2024/8/23
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
最後の質問となります。よろしくお願いいたします。
まず、自見大臣に伺いたいと思います。
今日の委員会の質問の中にもありました提案募集方式です。十年がたちました。そして、大臣からは評価の声がありました。私自身も、地方版のハローワークの創設など、一定の成果を上げてきたことだとは思っていますけれども、最近のこの改革案、また提出案というのがどうしても小粒な内容であるという指摘もあります。審議する対象がどうしても自治体の事務処理に関わるものに限定されている、今回の改正法案もそのようなものが多いんですけれども、国の組織や税財政に絡む問題というのは、どうしても自治体から提案があっても検討対象にしていないというふうにも言われています。
この提案募集方式をどのように活用していくのか、伺います。
○自見国務大臣 お答えいたします。
内容が小粒との御指摘ございましたが、今回の地方分権一括法においては、里帰り出産等における情報連携の仕組みの構築や、あるいは公立学校施設整備費国庫負担金の対象となる事業の実施期間の延長など、地方自治体にとっては大きく影響があるものも含まれていると認識してございます。
提案募集方式は、地方の現場で実際に困っている問題を解決すること等により、地方の自主性、自立性を高め、地方分権改革に寄与するものであると認識をしているところでございます。また、地方自治体の事務手続に関するものであれば、一律に税財政に関わるものを提案の対象外としているわけではございませんで、例えば補助金等に係る事務手続の簡素化を求める提案など、地方分権改革の観点から検討が必要な項目については提案の対象となり得るものでございます。
また、関係省庁との調整は行わないものではございますが、予算の増額等に係る例えば御要望等につきましても、関係省庁に予算編成過程で検討していただくように私どもの方から通知をしているところでございます。
今後とも、地方の自主性、自立性を高めることができるよう、提案募集方式の充実を図ってまいりたいと考えてございます。
○田中(健)委員 是非お願いしたいと思います。
全国知事会からも、この提案募集方式の見直しということで何点か提案が出ておりまして、やはり地方の意欲と知恵を十分に生かせるような制度を、拡充ということを求められています。今、財源に関わることや、そういったものもこれから取り上げていきますし、検討しているということなので、是非お願いをしたいと思います。
その上で、更に大きな話となりますけれども、この地方分権の推進を決める決議というのは、三十年前、衆参の両院でされたということであります。長らく、地方分権といいますと国政の最重要課題ともされておりまして、政治の大きな課題であったんですけれども、今はなかなかこの分権という言葉が少し小さな声になって、減っており、メディアや国民の関心も少し、以前よりは低く、低下しているように感じます。この三十年間で本当に自治というものは強化されたのかということです。
分権の一つの目的は、多様な地域社会をつくっていくということでありましたが、自治の形も地域ごとで多様であっていいという理念があったはずであります。関西の方で新たな分権改革を求めて様々なことを行っていたりしていますが、日本では原則として全国一律ということで捉えられておりまして、なかなかその改革というのが進んでいないとも思っています。
その中で、大臣の考える地方分権、そして今後、地方分権改革という名でありますから、どのようにこの方向性を持って進めていこうと思っているか伺いたいと思います。
○自見国務大臣 お答えいたします。
地方分権については、これまで委員会による勧告を踏まえた取組や地方の発意に基づく提案に依拠した取組などによりまして、権限移譲や規制緩和などが着実に進められてきたものだと認識をしてございます。
これらの取組によりまして、住民に身近な行政はできる限り地方自治体が行うことが基本となり、特に、住民に身近な福祉や子育て等の分野におきましては、地域の実情に応じた多様できめ細やかな政策が実現されるなど、住民サービスの向上につながったものだと考えてございます。
また、人口減少や少子高齢化など様々な課題に直面する中で、持続可能な地域社会の実現に向け、地方団体の、地方自治体の力をしっかりと生かしていくことも大変重要でございます。そのためには、地方が自らの発想と創意工夫により解決を図り、質の高い行政サービスを実現する上での基盤となる地方分権を着実に推進することが大変大事でございます。
個性を生かし、自立した地域をつくりながら、地方の声にしっかりと耳を傾けながら、信頼と対話ということも大事にしつつ、地方の自主性、そして自立性を高める取組を着実に進めてまいりたいと考えてございます。
○田中(健)委員 確かに、この間、機関委任事務が廃止されたり、義務づけやまた枠づけの見直しというのが進んだのでありますけれども、しかしながら、やはり、その後はなかなか大きな改革という方針が示されていませんので、地方創生のときにも大臣と議論させてもらいましたけれども、地方創生としっかり位置づけて地方分権も大きく進めていただければと思っています。
それでは、具体的に今回の法案の中身を聞きたいと思います。生産緑地法に基づく公拡法の届出不要化についてであります。
生産緑地の区域内の土地を農家以外の方に売却をして農地等以外のものにしようとする場合は、農地法に基づく手続が必要です。それを資料としてつけさせていただきました。生産緑地法の第十条の買取り申出と併せて公拡法の第四条の届出が必要であります。
しかし、生産緑地法の手続によって市町村が一度買い取らないと判断した土地について、公拡法の四条に基づく届出により改めて、再度、地方公共団体に対して買取り希望の機会を与えても、買取りの協議が成立するというのはごく限定されていると言われています。このような手続は、土地所有者及び行政の二重の負担を生じさせるとともに、民間の土地取引をいたずらに遅延させているということで、今回、静岡市を始めとする自治体からこの提案がされています。
この過程の中で、生産緑地法に基づく買取りの申出があった場合の結実した件数と、さらに、公拡法に基づいて、買取り協議で実際に買取りが行われた全国的な調査を行ったということですが、この結果はどのようだったでしょうか。伺います。
○川野政府参考人 お答え申し上げます。
今般の地方公共団体からの御提案を受けまして、制度改正の検討をするに当たり、生産緑地法に基づく生産緑地の買取り申出手続と、公有地の拡大の推進に関する法律、いわゆる公拡法に基づく生産緑地を譲り渡す場合の届出手続について、実際にどのように行われているか、運用実態を確認する必要がありました。
そこで、令和三年度及び四年度時点で生産緑地地区の指定がされていた又は指定の見込みがあった全国二百三十八市町村に対しまして運用実態に関する調査を行い、二百十二市町村から回答があったところでございます。調査結果は、令和三年度から四年度にかけて、生産緑地について、生産緑地法に基づく買取り申出の後に公拡法の届出が九百七十九件あり、このうち、買取りに至ったものはゼロ件であったこと等が確認されました。
このように、生産緑地法の買取り申出手続が行われた後であれば、公拡法の届出手続が省略されたとしても公有地の確保について特段支障がないと考えられたことから、今回の改正案におきまして手続の合理化を図ることといたしております。
なお、公拡法に基づく届出に関し、生産緑地に限らず、全ての対象土地について実施した別の調査によりますと、買取りに至ったものは令和三年度で二十件、令和四年度で十八件となっております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
その中で、今回、公拡法による届出を不要とする期間を生産緑地法の規定による買い取らない旨の通知があった日から起算して一年という日としておりましたけれども、その理由はどうしてでしょうか。
○川野政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正案におきまして、地方公共団体等及び土地所有者の手続負担の軽減等の観点から、生産緑地法に基づき所有者が市町村長に買取りの申出を行った土地について、公拡法に基づく届出を不要とし、届出不要となる期間を市町村長から買い取らない旨の通知があった日の翌日から一年間としております。
一年間の理由でございますが、同じ土地であっても、一定期間の経過により公的主体による買取りの需要が発生する可能性があることを踏まえたものでございます。また、現行の公拡法におきましても、同様の観点から、公拡法に基づく届出をした者については一年間届出義務の対象から除外することとされており、それとの整合を図ったものでございます。
○田中(健)委員 公拡法に基づく届出の時期というのは所有者が決めるものであって、必ずしも今回の法改正によって公拡法の届出が不要とされる期間内に提出されるものでもありません。そして、一年というと、もっと言えば、そのチャート図にありますけれども、買い取らない旨の通知があった後は、さらに農業者へのあっせんがあって、それは二か月ほどかかりますから、つまり、行為制限の解除を考えると、実質十か月で再び公拡法に基づく届出義務が生じる。ですから、国交省としては、二重の提出をなくす、そして円滑な取引を進めると言っているんですけれども、それは一年だけよと、もっと言えば十か月だけよと言って、結局、私は、これは大きく分権に寄与しているとは思えません。
なぜならば、更に言うと、そもそもこの提出の最初の書類を見ますと、静岡県を始めとする地方からは、これについて、生産緑地に指定された土地の売買については、生産緑地法の手続により公拡法の制度目的は果たされているということで、当該土地を公拡法の第四条の届出対象から除外してほしいという声でありました。これを最も推奨していました。しかしながら、結果的に、効果はあるよと国交省は言っているんですけれども、言ったように期限を定めたということであります。実質的に、これは本当の意味での解消やないしは効果的な取引につながると思えないんですが、どうしてこの対象から除外はできなかったんでしょうか。
○川野政府参考人 お答え申し上げます。
生産緑地地区は、市街化区域内の農地のうち、良好な都市環境の確保に資するほか、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているなどの要件を満たすものが都市計画で定められるものでございます。
一方、公拡法の目的は、都市の健全な発展と秩序ある整備を促進するため必要な公有地の拡大の計画的な推進を図ることとされております。
したがいまして、都市の計画的な整備に有効な土地を公有地として積極的に確保するために、生産緑地を引き続き公拡法に基づく届出の対象とすることが適当と考えております。
○田中(健)委員 先ほど来、考えていると言うんですが、買い取る方は地方自治体でありまして、国交省じゃないわけで、買い取る側の地方自治体から、この手続は二重であって、そして意味を成さないというふうに言っているわけですね。なのに、あえて国交省はそれに対して、権限を放したくないのか、それをかぶせて、一年しか認めないよと言っているのはどうしてかということなんです。
そもそも、生産緑地法の手続によって既に地方公共団体が民間の土地取引に先駆けて買取り機会を与えられていますから、公拡法の目的もこれによって達成されているというふうにも話を実際、自治体からも聞いています。
ですから、何か合理的な目的があるならば、それは納得しますというか、理解しますけれども、その理由が明確でない中で、どうしてこのような期限を定めたかというのをもう一度御説明いただけますでしょうか。
○川野政府参考人 お答え申し上げます。
通知のあった日から起算して一年を経過する日までとした理由につきまして、お答え申し上げます。
今回の公拡法の届出を不要とする期間を一年間といたしましたのは、先ほども答弁申し上げましたように、同じ土地でありましても、一定期間の経過により公的主体による買取りの需要が発生する、その可能性があることを踏まえたものでございます。
したがいまして、一定期間を経た後に再度買取りの機会を設ける公拡法の趣旨からしますと、生産緑地の行為制限の有無にかかわらず、公的主体が買い取らない旨の判断をしたタイミングを捉えて、そこから一年間とすることが妥当であるというふうに考えております。
○田中(健)委員 それも、自治体に聞きましたけれども、趣旨はもちろん異なるとしても、どちらも地方公共団体等ですから、公拡法にしても、生産緑地法にしても。ですから、地方公共団体等としては、もちろん法律が違いますから趣旨は異なるけれども、土地を買い取るよう申し出るものであって、相互の手続をまた行わせるというのは合理的な理由はないんじゃないかということで、私もそれに答えられなかったので聞いておりますし、せっかく今回、このように地方分権の中で変えるのであるならば、中途半端というか、ないしは、本当に自治体が望んでいるものに。どうしてなったのかがよく分かりません。
やり取りしても議論になりません。時間になりましたので終わりますけれども、先ほど大臣からは、地方に寄り添ってこの法案を改正を進めてきた、また、分権を進めていきたいということがありましたので、それに照らし合わせると、今回の法案は、何か大変国交省としては、便利になる、また、効率化になると言いながらも、このようにあえて期限を残すということには、私は、もう少し地方に寄り添って、また、現実に沿ってやってほしいということを要望して、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
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