2024/8/23
○谷委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 本日、最後の質問となります。よろしくお願いいたします。
今回の子供性暴力防止法案、足らざるところも多いんですが、私たち国民民主党としても、二〇二一年には、児童対象性犯罪等の防止を図るための児童福祉法の一部を改正する等の法律案を既に出しておりまして、この趣旨、目的と一致するということでありますので、法案については一日も早く成立していただきたいと思いますが、しかしながら、まだまだ懸念点や、また、今質疑の中でも様々な足らざる部分がありますので、それについて聞きたいと思っております。
まず、通告の前に、今の質疑の中での、一問確認をさせてもらいたいんですが、今回、刑法犯罪にとどまらず条例違反にも含まれるということをお聞きをしていますが、先ほど大西委員の記事の中に、体液を女性にかけたということで、この暴行罪や器物損壊罪は認められないということなんですけれども、その後に、これは条例違反でも逮捕されている、女性に下着を露出したということで記事が載って、同じ人がそれで逮捕されているんですけれども、この場合は対象になり得るんでしょうか。確認をお願いします。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
具体的な事案についてお答えすることは差し控えたいと思いますが、本法律案におきましては、条例の中で、みだりに卑わいな言動を行うものとして政令で定める条例による犯罪ということを特定性犯罪の中に盛り込んでおりますので、それに該当すればかかってくるということになろうかと思います。
○田中(健)委員 そうしますと、この同じ方なんですけれども、前日に条例違反で逮捕されていまして、次の日に体液をかけてまた逮捕されているんですけれども、そうすると、条例違反では適用になるけれども、この体液をかけたのでは適用にならないということでよろしかったか、確認させてください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
条例に基づく前科ということであれば、先ほど申し上げました政令で定める必要がございますけれども、みだりに卑わいな言動を行ったということで、条例違反ということの前科であれば、性犯罪の犯歴対象になります。該当するというふうな回答の対象になります。
○田中(健)委員 つまり、これ、同じ方なので、しかも一日違いで同じことを繰り返しているんですけれども、つまり、リスクはあるということなんですね、こういう方は。
ですから、今回は、暴行ないしは器物損壊罪では特定犯罪には含まれないということなんですけれども、しかしながら条例では含まれるということなので、やはりこれはなかなか分かりづらいのと、そして、目的は、やはり子供を守るということ、何度も今日の委員会の中でも出ておりますが、是非この課題についても今後の検討課題にしていただいて、そして子供を守るにはどうしたらいいかということを進めていただければと思っています。
それでは、質疑を続けます。
今回の法案においては、民間の対象事業者、これも質疑で出ておりました、民間教育保育事業者であり、マッチング事業者自体は認可外の保育施設としての届出対象ではなかったわけですけれども、マッチング事業者についても法案の対象事業に取り入れると答弁がありました。
これ、対象事業者の変更というのは必要ないのか、また、工夫をすると言ったが、どのように工夫をするのか。今回の法案の中でどの部分でそこを対応できると読み取れるのか、伺います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
ベビーシッターのマッチングサイト事業者につきましては、児童福祉法上の認可外保育施設の取扱いを一部見直し、一定のマッチングサイト事業者を認可外保育施設として届出対象とし、本法案の認定を受けることを可能とする方向で検討をしているところでございます。
具体的に申し上げますと、利用者と個人のベビーシッターとのマッチングの場を提供している事業者、これにつきまして、従来は、本法案における民間教育保育等事業者の一つである認可外の居宅訪問型保育事業者には含まれないものとしてまいりましたが、マッチングサイト事業者と、そこに登録をしているベビーシッター、この両者の間で業務委託等の契約を締結をし、事業者が保育を提供する主体になっているという場合におきましては、認可外の居宅訪問型保育事業者に該当するものとして、今般、新たに整理をすることといたしました。
これによりまして、当該マッチングサイト事業者に登録したベビーシッターにつきましては、性犯罪前科の有無の確認等の措置を及ぼすことが可能になると考えております。
○田中(健)委員 マッチング事業のベビーシッター事業については確認ができましたけれども、これも先ほどありました、個人塾やピアノやファミサポなどにおいても同じ問題を抱えているんだと思います。
今、業務委託をすれば、今回、それを適用にできるようにすると言ったんですけれども、じゃ、同じように、個人の方がマッチングの登録を、例えば、塾であっても、家庭教師をやりたいといった場合、いわゆる人材派遣、人材紹介業の業者の人たちは対象になり得るんでしょうか。お伺いします。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
御指摘の塾、様々な業態を挙げてくださいましたけれども、家庭教師やピアノ教師等の登録を受け付け、利用者とマッチングする事業形態につきましても、当該マッチングを行う事業者がそこに登録している教師等との間で業務委託の契約を締結した上で、事業者が利用契約を保護者等と締結をし、知識又は技芸の教授の役務の提供主体になる場合は、当該事業者として民間教育事業の人数等の要件を満たせば、民間教育事業としての認定の対象になり得ると考えてございます。
一方で、単にマッチングサイトの運営のみを行い、マッチングの場の提供にとどまっている場合におきましては、知識又は技芸の教授を自らの責任の下で提供する事業者とは言えず、民間教育事業には該当しないと考えてございます。
知識又は技芸の教授を行う業態は様々な活動実態がありますので、どのような事業形態が該当するかといった考え方につきましては、今後、具体的に検討をし、ガイドライン等で示してまいります。
○田中(健)委員 ベビーシッターは、立法事実にもなっておりますので、かなり具体的に、そして検討を実質やると言っていただいているのと同じかと思うんですけれども、ちょっと少し、塾やそういった人たちに対する、家庭教師に対する取組はどうなるのか、今の答弁ではまだちょっと分かりづらい。この人はマッチング事業になるけれども、このマッチング事業者はならないと、どこで線引きをするのかというのが分かりませんので。
もちろん、子供を守るというのが第一義ですけれども、個人で家庭教師をやる人も、自分はそうでないということを知らせるためにどうやったらいいかということも課題だと思いますので、是非ここを検討していただきたいと思います。
そんな中で、参考人の末冨さんから中間団体についてのお話もありまして、これは前回の委員会の中でも質疑がありました。児童等に知識又は技芸の教授を行っていて、一定の要件を満たす場合は、民間教育事業者としての認定の対象となり得ると考えているということでありましたが、実際、この参考人から、子供食堂を営んでいる団体さんからは、中間組織を組織して、そこで各地の子供食堂が登録できるようにして、中間組織を経由して認可事業者となり、認可をもらう仕組みを考えているという発言まであったんですけれども、この事例の中の中間団体というのは、認可事業者となり得るんでしょうか。
○加藤国務大臣 中間団体が民間教育事業を運営する個人と業務委託を行う場合におきましては、当該中間団体が認定対象事業者になり得るかどうかにつきましては、当該中間団体の役割や組織の在り方について様々なものがあり得るため、一概に申し上げることは難しいと考えてございます。
具体的な事案を踏まえて、どのような組織体制であれば対象にできるかといった点も含めて、検討を進めてまいります。
○田中(健)委員 なかなか、子供食堂が業務委託を中間団体とするというのは現実的ではないと思うんですけれども、大臣は、個人事業主に関しては、こうも言っています。従業員の研修や相談窓口の設置といった、事業者が児童対象性暴力等の防止をするために講ずべき措置を講ずることが通常困難であるから認められないと。
しかし、中間団体や中間組織が、そういった窓口になって、ないしはそういう研修をしたり、そういうことを行えば、中間団体も認可事業者となり得る可能性はありますでしょうか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
中間団体が民間教育事業を運営する個人と業務委託を行う場合に当該中間団体が認定対象事業者になり得るかどうかということにつきましては、研修や相談窓口の設置だけではなく、犯罪事実の確認義務ですとか、また当該従事者に児童対象性暴力等のおそれが認められる場合に防止措置を行う義務等、認定事業者の義務が履行できるかどうかといった点も含め検討をしていく必要があると考えております。
当該中間団体の役割や組織の在り方につきましては、定義が定かではなく様々なものがあり得るため、認定の対象となり得るか否かについて一概に申し上げることは難しいと考えておりますが、個人が一人で行っている事業につきましても何らかの対策をすべきだという委員のような問題意識をお持ちの方のお声を伺っております。
私自身も理解をしてございますので、現在の事業形態が個人が一人で行っている事業であるからといって一律に本法律の対象としないということではなくて、具体的な事案を含めまして、どのような組織体であれば対象にできるかといった点も含めまして、中間組織に関しましてもしっかり検討を進めてまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 是非、個人事業主の方も、また中間団体をつくろうと思っている方たちも、子供を守るためにどうしたらいいのか、そしてそれをしっかり伝えるにはどうしたらいいのかということを考えておりますので、検討していただくということですので、是非検討を進めていただきたいと思います。
さらに、本会議で私たちの西岡議員から、この日本版のDBS制度によって教育、保育等の現場から遠ざけたとしても、その対象外の職場で子供に対し加害を続ける可能性が懸念されることに対し、加害者を治療プログラムにつなげることや、また、子供に関わらない職業あっせんなどの総合対策の必要性というのを大臣に問いました。
大臣からは、四月に、新たな治療や加害更生という視点を加え、総合的な取組、また、法務省においては、受刑者等を対象とした処遇プログラムのほか、ハローワークと連携をした職業紹介などに取り組んでいるというふうな答弁がありました。
実際、参考人からも、小児性犯罪は日本においては依存症としての治療の対象にしておらず、保険適用も考えるべきではないかといった言及があったり、性的嗜好の変容は短期では困難であり、出所後の出口支援の必要性というものも述べられていました。
出所した後、自分で何とかするという考えではなくて、やはり依存症という視点も加え、長期の治療や社会の中で改善していくという場をつくっていく必要があると考えますが、これは厚労省からお聞きをしたいと思いますし、また、それをどのように再犯防止につなげていくのか、これは法務省に来ていただいておりますので、それぞれ答弁をお願いいたします。
○辺見政府参考人 議員御指摘の性依存症はいわゆる性嗜好障害のことと考えられるところでございますが、性犯罪者が必ずしも性嗜好障害を有しているとは限らないと認識をしているところではありますけれども、一般的に、刑務所等の入所中に医療的支援を受けていた犯罪者につきまして、出所前から再犯を防止するための措置を講ずるとともに、地域においても必要な医療等につながるということは重要であるというふうに認識をしております。
障害等を有する出所者につきましては、福祉的な支援等が必要な場合には、出所前から、地域生活定着支援センターが刑事施設や保護観察所等と連携しつつ、自治体の相談窓口や地域の福祉施設等につなぐ取組を行っており、こうした方が医療的な支援等も必要とする場合には、地域定着支援センター等が医療機関や精神保健福祉センター等につなぐという取組を行っているところでございます。
他方、性嗜好障害を有する方の中には、アルコール依存や発達障害を併存し、その治療を受けている方もいると考えておりますけれども、性嗜好障害については、その診断基準や治療方法等の実態が現時点では十分に把握されていないことから、昨年度、厚生労働省において、性嗜好障害に対する治療などの情報収集を行うため、調査研究を実施し、現在、研究班において結果を取りまとめているところでございます。
性嗜好障害の治療等への対応につきましては、この報告内容も踏まえまして、こども家庭庁や法務省などの関係省庁と連携して取組を続けてまいりたいと考えております。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
刑事施設や保護観察所におきましては、委員御指摘のとおり、性犯罪者に対して認知行動療法の手法を取り入れた性犯罪者処遇プログラムを実施しております。同プログラムにつきましては、これまでも効果検証の結果や諸外国における取組、外部有識者からの提言などを踏まえ不断の見直しを図ってきており、また、必要に応じて関係機関とも連携するなどしてその実効性がより高まるよう取り組んでおりまして、一定の成果を上げているものと考えております。
また、性犯罪者の再犯防止のためには、地域において必要な医療等の支援につなげることも重要であると考えております。保護観察所におきましては、治療等が必要な性犯罪者には、矯正施設収容中から医療機関等との調整を行っているほか、保護観察中も必要に応じ医療機関等と連携した処遇を行っております。
今後も、プログラムの更なる充実に取り組むほか、性犯罪者の立ち直りのため、切れ目なく地域での医療等を受けられるよう医療機関等との連携を図り、性犯罪者に対する再犯防止対策を進めていきたいと考えております。
○田中(健)委員 犯罪が起きないような環境づくりも大切かと思いますので、是非社会全体で知恵を絞って取り組んでいただければと思います。
以上で終わります。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>田中 けん (タナカ ケン)>2024年5月22日 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 議事録