2024/8/23
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いいたします。
これまでの議論を聞いておりますと、政策活動費、領収書全面公開と思いきや、そうではないようです。
十三条の二にありますが、人件費、事務所費等、総務省令七条三項に規定されている経費は全て公開の対象から外れています。すなわち、政党から支出する経費は全て公開の対象から外れる。
よって、政党から支出する際に、それが人件費だと言い切れば、一切公開義務が免除されるということになります。適用除外が残っているということになりますが、これでしっかり透明性が確保できるのか。対象外にした理由をまず伺います。
○勝目委員 お答え申し上げます。
委員が御指摘になった人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費でありますけれども、総務省令において、人件費、光熱水費、備品・消耗品費、事務所費と、これは限定されて規定をされているわけでありまして、こういう経常経費を除くということであります。
この経常経費というのは、自民党の収支報告書に記載をされております政策活動費にはおおよそ当たらないということでありますし、また、通常の収支報告書においても明細の記載義務がない、領収書等の写しの添付対象にも含まれていないということでありまして、そういう技術的な理由で対象としていないということであります。
仮にこれを人件費等に紛れ込ませたらということが御懸念なんだろうと思うんですけれども、今回まさに私どもがやろうとしているのは、政治活動費でないものを、経常費の方に振り替えてやるというようなこと、こういうことは一切考えておりませんし、その御懸念は当たらないということでございます。
○田中(健)委員 私がやはり懸念するのは、人件費や事務所費の経常経費となるものと、今おっしゃられました政治活動費なるものの区別が不明確な場合があるということです。現時点では経常経費になるという認識の下に、つまりはオープンにしない、計上しない、そしてそれを通告しないということが起こるのではないかということです。
先ほど議論がありましたけれども、例えば、故意にそれをやった場合は虚偽記載だということですが、あくまでその結果が出るのは十年後ですから、十年後に公開されたときに、その区分が脱法なのかどうかというのは、確認することは困難です。
さらに言えば、政治資金規正法の時効は五年ですから、十年後にこれは問題だと言われても、それをどのように、先ほど虚偽記載として罰するということを言っておりましたが、できるんでしょうか。
○勝目委員 まず、今回の改正案修正案、政党に所属している国会議員がその政党から政策活動費の支出を受けたときには、政策活動費の支出を充てて行う政治活動に関連する支出について、項目別の金額と年月を収支報告書に記載するということになっております。
なので、政党から受けた支出の金額と、その使途として収支報告書に記載された金額が一致しない場合には、その差額が政治活動に関連する支出として使われなかったということになる。見える化をするわけです。
一般的に、政治家個人が受領した政治資金については雑所得の収入として取り扱われて、一年間の総収入金額から必要経費として政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額が課税の対象になるわけですので、政治活動に関連する支出として使われなかった金額というのは、課税の対象になり得るわけであります。このことが、収支報告書上、そういうものの存在が明らかになるということでありますので、収支報告書が公表された後、速やかに国民が知り得る状態になるというふうに認識をしております。
もちろん、実際に個別に課税されるかどうかというのは課税当局の判断によることになるかと思いますけれども、いずれにしても、納税を逃れる不正行為が十年経過後の公開でしか発覚をしないという御指摘は当たらないんだろうというふうに考えております。
○田中(健)委員 それでは、政治活動に関連しない支出ということでありますけれども、政治の世界も法律上も、政治活動、また選挙活動というのは明確に区別をされていますが、今回の再修正法案では、公開義務がかかるのは、あくまで政策活動費のうち政治活動に関連した支出です。
ですので、例えば陣中見舞いなどは、選挙に関わる名目で渡せば、領収書も要らなければ、十年後の公開対象にもなりません。これでよろしいでしょうか。
○勝目委員 これは、政治活動という文言が、公選法と政治資金規正法とで異なるということであります。
つまり、選挙に関して支出をされる経費につきましても、これは政治活動に関連した支出に政治資金規正法上は扱われますので、仮にそのような支出があれば、その経費については、選挙関係費として政党の収支報告書に記載されることになります。
○田中(健)委員 やはり選挙活動に関連した支出が、つながっておりますから、全て公開対象から外れるというのは、私は、大きな抜け穴になる可能性があるということは指摘をさせていただいております。
いずれにせよ、例外を設けることなく、シンプルに、やはり全面公開ということが一番ではなかったかと思いますが、このように様々な細かいことまで一々説明しなければ分からないようなことでは、私は、とても国民の信頼や、また、透明性を確保することはできないと思っております。
その上で、領収書のお話に移ります。
提出、保存義務は、法案にはありません。先ほど、議論の中で、附則十四条に書かれているということが言われました。本当にこれで担保できるのでしょうか。先ほどは担保できるというお話でありましたが、であるならば、しっかりと法案の条文に明記してください。いかがですか。
○勝目委員 お答え申し上げます。
これは十四条に、まさに「政策活動費の支出に係る金銭に相当する金銭を充てて政治活動に関連してした支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)」として、これをするという、その旨が規定をされております。なので、ここはまずピン留めといいますか、担保をされている。その上で、制度の具体的な内容について、各党間で早期に検討が加えられるということになるものと承知をしております。
したがって、この十四条の規定を読んでいただきましたら、まず公開のところ、あるいはその中に保存、提出が含まれているんだということは明確であろうというふうに考えております。
○田中(健)委員 それでは、附則十四条の施行日は公布の日となりますので、この法案が施行されますれば、速やかに、現行の政治活動に係る領収書の提出、保存義務がその日からかかるということでよろしいでしょうか。
○勝目委員 附則十四条の施行期日というのは、これは検討の施行期日ということになります。そこで各党会派の間で協議が行われて結論を得るという形になって、それで必要に応じた制度改正が行われるんだろうということであるというふうに認識をしております。
領収書、明細書の保管については、法的義務を課すかどうかということでいいますと、これはそもそも、その先にある公開とセットになるものであろうというふうに考えておりますので、そこは、保管義務については、公開とセットになるんだろうというふうに考えております。
○田中(健)委員 それではちょっとおかしくて、先ほど、ピン留めしていますからもうこれは担保されているというお話だったんですけれども、施行されても検討課題だと。
検討では、では、この新しい制度が始まった後、この結論はいつまでに出るんですか。早期に検討が加えられ、結論を得るものとする、これの結論が出なければ、では、この領収書義務は必要ないということですよね。それが五年でも十年でもということは、これまでも例がありましたので。そういう理解でよろしいでしょうか。
○勝目委員 ピン留めしていると申し上げましたのは、十四条の規定の中で、「支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)をするものとし、」ということで、ここで一回言い切っておるわけですね。その上で、具体的な内容について、「早期に検討が加えられ、結論を得るものとする。」というのが十四条の規定でありますから、その意味においてピン留めがされたということであります。
○田中(健)委員 それでは、保存も、また、そのための提出も、必要だけれども、いつやるかは分からないということですね。それがよく分かりました。つまり、領収書はいつまでたっても提出、保存義務はかからないということであります。
さらに、そもそも、政治資金法第十六条に基づいて、領収書は三年の保存とされています。今回は十年後公開ということでありますけれども、これはどのような整理がされたんでしょうか。他の支出は三年間保存で、この政策活動費の領収書だけ十年以上保存しておく。
そもそも、前提が、今、領収書がいつから保存されるのか、提出義務があるのかも分からないということですから、この質問も成り立たないのかもしれませんが、いかがでしょうか。
○勝目委員 その質問が成り立たないということではなくて、十年経過時での公開というものがきっちり制度化されたときには、政策活動費の支出につきましては、収支報告書が公開された日から十年を経過した後に、その公開期間の間保存されることになるというふうに考えております。
○田中(健)委員 ごめんなさい、ちょっと今、二つ入れてしまったんですけれども、そもそもの質問で、他の領収書は三年でよくて、政治活動費だけ十年以上保存する、そういう理解でよろしいんでしょうか。
○勝目委員 そのような御理解で結構かと思います。
○田中(健)委員 十年のそもそもの根拠というのが、この議論を聞いていても分かりません。今も、なぜ、ほかのものは三年でよくて政策活動費だけ十年、この理屈を設けたかであります。
所得税の時効は、不正があっても時効は五年です。領収書が公開されたとしても、控除対象の政治活動じゃないのか等、第三者機関に例えば指摘をされたとした場合、もはや納税する義務は、十年後ですから、ありません。さらに、十年後に不正であるということが発覚をした場合も、政治資金規正法は、先ほど言いましたように時効が五年ですから、これは誰も罰せられません。つまり、脱税しても何もおとがめもなければ罰則もないということで、単なる焼け太り法案と言われても仕方がないんじゃないかと私は考えます。
もう一度、なぜ十年なのか、その合理的な理由と、十年でなければなぜ駄目なのかということを国民の皆さんに説明をいただきたいと思います。
○勝目委員 まず、そもそも、十年経過後の公開でしか納税を逃れる不正行為が発覚しないじゃないかということについては、先ほど申し上げたとおり、毎年の収支報告書の中でずれが生じるわけですね。これが一体何が起こっているんだという疑問の端緒になるわけでありますから、当然、そういうことが起こらないように、各党のガバナンスにおいてそこはしっかり対応していくべきものであると思っておりますけれども、いずれにしても、十年たたないと分からないというものではないんだということであります。
その上で、なぜ十年かということでありますけれども、政治資金の透明性の確保、これは今回の法改正の大きなテーマであります。これは極めて重要な点であります。その一方で、個人のプライバシー、企業の営業秘密、党の方針が他の政治勢力、外国勢力にも明らかになってしまうこと、これらのバランスを図る観点から、直ちに公開することに適さない支出といったもの、これが想定をされるということで、これらへの配慮の必要性も踏まえて、十年を経過した後という期間を設けることとさせていただいたところであります。
○田中(健)委員 不正が起こらない、また、政党のガバナンスに期待すると。
今までガバナンスができていなかったからこの法案を今議論しているわけであって、それに頼るなんというのは、そうしたらこの法案は要らないわけですよね、政治家の皆さんの良心と、そして政党のガバナンスに頼ると。
それができないからこそ、今この議論をして、そういったことが属人的にも、また個人においても起こらないようにどうすればいいのか、その穴を一つでも埋めて、そして国民に理解をしてもらい、透明性を高め、皆さんから信頼を得るということでありますが、とても今の答弁では、人ごとというか、領収書がなくても分かるとか、それは分かることもありますよ。でも、やはりオープンにしていく、透明性を高めるというところからは、とても私は、今の答弁で、国民の皆さんが、私たちもですが、納得ができません。
もう一度、では、十年で公開ですけれども、五年では駄目なんですか。その合理的な理由を教えてください。
○鈴木(馨)委員 先ほど来答弁で申し上げておりますけれども、今回、そういった法律ということでいえば、一番の抑止力というのは、やはり報告書の本体、これは虚偽があれば、当然処罰をされるものです。
そこに、それぞれの目的、そして年月ということで記載をされます。そこのところで、例えば不正に残した場合、税がかかる場合というのは、そこの残額が当然出てくる。それが出てくるかどうかというのは、それは収支報告書上できちんと担保される話になります。そういった意味でいえば、今回、不正の抑止ということでは、これは法文本体の中でもしっかりと対応がされているということをまず申し上げたいと思います。
その上で、十年ということでありますけれども、やはりいろいろなプライバシーであったり、様々な保秘が必要なこと、そういったところで十年というところが一つの、そういった意味では、プライバシーへの配慮ということで私どもは今考えておりますが、当然、そこについても、今後の見直しということも規定されておりますので、その状況に応じて、現状に応じて、それぞれの見直しをしていくということになろうかと思います。
○石田委員長 田中健君、時間が参っております。
○田中(健)委員 様々な、いろいろなプライバシーといって、中身は何も分からないということがよく分かりましたので、これにて質問を終わります。
ありがとうございました。
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