のような形になるんですけれども、出産費用について、また産後ケア事業について、そして母子保健情報のデジタル化について質問させていただきます。

 二十一日の報道によりますと、政府は、正常分娩での出産費用に公的医療保険を適用し、自己負担を求めない方向で検討に入ったということが掲載されていました。これまでは出産の保険適用化とも言われておりましたが、この記事ですと、制度的には保険適用化であっても、実質は基本的な出産に係る自己負担なしというふうに読めるんですけれども、政府はそのような方針で今進めているということでよろしいでしょうか。

○須田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略におきましては、出産育児一時金の五十万円への引上げ等の経済的負担軽減策や出産費用の見える化、これを進めた上で、これら効果の検証等を行いまして、二〇二六年度を目途に、出産費用、正常分娩の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進めるというふうにされたところでございます。

 政府といたしましては、今後、厚生労働省及びこども家庭庁が共同で有識者による検討会を設置し、議論を行っていく予定としております。

 御質問にありましたけれども、正常分娩の保険適用の導入を含め、妊産婦に対する具体的な支援策の在り方でございますが、これから設置される有識者検討会における議論を踏まえつつ検討していくということでございまして、現時点で何か決まった方針があるわけではございません。

○田中(健)委員 その方針をしっかり私は伝えてもらった方がいいと思いまして、この報道がネット等でもかなり広がっておりますので、様々な、専門家や、いろいろな意見がもう飛び交っておりまして、自己負担が増える地域もあると思ったけれども、よかった、懸念がこれで解消されたとか、無痛分娩や開業助産師による助産所はどうなるんだろうかとか、いろいろな議論が飛び交っています。

 今答弁いただいたように、私も厚労委員会でこの議論をしてまいりまして、当初、出産費の比較サイトを全部作りまして、そして、その出産費用の見える化をしていく、さらに、医療機関から様々なデータを集めて、そして保険適用となるサービスやまた給付の水準を決めるということが昨年議論をされていたと思います。今答弁されていましたので、それをしっかり伝えてもらい、まだこれからだということと、余り先んじていろいろな、勝手に議論が進まないようにしていただきたいと思います。

 その中で、比較サイトはこの年度中に作るということが言われておりましたし、また、出産費用の在り方の議論を併せてどのように進めていくのか、再度伺います。

○須田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたように、こども未来戦略におきましては、出産費用の見える化を進めた上で、これらの効果等の検証を行った上で、二〇二六年度を目途に、出産費用、正常分娩の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進めるというふうにされたところでございまして、今後でございますけれども、まずは分娩取扱施設ごとのサービス内容あるいは出産費用の状況などを公表いたしまして、出産費用の見える化をまずしっかり進めるということをいたしまして、その次の段階として、必要な検討をしていく。その検討に当たりましては、先ほども申し上げましたように、新たに設置される検討会においてしっかり検討をしていくということになります。

 なお、出産費用の見える化につきましては、全国の分娩取扱施設から必要な情報の収集を進める作業を今進めている段階でございまして、見える化、ウェブサイトという形で本格的に稼働できるように準備を進めてまいりたいというふうに考えております。

○田中(健)委員 この比較サイトを五月いっぱいで作るということを言っておりましたので、もう五月は終わりを迎えておりますので、是非、一日も早くこのサイトを開いていただければと思っています。

 生まれた後の産後ケア事業について引き続き伺いたいと思いますが、こども家庭庁は産後ケア事業の拡充に乗り出すという報道も、二十二日、一昨日あったばかりであります。

 児童相談所の児童の虐待件数というのは、令和四年調査で二十一万九千百七十件と過去最多を記録するなど、家庭内での虐待、ネグレクトが増加傾向にある中、母親の心理的、身体的サポートを目的とした産後ケア事業の社会的ニーズというのは高まっています。しかしながら、二二年度に全国の八割に当たる千四百六十二市区町村で実施をされたにもかかわらず、利用者は一〇・九%、一割しかいなかったということであります。

 実際、ケア事業者に話を聞いてまいりましたが、産後ケアで初めてゆっくり湯船につかることができた、睡眠をまとめて取ることができた、これがリフレッシュとなる、産後ケアは支援者と出会う最初のタイミングになり得る、自立支援にもつながる等、大変にその有効性また必要性というのが述べられている一方、なかなか受益者負担で利用できるのは公務員以上の給与レベルの人が多い、あと、夫や家族からの理解がなかなか得にくいため、母親が自分の心身のために利用料の支払いをしてまで利用が進まないんじゃないかといった課題も、声も聞いてまいりました。

 この利用率の低調の原因というのをどのように分析をしているのか、また、今回、拡充策をするということが報道されていましたが、それによってどのように改善されるのか、大臣にお聞きします。

○加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 産後ケア事業につきましては、令和四年度時点で、全市町村の約八四%に当たる千四百六十二市町村で実施されておりますが、産後ケア事業の利用率は約一割にとどまってございます。

 その原因についてのお尋ねでございますが、各自治体によって事情は様々ではありますが、例えば、令和四年度まで、産後ケア事業の実施要綱上では、対象者を心身の不調のある者、育児不安のある者と定めており、利用者の制限を行っている自治体もあったこと、また、産後ケア事業は市町村事業となりますが、実施施設に地域偏在があり、小規模自治体など、委託先の確保に苦慮していた自治体もあったこと、こういったことなどが考えられます。

 こうした課題を踏まえまして、随時事業の見直しを行っていくことが重要であると考えておりますが、まずは、利用者制限の点につきましては、令和五年度から、産後ケアを必要とする全ての産婦に対して利用料を減免する支援を導入するとともに、実施要綱で定める対象者につきまして産後ケアが必要な者と改めて、産後ケア事業がユニバーサルなサービスであることを明確化をいたしまして、希望する全ての産婦が利用しやすくなるような環境整備に取り組んでいるところでございます。

 また、委託先の確保の点につきましてでございます。実施施設の地域偏在の課題がありますが、それにつきましては、都道府県による広域的な調整を支援するため、令和五年度より、管内市町村、また関係団体が参加する協議会を設置、開催し、委託先の確保の検討などを行う都道府県に対しましては国庫補助を行っておりまして、市町村を超えた利用促進、これを図っているところでございます。

 こうした取組により、誰もが使いやすい産後ケア事業となるよう、引き続き必要な取組を進めてまいります。

○田中(健)委員 是非、今の課題は、私も事業者から聞いた課題とも重なりますので、取り組んでもらいたいんですけれども、実際、事業者から聞きますと、この運営、始まってまだ一年ですけれども、赤字が続いているというのも聞きました。

 例えば、一日八時間のデイサービス型でありますと、一人に対して、市民課税世帯での受益者負担は、市の負担と合わせますと一万五千円。しかし、助産師の時給が千八百円で八時間来ていただきますと、それだけで一万四千四百円だということであります。これに食費や水道光熱費、消耗品費、さらには受付業務を始めとした人件費もかかりますので、やればやるほど赤字になってしまうということがあります。

 また、実質、これは申請による支払いなので、手配した利用者が来なかった場合は、助産師さんの給料を払わなきゃいけませんが、補助はありません。そうしますと、なかなか、そもそも事業者が安定的に運営していくのが難しいという声を聞いています。

 ですから、利用率が低い背景には、なかなか、いつでも必要なときに利用できる状況になっていないのではないかという問題点もあると思っています。最初の見積りの時点では、助産師の人件費を出せば何とか事業を運営できるんじゃないかというような試算だったと思うんですけれども、見積りが少し甘かったのではないかという指摘に対して、どのように対応し、また安定した運営につなげていけるか、お伺いしたいと思います。

○藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 産後ケア事業の確保におきまして、事業者の経営の安定化を図っていくことは非常に重要であると考えております。

 経営上の課題でございますけれども、実は、令和五年度に事業者への調査研究を実施をいたしました。この中で、経営上の課題といたしましては、産後ケア施設における利用人数が少ないことによる稼働率の低さ、あるいは市町村からの委託料単価の低さ、こういった点が挙げられております。委員からの御指摘のとおりでございます。

 このため、先ほどの大臣から御答弁いただいたことと重なりますけれども、令和五年度からは、産後ケアを必要とする全ての産婦に対して利用料を減免する支援をスタートいたしております。また、実施要綱で定める対象者は産後ケアが必要な者と改めまして、産後ケア事業がユニバーサルなサービスであるということを明確化をして、希望する産婦さんが利用しやすくなるような環境整備に取り組んでいるところでございます。こういった取組により、稼働率の改善というものを期待しているところでございます。

 また、委託料の単価の低さという御指摘もございました。今国会に提出いたしております子ども・子育て支援法の一部改正におきまして、本事業を法律上、地域子ども・子育て支援事業に位置づけ、市町村が都道府県と連携しながら計画的に整備をしていくという改正項目を盛り込んでおります。

 これは、法律上の施行時期は令和七年度からというふうになってございますけれども、この趣旨は、都道府県が広域的な調整をしながら計画的に整備を推進することに役割を担っていただくこと、その結果といたしまして、都道府県の負担を導入をするということも盛り込んでおります。そうしますと、市町村の負担軽減が図られますので、市町村から産後ケア事業者への委託単価の改善にもつながるのではないかということも期待をしてございます。

 さらに、令和六年度の予算では、産後うつのリスクなど支援の必要性の高い産婦を受け入れた場合の加算なども創設いたしました。

 こうした取組によりまして、市町村から産後ケア施設への委託の積極的な実施、委託単価の改善、こういったことについても図られるということも期待しておりますし、我々、ただいま申し上げましたような産後ケア事業の重要性については、機会を捉まえまして、自治体の皆様に適切に御判断いただけるように、しっかり周知についても努めていきたいと考えております。

○田中(健)委員 今、多々、支援を言っていただきました。是非、現場の状況を聞いていただきまして、そして、加算と、また委託費の、委託率を上げるということを言っていただきましたので、継続できる環境を整えていただきたいと思います。

 一つ飛ばしまして、さらに、医療ケアが必要な子供を出産した場合というのは、産後ケアを受ける対象から外れている自治体があります。このため、医療ケアが必要な子供を出産した母への支援というのが手薄になっているということが言われています。また、医療ケアスタッフによる支援がメインとなりまして、なかなか地域ともつながりにくいということで、孤立につながるということも言われています。

 一般の産後ケアと同様のケアが受けにくい状況にあることが考えられますが、医療ケアが必要な子供の母親こそがケアが必要な状態であると考えますが、このような状況に対してどのように対応をされているでしょうか。伺います。

○加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 産後ケア事業は出産後の産婦に対する保健指導や育児指導等を行うものですが、委員御指摘のとおり、医療的ケア児やその母親への手厚い支援は重要であると考えております。このため、産後ケア事業と併せまして、市町村の障害福祉とも連携をし、こども家庭センター等の関係機関を中心に、医療的ケア児に対する切れ目のない支援を行っているところです。

 産後ケア事業では、宿泊やデイサービスのほか、居宅に訪問して支援を行うことも可能となっており、医療的ケアを必要とする乳児の母親が産後ケアの利用を希望する場合には、例えば、移動の必要がない居宅訪問型のサービスを活用するなど、産婦や乳児の状況に応じ柔軟に実施をされていると承知をしております。

 こうした医療的ケア児やその母親への支援が着実に実施されるよう、今年度見直しを行うことを予定をしております産後ケア事業のガイドライン、こちらの中で、医療的ケア児がいる場合でもその母親に産後ケアサービスを受けていただけるよう適切に情報提供をしていくことや、産後ケアの対応方法の工夫、こういったことをお示しするなど、自治体への周知も含めて、しっかりと必要な対応を進めてまいります。

○田中(健)委員 障害福祉との連携ということを言ってもらいました。確かにそのとおりなんですけれども、なかなか現実はそれができていないという声を聞いています。もちろん、訪問型があると言ったんですけれども、訪問型は、家に来て、じゃ、産後のリラックスできるかというと、やはりなかなかできないのも事実であります。ですから、そもそも気分転換にならないと。

 ですから、できる環境を整えるのは、大臣、確かに言ってもらったとおりなんですけれども、しかし、当事者のケアというのはまた違う、同義語ではないということを是非御理解いただきまして、さらに、この事業は始まったばかりですので、充実を図れるように皆さんで協力していただければと思います。

 時間になりました。終わります。

この記事をシェアする

著者

田中 けん

田中 けん

選挙 第49回衆議院議員選挙 (2021/10/31)
選挙区

静岡4区 49,305 票 比例 東海ブロック 国民民主党 [当選]

肩書 衆議院議員(1期)
党派・会派 国民民主党
その他

田中 けんさんの最新ブログ

ホーム政党・政治家田中 けん (タナカ ケン)2024年5月24日 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 議事録

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_white選挙ドットコムHOMEicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twittericon_twitter_whiteicon_youtube